『ぶへぇっっっ……すげぇ疲れたゼェット……』
「ガ、ガンマフューチャーを解除した途端っすね……」
「大丈夫ですかハルキさん?」
「お、押忍大丈夫っす……でもちょっと休ませてほしいっす……」
キリエロイドの撃破に成功した出久とハルキだが、変身を解除した途端にハルキとゼットは全身に纏わり付くかのようなエゲツない疲労感に苛まれてしまった。それに僅かながらに心当たりがあるマグナは少しばかり申し訳なさそうな顔を作った。
『恐らくティガ、ダイナ、ガイアの三戦士を長時間実体化させ続けた故の反動だろうね……私にもしっぺ返しが来ている、マックスの分身能力の影響が君にも来てしまっているようだ』
『な、成程……納得しました……』
出久は何も感じていないが自分が被る筈の負担は全てマグナが肩代わりしてくれているのだと分かると直ぐに内心で感謝すると、気にしない気にしないと飛んでくる。そんな話をしながらも基地へと帰還すると……直ぐにミリオがやって来た。
「お疲れ様だよね!!いやぁ本当に凄かったよ、まあ俺は死穢八斎會の人たちを運び出す作業してたからあとでファイターが撮ってた映像を確認してただけなんだけどさ!!」
「い、いえそれ程でも……それであの女の子は……?」
「今は医務室で見て貰ってるよ、救い出した時よりも何だか安定してるみたいだよ」
死穢八斎會の地下施設で発見した少女、名前を尋ねたところ壊理だという。包帯で覆われている部分には多くの切創があり、メスなどによる物など診断されているとの事。同時に死穢八斎會の治崎への取り調べも行われている、非協力だと思われていた彼だが予想外にある程度協力的な姿勢を見せておりナイトアイを驚かせている。何故かと聞くと
『……壊理の礼、という事にしておいてくれ』
ぶっきらぼうにそう答えるだけだったという。何があったのか分からないが治崎の中にあった何かが変化しているとの事だった、それと同時に元々進めていた計画の価値が怪獣の出現によってこの先無くなるだろうという事も考えていたのかもしれない。
「彼女は取り敢えずこの基地で保護する事にしました、宇宙人の被害者とも取れますから。ちょくちょく会いに行ってあげて貰えると助かります」
「分かりました」
「押忍」
『しかし……問題は別だな』
ミリオと別れながら道を行く中で声を上げるマグナ、それに全員が頷いた。そもそもの理由としてあそこへと出向いた目的はベリアルメダルの捜索だった。それがキリエル人との再度の邂逅で潰れてしまい発見する事が出来なかった。もう一度調査に赴くべくかと思っているとベリアロクが語りだす。
『無駄だ、あそこにはもう俺様のメダルはねぇな。上手い事あいつを隠れ蓑にされた』
「あいつは囮だったって事っすか……」
『今度はよほどうまく隠してるらしいな、何も感じねぇ』
「う~ん……これは振出ですかね……」
『ムゥゥッ……俺達が持ってるメダルと共鳴させるとか出来ないで御座いますかね』
『不安定なメダルが暴走するだけだ』
解決したかった事柄は解決しなかった、その途中で解決しきらなかった事柄を解決しただけに等しくこれからどうするべきかと思案してしまう。
「……また、あのメダルを使って怪獣を呼び出すつもりなんですかね」
『それが妥当だろうね。その分強力な怪獣でないと使えないという制約はあるけどその分、強力な怪獣であれば使えるから必然的に厄介な奴しか生まれない事になる』
『ベリアル融合獣とか出てくる可能性があるって事っすよね……』
『否定はしないでおこう、後すでに出てるし』
「マジすか!?」
「しかも多分、元の奴よりずっと強い奴ですよね」
『ほうっ?斬ってみてぇな』
そんな賑やかやら物騒な会話をしつつも進んでいく内に部屋へと到着した、ハルキは疲れもあるので先に休ませて貰うと言って中へと入っていき出久とマグナも自分の部屋へ―――そして部屋で出久は尋ねた。
「あのマグナさん―――メダルを持っていたのってあのアウローラだと思いますか?」
「……半々だね、何とも言えないが……あり得てしまう」
星 光士としての姿を見せながら椅子に腰掛けながらベッドに座る出久へと視線を向ける。出久としてはメダルを持っていたのはアウローラなのではないかと疑っているらしい。その意見は間違ってはいないとは思う、だが確証がない。
「何とも言えないね。他の宇宙人が奴の持っていた物を奪った or 奴自身が生き残っていて私への復讐を望んでいるの二択ではあるとは思う」
「どっちも御免被りたいですね」
「レイブラッドの継承者……か、奴のしぶとさを考慮すると後者であることが妥当なのが嫌な所だ」
大怪獣バトルでのレイブラッド星人の暗躍を考慮すると相当にしぶといと思われる、何せ倒したと思ったら仕込んでいた保険に憑依して暴れ回るを繰り返すようなとんでもない宇宙人だ。その継承者を名乗るのだから同じ位にしつこいと考えるの妥当――――だとすれば自分にそんな奴が倒せるのだろうかという不安が過る。
「(私のような者が奴を本当に撃ち滅ぼせるのか……やるしかないにしても出来るのか……)」
「あの、マグナさん?」
「……んっああすまない、なんだい?」
思わず思考の海に沈んでしまった、自分で勝てるのかという不安が生まれてしまった。よく理解している故にレイブラッド星人の恐ろしさは理解している、何せあのベリアルを悪のウルトラマンとしての姿へと変貌させる力を持ち、精神体であるのにも拘らずマン兄さんこと、初代ウルトラマンを岩場に封印するだけの力を持った存在。それの継承者を語るアウローラ、それを本当に倒せるのかと不安を感じているのか伝わったのか出久は凛々しい顔で言った。
「僕にもっと、マグナさんの世界の事を教えてください。この地球を守る為いや、僕が守りたいと思う物を守る為に力を貸してください!!僕が思う最高のヒーローになる為に!!」
「出久君……」
「僕はまだまだ未熟でマグナさんの相棒には不足かもしれません、だからもっと教えてください!!貴方の相棒として相応しくなるために!!!」
そんな風に叫ぶ出久に笑みを作った、一人で悩むなと遠回しに言われたような気分だった。未来に不安があるのならばその不安が無くなるように努力すればいい、出会ったばかりの頃、雄英に入学する為に自分をそうやって鍛えてくれただろう、ならば今からそれを一緒にやろうと言っている。
「そう、だね。君はまだまだ未熟者だ、何れはこの地球を背負うかもしれない。ならばもっと成長しないとね―――私と一緒に」
「はい!!」
「それじゃあ早速私の世界の講座から入ろうかな、言っておくけど手加減しないからね」
「望むところです」
「よし言質取ったから疲れたと言ってもヒーリングパルスで回復ループさせるから覚悟しなさい」
「え″っ」
―――漸く、か……あと一つ、あと一つで完成する。ベリアル、お前に相応しい肉体が……ハハハッ楽しみだ……ねぇマグナ、君も喜んでくれるだろう……?ねぇっ……?