『はぁぁぁぁぁぁっ……ゼロ君、君って男は……』
『マ、マグナ先生……?』
唐突に出現したベリアロク、それはゼットとハルキがブルトンを倒してしまった事で生まれてしまったグリーザと相対した時にグリーザの内部の無とジードの高純度のべリアル因子が結合した結果誕生した宇宙の穴を縫う針。言うなればグリーザに対しては特攻武器として機能する剣という事になるらしい。そのお陰もありグリーザの撃破にも成功したらしいが……それを踏まえてハルキから改めて戦績を聞くと眩暈がして来た、主にゼロに対して。
『うんっゼット君、師匠の件だけど私で良ければ引き受けてもいいよ』
『ほ、本当で御座いますかぁぁぁぁ!!!!??』
「良いんですかマグナ先生!?ああいやこれからマグナ師匠とお呼びした方が良いんですか!?」
『その辺りはご自由で構いませんよ、先生でも師匠でも』
改めて考えるとゼットの戦績は異常の一言。ゲネガーグの撃破に始まってジードと共にギルバリス、単騎でファイブキングにグリーザ、ウルトラマンエースと共にヤプールに怨念をその身に宿したバラバ、300m越えのマザーケルビム……これが宇宙警備隊に入ったばかりの新人の経験だろうか。これだけの実績があるのならばゼロも認めるべきだろうと思う。
「マグナさんが此処まで動揺するって……ゼットさんって相当に凄い相手に勝ってきたって事なんじゃ……」
『うん、そうだと思うよ。特にバラバ、あのエースさんが出張ってくるなんて……下手すればUキラーザウルス級という事になりかねない。全く素直じゃないなゼロ君は……』
内心では弟子である事は認めているし成長している事も重々承知である筈、それなのにまだまだゼットには素直になり切れない。父親と師匠に似てたという奴だろうか。
『ゼット君、私から見たら君は三分の一人前ではないね確実に。というか私としては勇士司令部に来て貰ってもいいような気がする……』
「おおっ!!!超高評価じゃないですかゼットさん!!」
『ウルトラ嬉しいで御座いますよォォォッ……何時もゼロ師匠には酸っぱい対応ばっかりだったからウルトラ染みるゼェェット……』
「塩対応、ですかね……?」
『多分……本当に如何言う間違いなんだろうねこれ』
自分の実力をアイテムで補うという事を別に責めるつもりはない、逆に言えば適切なアイテムを使って状況の変化に対応して格上に喰らい付いていき倒してきたともとれる。ゼットの潜在能力はまだまだ底がしれない、仮に十二分に力を付けた時にウルトラフュージョンしたときには一体どれだけの力を発揮するのだろう。
「でもなんでゼロさんはゼットさんに辛辣なんでしょうね」
『そりゃゼット君がゼロ君に対して要らん事を言いまくるからだろうね』
『ひっ酷くないですかマグナ師匠ぉ!!?』
『だって君さ、ゼロ君に弟子入りしたいって時にウルトラ兄弟の皆さんみたいな威厳がないとか近寄り難い程の地位もないみたいなことを言ったらしいじゃん。そりゃ怒るよ』
ゼットは本当に一言が多い故に良くも悪くも純粋、そして直球で言葉を投げつける。彼としては親しみ易いという理由だったのだろうか、もっと言い方があっただろう。威厳がないなんてことを言えば怒って弟子入りを認めないのは当然。
「そりゃ怒りますよ……」
「ゼットさん、ゼロ師匠にそんな事言ったんすか……寧ろよく弟子にして貰えたっすね……」
『いっ出久にハルキにもそんな風に言われるなんてウルトラショック……!!』
ガックリと項垂れてしまうゼットだが直ぐに立ち直った、何故ならば正式に師匠となってくれると認めてくれる人が出来た。しかも師匠は自分の活躍を認めてくれたうえに褒めてまでくれる、ゼロ師匠よりもずっと優しくて話が通じると感動している。
「いやゼットさん、そう言う所を直さないといけないと思うんですけど……」
「俺も出久君先輩と同意見です」
『―――も、もしかして今の発言ってウルトラやばかったりしちゃいますのでありんしょうか……?』
『ゼロ君が全然優しくなくて話が通じない頭でっかちって言ってるね、伝えとくねそれ』
『そ、それはご勘弁をマグナ師匠ぉぉぉぉぉっ!!?』
内心で認めた事への後悔の念が早速生まれ始めてきた中でハルキの目の前で浮遊するようにあり続け異様な存在感を放ち続ける
『―――おい、テメェマグナとか言いやがったか』
『え、ええそうですが……』
『街に降りた時に感じたが、俺様のメダルがありやがるな』
『―――ッ!!ええ、恐らく』
ベリアロクの言葉は恐らくアウローラが所持していた物を指すのだろう、アウローラ自身は討たれたがベリアルメダルは未だ健在である可能性は高い。
「この地球にはベリアルメダルが……!?」
『そうだとしたらとんでもねぇ事だ……!!』
『だったら回収すりゃいいだろう、俺様が場所を教えてやろう』
「おおっ!!流石ベリアロクさん頼りになります!!」
当然だと言わんばかりに鼻を鳴らすようにし笑うベリアロクを褒めるハルキ、なんだかんだで頼りになるんだよなぁと笑うゼット。そんな三人を見たマグナと出久は不思議と笑っていた、確かにゼットは三分の一人前という評価は正当なのかもしれない。まだ経験も浅く若い、だがそんなゼットと共に歩むのはハルキとベリアロク。きっと彼ら三人が揃って一人前なのだろう。
「でもマグナさんこれならもしかして、特定出来るかもしれませんよね!?」
『確かにね、あの時のどさくさに紛れてベリアルメダルを入手した何者かというのは否定しきれないからね」
『決まりだな……フンッこの世界でも中々面白い奴が斬れそうだぜ』
『お前ってば本当にそればっかりだな……本当に切るものだぜ』
「それを言うなら切れものですよゼットさん」
ベリアロク、その存在が導く果てに待つモノ―――そこにあるのは……
―――まだ駄目、お前を満足させるものが出来ていない。だから待てよ……ベリアル。