やっぱりさ―――主人公は追い詰められてなんぼだよね、Dボゥイみたいにさ!!
「おはよう~」
「おおっ緑谷ぁ待ってたぜぇ!!!」
久しぶりの登校に何やら懐かしさすら覚えている自分、それ程までにPLUS特別隊員としての任務に従事しすぎているのだろうかという思いが巡る。爆豪にもフォローは頼んでいるが大したことはして貰えていない。というか彼にそれらを期待するのは筋違いという物なのだろう。そんな思いを秘めながら教室へと入る、するとクラスメイトが一気に大挙しながら迫ってきたのである。
「緑谷お前、あの現場にいたってマジかよ!!?って事は直ぐ近くでウルトラマン見たって事なんだよなぁ!!?」
「このニュースの映像みたいな事がガチで起こって本当なの!!?」
「出久君怪我とかせえへんかった!!?」
「ちょっストップストップ!!?何が何だか全然分からないって!!」
強引に教室の中へと連れ込まれていくと皆が夢中になるようにパソコンの画面に張り付くように見つめ続けている、一体何を見ているのかと思いきや……それはTVのヘリより撮影されていたキリエロイドとマグナとゼットの戦いの様子であった。
「いや本当に大迫力すぎるよなこの戦い!!」
「光線がビュンビュン飛び交うだけじゃなくて途中から怪獣が増えたのにウルトラマンもそれに対抗して増えるとか凄すぎるよなぁ!!」
「しかも全然見た目とかも違うんだよなぁ!!それに肩並べてたMt.レディもすげぇって素直に思ったぜ俺!」
第三者からの視点という者から改めてウルトラマンの戦いという物を見てみると自分がそこに居たんだなという実感を感じると同時にこんな風に見えていたのか、と素直な感想を抱いた。
「ほら此処っ!!ウルトラマンマグナがこのウルトラマンと一緒に姿を変えた途端に相手を更に圧倒する瞬間!!本当に堪らないよね!!」
「分かる、超分かるぜ!!怪獣をダイナミックに投げ飛ばす瞬間、超憧れるよなぁ!!」
「俺さこのスタイル何とか取り入れられないかなって思うんだけどさ、尻尾を打撃とかじゃなくて投げに使うってかなりいいアイデアだと思うんだよね!!」
「絶対良いよ尾白君!!今日の授業でそれ練習してみたら!?」
クラスの話題はウルトラマン一色だった。マグナとしては意外だったのが自分に憧れているような感想を述べている生徒がかなり多かった事だった。ティガに比べたらスマートではなく、ダイナほどダイナミックでもない、ガイア程力強くも無い自分に此処までスポットが当たるのは予想外だった。が、それは当たり前とも言える。
「僕もその現場見たかったよ、でも僕は先輩と一緒に人を抱えて避難してたから」
「えっ~そうなの!?」
「でも発目さんから空中旋回しながら撮影したって言う映像は貰ったよ、見る?」
『見るっ!!』
保須での激戦、林間合宿での戦い、神野区での決戦―――この地球で最も姿を見せているウルトラマンであり鮮烈に戦い続けているのがマグナ。加えてA組は直接助けられている事も多い上に友も助けられている。故にマグナに強い憧れを持つのは当然の事だと出久は思っているが、マグナはあまり理解出来ていなかった。
『私なんかよりも御三家の皆々様の方が余程カッコいいと思うんだが……』
「(もうマグナさんったらまた謙遜しちゃって、この地球にとってのウルトラマンはマグナさんって事ですよ)」
『そういう事、なのかなぁ……』
余りしっくりこないのも前世の記憶と本人の気質故かもしれない。そんな事もありながらもホームルームが行われるのだが―――
「文化祭があります」
『ガッポォォォォイイイイッッ!!!*1』
相澤からの発表で皆のテンションゲージはフルスロットルであった。雄英の文化祭は体育祭とは違ってある種ヒーロー科以外の他科が主役となるイベント。本来は怪獣などの出現やヴィランの活動も活発傾向にあるので自粛すべきなのではという意見もあったのだが、校長を始めとした教員の強い要望もあり行われる事となった。だが単純な開催ではない。
「今年の雄英文化祭は生徒の安全性を高めつつも新しく新設された故にまだ理解が及ばない部分を解消する為にProwess Luster Unique Spirit Fencer.通称PLUSとの合同開催となった」
「プ、プルスって緑谷に爆豪、轟が特別隊員として行ってるところっすよね!!?」
「そうだ」
まだ理解が及ばずにいる現状は認めざるを得ないというのはナイトアイも嘆いていた。今までのヒーロー一辺倒な情勢だった故にPLUSへの疑問視も止まないのも事実、それを改善する為の一歩として雄英の文化祭開催に協力する形で更なる理解を目指そうとしている。
「その辺りは緑谷達に聞く方が早いだろう、俺も聞いている限りではPLUSで運用予定ライドメカの展示などもするらしい」
「ライドメカ!?それってあの戦いでMt.レディを降ろしてたあの戦闘機の事か!?」
「まあうんそれも種類の一つではあるよ、他にも戦車とか色々あったし」
『超気になるんだけど!!?』
「その辺りは休み時間に聞くように。それではマイク、待たせたな」
今直ぐにでも話を聞きたそうにしているクラスの気持ちなんて捨て置くようにしながら廊下で待機していたマイクへと声を掛ける、一時間目である英語が始まる。
「イレイザー俺も聞きてぇからそれからで良いか!?」
「お前もか……」
―――ぁぁっ、ぁぁぁっ……。
―――まだ、まだ駄目っ♪まだ駄目だよ、もっともっと熟成させないとダメだ……そう、宛ら愛情のようにね、そうしないと―――
「君は満足しないだろう、マグナ♪」