迫りくる皇帝のゼットン、その力は正しくその名に恥じぬ物。だがそれに対する戦士も負けぬ訳にはいかぬ理由があるのである。それが光に属するものであるが故だろうか、闇を具現化した怪獣に勇猛精進と立ち向かう。
「願うは平和!!!」
「悠久の想い!!!」
人間の光とウルトラマンの光、それを一つへと昇華させた究極の力。胸の八つの宝玉を輝かせながらウルトラ・フォー・オールの力を全開にしながら顕現したマグナに対してゼットンは一歩引くような仕草をしながら腰を落とす。その隣に更に新たな戦士が光来した。
その手に取るのはゼロ、ウルトラ戦士としては異色にして異端の出自ながらもウルトラマンの王とも言うべき存在と宇宙警備隊大隊長に認められた若きウルトラマン、ジード、そして―――アウローラとは全く別にしてある種完璧とも言える方法で生み出されたもう生み出す事が出来ないであろうウルトラマンベリアルのメダル達。それらは互いの力の奏で合わせる、それぞれがぶつかり合ったライバル故の共鳴現象を引き起こし、メダルとしての個を超越させ、黄金に輝くライズウルトラメダルへと進化する。
「闇を飲み込めっ黄金の嵐!!ゼロ師匠!ジード先輩!!ベリアル!!!」
「ぉぉぉぉぉぉ押忍!!!」
リードする度に嘗てない程の力が巡る、ライズウルトラメダルに秘められる圧倒的な力を振り払わんばかりの気合でハルキも叫ぶ。
―――シュァッ!! ヴアァッ!! ヌ"ア"ァ"ッ!!
無数に生み出された光の柱、その隣に巻き上がった黄金の粒子の嵐。それらの奥から現れたのは黄金をその身に宿しながらも運命をも飲み込む力強さ、全てを滅ぼす力へと変える。それらを身に纏う戦士こそゼットの究極の姿と呼ぶにふさわしい最強形態、デルタライズクロー。ゼロ、ジード、ベリアルの三戦士の力を身に宿しあの無の具現化とも言えるグリーザと戦う事が出来る力を秘める。そしてその手に握る剣こそ―――
『フンッ成程、あれが俺様の力を使った奴か。良い獲物だ、ぶった斬ってやるぜ』
グリーザの内部で誕生し、グリーザ自身を倒す事が出来る宇宙の穴を縫う針。幻界魔剣 べリアロク。その力を感じ取ったのかカイザーゼットンはまるで警戒するかのように半身を引きながらも更に腰を落として迎え撃つかのような体勢を取っている、奴自身も異常とも言えるメダルの掛け合わせによって生み出されているのにも拘らず警戒しているようだった。それだけデルタライズクローから溢れ出す力は異常だというのだろうか。
「ォオオオッ!!!」
「シェアァッ!!!」
同時に駆け出して行く戦士、それを迎え撃つと言わんばかりにその手にダークネストライデントだけではなく腰から
「ディァ!!」
「ダァッ!!」
剣を受け止めるベリアロク、暗黒の炎は刀身を伝って本体を燃やし尽くそうとするが―――護拳にあるベリアルの顔、その口が開くとそこへと暗黒火炎が一気に吸い込まれていく。
『フンッ!!この程度で俺様を燃やすだと笑わせるな、2万倍でも足りねぇな!!』
次元をも崩壊させるほど力を秘める力を飲み込んだあるベリアロクからすればエンペラ星人の鎧の影響を受けて進化したゼットンの炎でも足りないのか、もっと持ってこいと言わんばかりに飲み込み続けて行く。それに気付いたのかゼットンはベリアロクの顔へと槍を突き立てんとするが、それをマグナが槍先を直接握り込むようにして止めた。
「ゼッゥォォォォオトォォン!!」
「ダァッ!!」
ベリアロクの炎吸収範囲は槍まで広がっていた、それ故に直接掴む事が出来たのだろう。ベリアロクの前では自らの炎は意味がないと悟ったのか直接ゼットを押し飛ばすように蹴り付けながらマグナへと矛先を向けながら刃を振るおうとする。
『
更に深く踏み込んだマグナ、迫ってくるゼットンの勢いを利用するかのようにその胸部へと手を当てながらも震脚を行い一気に押し込む。内部へと拡散する衝撃と波動はゼットンのパワーすら上乗せさせている、故か後方へと退いて行く。が、その最中ダークネストライデントの先から禍々しい暗黒の閃光が奔りマグナへと襲い掛かっていく。
「グッォアアアッツ!!?」
その素早いカウンターの一撃を受けてしまったマグナは思わず膝をついてしまった。僅かな隙に放った炎光弾はウルトラマンにとっては致命的な一撃になりかねない物だった、カイザーゼットンは素早く体勢を立て直すと槍を大きく構え直しながらもダークネスブロードを連続で振るって凶刃をマグナへと放つ。それが届こうとする時に
『デスシウムクローッ!』
その凶刃を赤黒く鋭利且つ強大な斬撃が切り刻んでいく。膝をつくマグナの前に立つゼット、それがベリアロクを用いて放つ必殺技で相殺した。
『大丈夫ですか師匠!!』
『あ、ああっ……!!このダメージ、成程ゼットンの火球にレゾリューム光線の合わせ技という訳か……絶対に喰らうな!!私でこれだ、君は唯では済まん!』
立ち上がるマグナの言葉を聞きながらも改めてカイザーゼットンの脅威を思い知る。アーマードダークネス、それは主である技を使う事が出来る。それはウルトラマンを分解する力を持つレゾリューム光線、それとゼットンの火球を掛け合わせたもの。威力も尋常ではないがウルトラマンにとっては特攻の性質を持つ。マグナの場合はウルトラ・フォー・オールというワン・フォー・オールを受け継いだ人々との一体化というのもあり効果は著しく低下しているがそれでも大きなダメージを避けられない。仮にゼットが受ければ洒落にならない事態になりかねない。しかもカイザーゼットンはそれを連発しようと構えを取る。
『それならっ!!』
『デスシウムファングッ!!』
ベリアロクを構えるとそこから黒い霧の中に赤い瞳を持つ巨大なベリアルの頭部が飛び出していく、一見すればラスボスが使うような邪悪極まりない技に流石のマグナもええっ……と軽く引いてしまったが、それはベリアロクの特性を持つのか火球をその巨大な口で噛み砕きながらもそのエネルギーを蓄えながら突進しカイザーゼットンへと激突し溜め込んだエネルギー諸共の大爆発を引き起こす。
「ウォォォオオ……ットォォン……!!」
その大爆発の中、その鎧に僅かながら罅が入っているのが見えた。アーマードダークネスの特性があるのならばその身体はあらゆるものを撥ねつけ、通用するのはアーマードダークネス自身の武器だけとされる。レゾリューム火球とデスシウムファングを受けてその身体に亀裂が生じ始めている。今こそが攻める時っ!!
『今なら仕留められる、一気に行くぞ!!』
『シャァ!!パネェのを決めちゃいますぞぉハルキィ!!』
『押忍!!行きますよベリアロクさん!!』
『悪くは無かったぜ』
そんな風に語るベリアロクに笑みを作りながらもハルキはベリアロクのトリガーを強く握り込む、それこそがベリアロクの必殺技発動のキーになる。赤黒く輝く瞳と共に力強い声が放たれる。
『デスシウムスラァァッシュ!!!』
『宇宙の理を乱す奴は……俺達が叩き斬る!!』
「シェァァアアアアアア!!!!」
紫に輝きだす刀身、同時に瞳から光を放ちながら一気に駆け出して行くゼット。それに対して火球を連発していくゼットンだがそれらを全て切り払いながら突き進んでいく。遂に目前とまで迫った時、ダークネスブロードで一撃を受け止めようとするがベリアロクはそれを両断しながらカイザーの肉体へとその刃を突き立てた。狙いは亀裂、そこへと突き刺された刃を一気に突き動かして亀裂を広げるようにしながら巨大なZを描くように切り裂く。
「ディッ!!ォォオオオオオッ!!!」
『『VINCULUM・RADIUS!!』』
ゼットが切り裂いたところへとマグナは最高の光線を放つ、だがカイザーゼットンも伊達に皇帝の名を冠してはいないと言わんばかりにデスシウムスラッシュを受け傷ついた身体のままダークネストライデントからレゾリューム光線を放って対抗した。空中で互いの最強光線がぶつかり合っていく、威力が威力だけにまるで時空が震え壊れて行くかのように空間がひび割れて行く。
『負けるかぁぁぁぁぁっ!!!』
『出久君、全開で行くぞ!!』
『『うおおおおおおおおおおおおっっっ!!!!!』』
カラータイマーの周囲を飾る宝玉が更なる輝きを放つ、一つ一つがワン・フォー・オールの担い手を示す宝玉が更なる光を放つ。一つ光が強まる為に光線は更に強く太くなっていく。そして八つ全てが更に輝いた時―――最後の宝玉とも言えるマグナのカラータイマー、即ち出久とマグナを示す宝玉が最高の輝きを抱いた。
「ォォォォォォォオオオオオオオオオオッッ!!!!ディィィダァァアアアアアアアア!!!!!」
マグナ自身をも超えかねない程の巨大な光線が一気にレゾリューム光線を押し返していく、カイザーゼットンは更に出力を上げようとするがデスシウムスラッシュによって受けた事で既に限界を超えてしまい、一気に押し返され自らの力をもその身に受ける事になった。皇帝の名を冠した最強のゼットン、ベリアルというウルトラマンの力を持つが故にその身体にもレゾリューム光線は有効であったのだろう。鎧を一気に食い破りながら時空そのものを揺るがすような大爆発を起こしながらこの世から消え去った。
『やっやった……!!』
爆炎の中に消滅したカイザーゼットンに思わず出久は安堵の息を漏らしてしまった。一瞬の油断も許されない戦い故だろうかかなりの疲労が蓄積しまっていた、それをマグナは労おうとしたのだが―――爆炎の中から何かが飛来した。咄嗟に防ごうとするのだがそれはあっさりと突破して出久の元へと到達した。
『うわっなんかメダルが……えっ!?マグナさんこれってベリアロクさんにそっくり何ですけど!?』
『ベリアルの、メダル!?』
出久の手に収まったそれはベリアルのメダルであった。キリエロイドの一件で探し出そうとしたが見つからなかったメダル、それが唐突に自分達の元へとやって来た。突然の事過ぎて混乱してしまった時だった―――それは爆炎の中から飛び出していった。
『師匠なんか出ました!?』
『何かって何!?』
唯でさえベリアルメダルの事で混乱しているのにこれ以上何を……と思いながら見た先には光の残滓を残しながら空の彼方へと消えていく謎の影だった。ゼットと共に消耗している為か追いかける事が出来ずただ見つめる事しか出来なかったが……何故かそれを見つめたマグナの胸の内は酷く荒れ狂っていた。
『(何故だ、何故……私は一瞬安堵したんだ!?何故今、懐かしさを、覚えたのだ!!?)』
何も分からぬまま、誰もそれに応えてくれない。手のひらに収まったベリアルメダルが奇妙な程の重さを感じさせたまま、それは終幕した。
―――もうそのメダルはいらないんだよね、だって不安定過ぎるし目的は果たした。私の中にあったレイブラッド星人の力を収束させるには、ね……。アハッ私の身体の贈り物、喜んでねマグナ、だって―――
「態々究極生命体に頼んでんだからさ♪」