緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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キリエルの悪夢。

「ダァッ!!ォォォォォォッッッ!!!」

 

迫りくるキリエロイドを蹴り飛ばしつつも巨大な鋏を差し向けてくるファイブキングの右腕を掴み防ぐ、直後に不気味且つ奇妙な笑い声が木霊する。左腕の巨大な目玉を差し向けてくるのが見えた。それを見た瞬間に悪寒が走る、単純な気持ち悪さというのもあるがマグナがその怪獣の異常性を理解している故の危機察知だろう。一歩、深く踏み込みながら思いっ切り膝蹴りをかますと全力でファイブキングの足を蹴って足払いを掛け、倒れながらも放ってくる光弾をバク転で回避しながら距離を取った。

 

『矢張り厄介だファイブキング……』

『マグナさんあれって……少なくとも4体、いや5体の怪獣の合体ですよね』

『そうだよ、もれなくその力を全て発揮できる厄介な相手だ』

 

平成のタイラント、ファイブキング。ゴルザ、メルバ、超コッヴ、ガンQ、レイキュバスの5体を合体させた事で誕生する怪獣。タイラントに比べると数こそ少ないが十分過ぎる程に強力な怪獣たちの集合体で全ての怪獣の能力を遺憾なく発揮する事が出来る。先程の悪寒もそれに起因するものであり恐らく一番厄介である怪獣の力。

 

『マ、マグナさんあの左腕凄い気色悪いです……僕、苦手かも……』

『気持ちは分かる、あれが得意な人は少数派だろうね』

 

不条理の塊とも評される怪獣ガンQ、光線技の吸収という対ウルトラ戦士の為のような力を発揮する。が、此方の世界にも厄介な怪獣は幾らでもいる。その為の訓練も詰んでいる。それはズバリ―――

 

「ォォォォッッッ!!!デュォッ!!!」

 

飛び上がりながらも頭部へと蹴りを命中させながらも左肩へと拳を叩きつけながらも即座に頭部からラムダ・ソウルブレードを抜刀し重々しい殴打と剣による鋭い斬撃の二刀流(拳と剣)でファイブキングに隙も与えない程に連撃を叩きこみ続けて行く。

 

「ゴァァァァ!!!」

「デュォ!!!」

 

好きにさせるかと言わんばかりに左腕を差し向けてくる、がそれを待っていた。ブレードを逆手持ちにしながらも一閃、ガンQの瞳を切り裂きながらもそれへ刃を突き立て膝蹴りで一気に押し込む。ブレードは左腕内部で一気にエネルギーを放出しながら腕を破裂させるとマグナの頭部へと収まった。ズタズタになった左腕を庇うようにしながらも怒り狂うファイブキング、その背後から飛び掛かるように蹴り込んでくるキリエロイド。

 

『ATOMIC SMASH!!』

「ジュイ"イ"ッッ!!!?」

 

カウンターで深々と突き刺さった拳、火花と爆発を生みながらも吹き飛ばされる。実力差が更に明白となっていく中でキリエロイドはファイブキングへと目をやると歪んでいた笑みを更に深くした。何をするのかと構えを深くするマグナを他所にキリエロイドはなんとファイブキングと融合し始めていった。

 

「ゴァァァァギュリアアアアキィィィギィィィィィィハハハハハッッ!!!?」

 

ファイブキングの絶叫が木霊する、融合している怪獣全てが悲鳴を上げながらもその肉体が徐々に変化していく。ゴルザの頭部がまるで人間のような、いやキリエロイドの物へと変じて行く。腕も変化し腕に装着する武装のようにレイキュバスとガンQの鋏と瞳が再度出現していく、まるでファイブキングが乗っ取られていくかのような悍ましい光景に寒気を覚えてしまう。

 

『怪獣が……』

『……っ!!』

 

余りの光景に出久は言葉を失い、マグナは拳を強く握っていた。尋常ではない苦しみ方から死ぬよりも辛い思いをしている事が汲み取れる。奪われていく自らの全て、自分が自分ではなく他の物へと変わっていく事を認識させられながら最後の最後まで死ねない。そして怪獣たちは目の前のウルトラマンに、助けを求めるように腕を伸ばしたが直後にそこから氷塊と火炎弾を放った。

 

「ダァッ!!」

 

それらを砕くが、その先にあったのは完全にファイブキングの全てを我が物へとしたキリエロイドの醜悪で悍ましい姿。それは救世主と自称するキリエル人の姿ではなく、紛れもなく破壊を、終末と終焉を齎す悪魔の姿。真っ先に連想したのは……人々から希望を奪い去った悪魔の名を冠したあの姿。だが―――あれと比べたら酷く劣る……いやあれと比べる事すら烏滸がましい。

 

「ギュィィィッッ!!!」

 

巨体でありながらも軽快に迫ってきながらも巨大化したその両腕で殴り掛かってくる、受け止めようとするが先程とはパワーが桁違いに上がっているのが防ぎきる事が出来ずに一気に押し切られてしまう。畳みかけるかのように先向けられた腕がギリギリと首を締めあげて行く。

 

『ぐぅぅぅっっ!!!こいつなんてパワーなんだっ……!!』

『だが……レオさんとも一戦交えた事がある私をっ……舐めるなぁぁぁぁ!!!!』

 

「ダァァァァォォォオオオオオ!!!!!」

「ギュィィィッッ!!?ジュイ"イ"イ"ィ"ィ″!!!!」

 

首を締めあげられながらも身体を持ち上げると逆に腕へと組み付く、そして全力で腕と足で相手を締めあげて行く。負けじと左腕で腹部を捉えながら連続で光弾を放って来るがマグナは一切力を緩めない。

 

『悪い、な出久君!!』

『いいえこの位……カッちゃんの爆破に比べたら軽いってもんですよぉ!!!』

『流石、なら―――』

『『このままもぎ取ったらぁぁぁぁ!!!』』

 

シンクロしあう叫びを上げながら腕と足に込める力を更に強めながら万力のように腕を締めあげて行く、徐々にレイキュバスの甲殻に罅が入り始め余りの力に首を絞める力が弱まっていく。だがマグナにもダメージは確実に蓄積していく、もうどちらが先に音を上げるかという戦いになり始めようとした時だった、凄まじい速度のまま大気圏に突入しながらその摩擦熱で全身を燃え上がらせながら迫ってくる影があった。

 

『何かが迫って来るっ……!?』

『ま、また敵ですか!?』

 

それに気付くが余りにも早過ぎる為に対応が追い付けない、と思っていた時だった。その声は聞こえてきた。

 

 

―――アルファバーンキィィィイイイイクッ!!!!

 

 

地球へと堕ちてきた隕石のような勢いで迫ってきたそれはキリエロイドの頭部を正確に捉えながら吹き飛ばした、その衝撃でマグナを締めあげていた手を放してしまい好機と腕と足を離して距離を取る事に成功しながらも地面に落ちたマグナ。そんな彼が顔を上げた時、自分を守るように立っていたのは―――赤、青、銀色が眩しく光を放つ練達した拳法家を思わせるような後ろ姿だった。

 

『また、新しいウルトラマン……!?』

『いやこれはまさか、この気配は……』

 

―――大丈夫ですかマグナ先生!!

 

マグナの疑問に答えるかのようにそのウルトラマンはゆっくりと振り向きながら手を差し伸べてきた、鋭い瞳にセブンやゼロを思わせるようなスラッガーが如何にもな強者を醸し出すがマグナはそれが誰なのか分かってしまった。そしてその手を取りながら思わず笑ってしまった。

 

『何だ随分と変わったね、イメチェンかいゼット君』

『ちょっ違いますよウルトラフュージョンしてるんですよ!!というかマグナ先生だってしてるじゃないっすか!!』

『ゼットさん言ってる場合じゃないみたいですよ、あの怪獣立て直してます!!』

『積もる話もありそうですけどそれは後にしませんかマグナさん!?』

 

互いの相棒からの声に頷きながら二人は肩を並べながら構えを取った。まさか彼に助けられるなんて思いもしなかった、この地球へとやってくる前に自分の教え子となっていたゼロ曰く三分の一人前のウルトラマンゼット。彼がこの地球へと降り立った。

 

「ディァッ!!」

「ジュァッ!!」




ご唱和ください、我の名を!!ウルトラマンゼェェエエエエト!!!!そう、ゼットさんのエントリーだ!!第1話ぶりかな出てくるの。いやぁ近年のウルトラマンの中だとオーブに並ぶレベルで好きなウルトラマンだと思う。ゼットさんは結構ガッツリ絡ませようと思ってます。

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