「―――つまり文化祭には多くのPLUS隊員の方々が雄英へとやってくる、がその目的というのは理解を含めるだけではなくスカウトも兼ねていると?!」
「ナイトアイはそんな事を言ってたよ。まだまだPLUSの隊員は足りてないのが現状みたいだからね」
放課後、寮にて本格的に出久から文化祭にPLUSとの合同開催となった目的などを聞いていた。新設された組織という事もあってかまだまだ組織編成が間に合っていないのが現状。故に特別隊員の枠の拡張を考えてそれの適合者を現在探している所でもあると出久は語る。
「成程な。確かにあの基地はまだまだ人が足りてねぇ感じがするしな、有能な人材は確保してぇってのは自明の理だな」
「怪獣災害も起きて重要性も認知されてるしな」
焦凍と爆豪の意見を聞いてさらに納得が行く。ニュース番組などを見れば必ずと言っていい程にPLUSの特集をやっている、それ程の注目を集めているが同時にまだまだ情報開示をしていない部分が多く批判的な意見も多い。それはある意味、情報を大っぴらにしているヒーローに慣れ過ぎているとも言えるだろう。
「でも実際長官不在なんでしょ、参謀のナイトアイが代行してるって話だしそれだけ人材不足って大丈夫なん?」
「逆なんだよ麗日さん、PLUSに参加しようって言ってくれてる人は多いんだけどPLUSに入れるとなると話が変わってきちゃうんだ」
麗日の質問に出久は応える。先日のキリエロイドの一件などもあってPLUSに参加の意志を表明するヒーローは数多いがそれを簡単に受け入れる訳には行かない。ヒーロー飽和社会とも言われる現代、その飽和しきっているヒーローの半数以上がPLUSという組織に興味を抱き、是非とも参加したいと言っているのである。だがそれを簡単に引き入れてしまうと各地でヒーローが足りなくなってしまい、結果的にヴィランの活性化に繋がりかねない。
「とっても慎重なお話ね……人材が足りていないって言うのはそういう意味なのね。PLUSに相応しい人材の選定に時間が掛かってしまっている、それが現実なのね」
「梅雨ちゃん正解。だから好ましいのはPLUSが直接スカウトしちゃうことなんだ、だから特別隊員枠を増やそうって話が持ち上がる位なんだ」
「な、なあなあ緑谷それってオイラももしかしてPLUSに入れるかもしれないって事か!?」
「そういう事になるね、こんな感じにね」
そういうと出久は上着へと手を掛けると一気にそれを引き剥がした。突然の行動に女性陣が声を上げそうになるがそこにあったのはPLUSの制服があった。
「おおっそれが制服!!?超かっけぇっ!!」
「おいおいおい並のヒーローのコスチュームよりもカッコいいんじゃねぇの!?」
「……超ロックじゃんそれ!!」
「気に入ってんな緑谷」
「着心地いいからねこれ」
そんな風に言葉を零す焦凍自身も制服はかなり気に入っている。制服は何処かウルトラマンの姿をベースにしている為か銀色が主体、そしてそこに黒、赤、青、金色が連なっていく。マグナ曰くスプリームヴァージョンっぽいとの事。
「んじゃもしかして俺が特別隊員スカウトを受ける可能性もあるって事だよな!!?」
「うん。あり得るよ、上鳴君は個性の出力が高いし電気って個性は特に強力だし」
「おおおおおっ実は俺、PLUSを目指すのもいいんじゃねぇかなぁと思い始めてるんだよなぁ!!!」
と興奮気味なクラスメイトを見つつも出久は内心で嬉しくあった。平和の為に戦っている、日々ヴィランよりも遥かに強大な怪獣という脅威に立ち向かい続ける戦士たちこそがPLUS。それに興味を持ち、志してくれているというのはなんだか嬉しくなってしまう。
「緑谷、これの場合は絶対ヒーローよりもモテるからと思ってるから真に受けない方が良いよ」
「ンな事ねぇから!!?」
「でもそうなると新しく怪獣災害想定コスチュームも出来る訳だな」
『怪獣災害想定コスチューム!?』
と心が躍るワードが焦凍の口から飛び出したので話はそちらへと向いて行く。それを聞いてさらに心が躍ったりする皆は益々文化祭が楽しみになってきた、そして自分達はどんな物を出すのかと今から話し合うのであった。例えそれがどんな内容だったとしてもとても楽しい筈だから―――と思ったのだが決定の際に決まらなかったら強制的に公開座学だと相澤から言われてクラスが凍り付いたと特別隊員の3人は顔が引き攣るのであった。
「という訳なので緑谷さん、私の文化祭で出す出し物の為に協力願います」
「ああうん予想してたよ正直」
隊員としての活動もある出久、それはマグナもいる故に加速度的に増えている。雄英側も致し方なしと理解をしているし問題はない、が久しぶりの発目からの言葉に出久は久しぶりに死んだ目を作り出すのであった。
「でも今回はぶっちゃけ趣味丸出しという訳じゃないんですよ、今回の文化祭はPLUSと雄英の合同。そこには多くの一般のお客さんも来る訳でしてPLUSも其方向けの出し物を計画する訳です、んで雄英との合作と称して私が一部を担当する事になったんですよ」
「成程、それで何をするの?」
「フフンッそれはですね―――怪獣シミュレーションです!!」
「怪獣ッ!!」
『シミュレーション?』
発目の考えている物に思わず驚く出久と首を傾げるマグナ。その反応が彼女の何かを刺激したのか、嬉々として説明する。
「怪獣を模したロボットを相手に行うアトラクションみたいなもんですよ。スタッフとして隊員に参加して頂きまして専用銃やらで怪獣を撃ったり、ライドメカのシミュレーターみたいなので怪獣に一定ダメージを与えようみたいなゲームを考えてます」
「へぇっ思った以上に確りしてる!!」
「そして、最後にはウルトラマンを助けようだったりウルトラマンと共に怪獣を撃退せよ!みたいなミッションをこなして貰うみたいな!!」
『体験型のアトラクションという事か、成程……PLUSの活動を身をもって体験出来る訳だしゲーム感覚で楽しめていいと思うよ』
「でしょでしょ!?私も結構いけるじゃねぇかなと内心で鼻高々だったんですよ!!それで現在試作ロボを製作中なんですけど、緑谷さんとマグナさんにご意見番をお願いしたいんですよ!!」
と思っていた以上にかなり真摯な内容だったので出久は少し驚いたが勿論承諾する。そしてマグナも協力することを約束する。
『なんだったら私の世界の怪獣を見るかい?多種多様だよ』
「是非是非是非是非!!なんかこう、レベル分けもしたいので見た目からして威圧感パネェ怪獣とかコミカルそうな怪獣とかお願いします!!」
「コミカルそうな怪獣ってなんかイメージ沸かないな僕……」
『コミカル……モチロンとかかな』
「えっ勿論?」
『いやこれでもしっかりとした怪獣の名前だよ、うす怪獣モチロン。実際はモチロンじゃなくてウスロンだったけど』
「超気になるんですけどそれ!?」
うす怪獣モチロン。ウルトラマンタロウの第39話「ウルトラ父子餅つき大作戦!」に登場した怪獣。
月ではウサギがお餅をついているという日本人の思いなどが月に到達し実体化したというとんでもない怪獣。そんな理由で生まれた為に地球のお餅を食べたくなってので地球へとやってきた、というなんともゆるい理由。加えて何故か日本の餅は美味く、新潟の米は美味いという情報まで知っていた。
そして本人曰く、自分は本来黒い部分である月の海の化身であるとの事。死ぬと月に浮かぶウサギが消えてしまい月は真っ白な状態になってしまうらしい……が本人が命乞いの際に出た言葉なので信憑性は微妙。