緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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平和の象徴と絆の光。

ウルトラマンマグナはエリートである。宇宙警備隊でもエリート部署とも言われている勇士司令部に所属するだけの実力がある、というだけではなく怪獣に対する知識などもずば抜けていることも起因している。元々優れた身体能力と格闘技術があっただけではなくそこに前世で蓄え続けたウルトラシリーズの歴史が作用する事で対決が初見でも対応が出来た事も多かった。

 

「っという訳なのでナイトアイさん用の資料を纏めてみました、まだ途中ですので所謂ウルトラ兄弟が活躍した時代の物しかありませんが」

「いえこれはっ……いえなんですかこの資料は!?各怪獣の詳しい情報だけではなく当時の防衛チームの作戦内容までもが詳細に書かれている……それだけではない、マグナさんの主観だけではなく他の事までもが……!?」

 

故にその能力をフル活用してPLUSの参謀として仕事をしているナイトアイ、彼が毎回毎回出久へと行っている講義に合わせられるわけでもないので専用の資料を作って譲渡する事にした。

 

「これを使えば各怪獣への対処も迅速かつ正確な物になりますしこれからの怪獣災害の想定にも大いに……!!」

「お役に立ててください。ですが同時にそれはある意味禁忌のような知識である事もお忘れなく、貴方だからこそ託します」

「―――っ……心してお受け取りいたします、必ずやこの地球の為に」

 

怪獣の出現が乏しいこの地球にとってマグナの齎すそれは正しくこれからを明るく照らす福音となるだろう、だが同時に正しく扱わなければ自らの首を握り潰す禁忌の物でもある。それは乏しい故に起きる事、それもナイトアイも重々承知した上で慎重に取り組んでいかなければならない。早速生かさんと資料をもって仕事へと駆け出していった。

 

「あれほどまでに楽しそうなナイトアイを見るなんて少し前までは信じられませんでしたよ、マグナさんには幾らお礼を尽くしても足りませんね」

「私は何もしてませんよ、強いて言うなれば彼が勇気を出しただけです」

 

テストを行い続けている出久の隣で腰を降ろしているオールマイトの言葉に顔色一つ変えずにいる。事実として自分は何もしていないのだから何ともコメントしにくい、今世で大分改善されたつもりだが矢張り自分の陰キャ属性は筋金入りらしい。ウルトラマンのままだと表情に変化は無いが人間態ではそうではないのだから直していかなければと改めて思う。

 

「それでオールマイト、其方のヒーロー活動は如何ですか?」

「マグナさんのお陰で何とかっと言った所ですかね」

 

今現在もオールマイトは№1ヒーローとして活動をし続けている、といってもオール・フォー・ワンとの戦いは自分に浅からぬダメージを受けておりヒーリングパルス込みでも活動時間が4時間程度と依然と比べて短縮しているので無しだと1時間程度しかないだろうと考えているとの事。

 

「ですが逆に私はこの力の使い道を良く考えさせられています、私にあるのはワン・フォー・オールの残り火。それを今の為に如何使うべきなのかと」

「紡がれてきた力、全てはオール・フォー・ワン打倒の為に」

「ええ、それはワン・フォー・オール……ですがもう違う」

 

既にワン・フォー・オールは存在しない。ウルトラマンと一つになる事で進化しウルトラ・フォー・オールとなった、ならば残されたワン・フォー・オールは何の為に使えばいいのか、唯々悪の帝王たるオール・フォー・ワンを倒す為の力を。怪獣という脅威が顔を覗かせた今は全く新しい役割を持つべきなのかとずっとオールマイトは悩み続けていた。そんな彼を見たマグナは出久の答案の採点をしながらある事を話す。

 

「光は絆、誰かに受け継がれ再び輝く」

「光……?」

「ワン・フォー・オールはオール・フォー・ワンを倒す力、それは違うでしょう。(おお)きな絶望に立ち向かう(ちいさ)い希望、希望は想いと絆を糧により大きな光へ。そして絶望を払って人々の希望の拠り所へと辿り着いている―――それが貴方でしょう、平和の象徴(オールマイト)

 

そんな風に語りかける姿にオールマイトは思わず言葉を失ってしまったのだ、何故ならば―――そこには、マグナの隣や背後には此方を見て笑い、喜び様々な物を浮かべている人たちがいた。その中には自らの師、志村 菜奈が居りマグナの隣に腰掛けていた。そんな師の隣にはもう一人の女性がいた、それはウルトラウーマンだった。

 

「『もう既にどう使うかなんて分かってるのに、弱気な事を言うなんてらしくない』」

「御師匠……!!」

 

思わず伸ばしそうになった手を見つめると自然と身体に力が籠っていた、無意識な内になっていたマッスルフォーム。分かっていたのに不安になり聞きたくなってしまったのだろう、だからこそ理解したからこそ最適な行動を取ろうとしている。

 

「申し訳ありませんマグナさん、私は行きます!!今だからこそ私は平和の象徴としてしっかりしなければならないのですから!!」

 

そう言って部屋から飛び出していく姿を見送りながらも心の中で菜奈が自分の肩を叩きながら感謝を述べてきたのが分かった。

 

―――お互い、弟子には苦労するね。

 

「……全くですね……そう言えば出久君、雄英では文化祭があると聞いたけどそれってどうなるんだい?」

「確かPLUSとの合同でやるってナイトアイから聞きましたよ、なんでも理解を深める為と生徒の安全性確保の為にって事で」

「へぇっ……」

「何か悪い顔してません!?」

「してないしてない、出久君の身体借りて人間サイズ形態で乱入したら盛り上がるかなぁなんて考えてないから」

「盛り上がる所か大混乱ですよ!!?」




次回から文化祭編。

……ウルトラヒーローショー、悪くないな。
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