「それでウルティメイトフォースゼロの皆さんと危機を乗り越えたんですねゼロさん」
「ああ、全く以て本当に尊敬するよ彼には」
「実に興味深いですな」
『俺様からしたらおめぇも十分そうだと思うが』
「いや、この中で一番の不思議の存在であるべリアロク、君が言うのかいそれ」
ベリアルの章と題された事を話しているマグナであったが途中活躍を労いに来たナイトアイがそれに参戦してしまった。ベリアルという偉大且つ絶大な悪の存在は思わずオール・フォー・ワンを想起させた、だが同時にナイトアイは何処か安心感を抱いたという。
「分かっているつもりなのですが、やはり私の中ではマグナさん達ウルトラマンというのは神に近い存在に思えてしまうのです。ですが我々と同じように悩み、時に道を違えて悪にその身を染めてしまう……それに何処か安心を感じてしまいました」
「無理もありませんよ、自然を神として崇めるように圧倒的な力を持つ者に対する思いは信仰などへと変わりやすい。雷を神の怒りとか」
ナイトアイのそんな思いの吐露もあったがゼロとベリアルの因縁の話はウルティメイトフォースゼロ、ダークネスファイブとの戦いそしてゼロダークネスなどをして打ち切られる事になる。その後の話も話そうと思えば話せるのだが、それはそれである種メタ的な視点で得た情報なのでやめておく事にしておく。列伝時空で色々と騒いでいた事も陛下の名誉のためにやめておこうと心の奥にしまっておく。
「別の世界でもベリアルの力という物は存在していたんだ」
「話に聞くメダルのように、ですな」
「ええ。以前出久君を鍛えてくれたガイ君もその力を持っている」
「あっサンダーブレスターですか!?」
頷きを以て返すと出久は納得する事が出来た。あの荒々しい狂戦士のような膨大な力を纏いながらの戦いを行うサンダーブレスター、だがそれは他の形態とは全く違うどす黒い何かのようなものを感じさせられた。それがベリアルの力ならば納得が行った。その力は黒き王の祝福と比喩され、ガイですら簡単に制御しきれずに暴走してしまうような物だった。
「……そしてここからがある意味でベリアルの章の終わりの物語だね」
「終わり、って事は遂に決着がつくんですか!?」
「そうだね。幾度も恨みと怒りと共に復活し続けたベリアル、それに終止符を打ち彼を眠らせた戦士……それが―――ウルトラマンジードという若きウルトラマンだ」
それを聞いて出久とナイトアイは酷く驚いた。これまでベリアルと激しい戦いを繰り広げてきたのは宿敵であり続けたウルトラマンゼロの名ではなかったからである。ウルトラマンジード、また新しいウルトラマンの名前に二人は揃ってメモを取りつつそれについて尋ねた。
「ジードさんってハルキさんも言ってましたね、なんかリク君先輩って……」
「フムッ……そのジードという方はどのような方なのでしょうか」
ウルトラマンジード、それこそがベリアルにとっての終わりの始まりだったのだろう。そしてジードという存在は極めて異質でアンバランス、如何語るか正直迷いそうになるが素直に全てを話す事を決める。十中八九いや、十中十で大騒ぎになるだろうが。
「ウルトラマンジード、彼の父親の名はベリアル。ベリアルの遺伝子を受け継ぎ光の国から奪い去ったアイテムを使う為に生み出された存在がジード」
「「ッ……」」
その言葉に思わず二人は言葉を失った。宇宙その物を崩壊させるような事件、クライシス・インパクトによって肉体を失ったベリアルが新たな肉体を作り出す為にウルトラカプセルを使う為だけに生み出されたという話に言葉が出なかった。ベリアルに忠誠を誓うストルム星人、伏井出 ケイが遺伝子操作をされて生み出された限りなくベリアルに近く限りなくベリアルから遠い人造ウルトラマン、それがジードなのである。
「ジードは酷く悩みながら戦う事となった。自らの存在意義、常にベリアルと比較される、偶然同じ地球に居たゼロと共に戦うもゼロの方が評価される、苦しい中で戦い続けた。その中でも彼は必死に戦っていたよ、ジーっとしててもドーにもならないという言葉を口にしながら迫るベリアル融合獣などと戦い続けた」
最悪のウルトラマン・ベリアルの息子という出自とその復活のためだけに作られた模造品という誕生・存在理由。苦しむ彼を救ったのは自分にリクという名前を付けてくれた朝倉 錘。自らの真実と同時に自身の名前の意味も知ったリクは、その名に込められた願いに違わず、自身の運命から逃げずに再び立ち上がった。彼はその運命に立ち向かうジード人として戦い続けて―――父親と対面する事になった。
「その時のリク君は酷く苦しんだと思う、曲がりなりにも父親が目の前に現れ自分を受け入れると言っていたんだからね」
「それは……」
「辛い、でしょうな……」
今の個性社会でも無個性であるだけで差別を行ったり、望んでいた個性と違っただけで他の家族とは全く違う扱いをするという話は聞く。思惑こそあれどベリアルのその言葉は父として息子に向けられた物だった。
「だがリク君には既に多くの仲間との絆があった、それに支えられた彼は運命に抗い続ける事を決意しベリアルとの決戦に臨んだ。ウルトラマンキングにすら認められるという凄い子だよ」
仲間との絆、そしてジードがこれまで戦い続けた事は無駄ではなかった。キングにも認められたジードはその力を使い、ベリアルを倒す事に成功する―――が、本当の戦いはそれから巻き起こった。倒されたかに見えたベリアルだったが実はまだ生きており
「希望は残っていた、ジードさんが」
「そう。リク君はジードになり、必死に抗った。そしてジードはアトロシアスを打ち破り通常形態へとなったベリアルを異空間へと連れ込み最後の決戦を挑んだ」
そこで本当の意味でベリアルはジードと親子になれたのだろう、戦いの中でジードはベリアルの記憶や感情を見た。
そんな言葉を投げ掛けられ、最後の光線の打ち合いになった。ジードのレッキングバーストがベリアルのデスシウム光線を気迫と共に押し返して行く中、ベリアルに直撃した刹那に発した言葉は……これまで息子としてしか呼ばなかったジードの名。嘗ての戦友でもなく、長年の宿敵でもなく、息子の名を呼んでベリアルは眠りについた。
「これが私の知っているベリアル、かな」
『悪くねぇ語りだった』
それらを聞いた出久とナイトアイは言葉を繕う事が出来なかった。ベリアルという途轍もない存在の話ゆえに並大抵の事ではない事は覚悟していたが、それでも余りにも壮絶な話だった。光の国が生んだ最恐最悪の名に恥じない存在感と実力、カリスマ、あらゆる面が優れていたと言わざるを得ない。事実として自分もベリアルの乱辺りで記憶が戻っていたらベリアルについていったかもしれない位にはベリアルの事は好きである。
「それだけのウルトラマンの力が、僕たちの手にあるんです、ね……」
「そういう事だよ、正直言って私も恐ろしいという感情が先に出てくる。この力をどう扱えばいいのか、分からないからね……」
その言葉をもってベリアルについての語りは終わった。だが同時に希望も出久の胸にはあった。
「大丈夫ですよマグナさん。僕達ならどんなに凶悪な力だとしてもその矛先を自分達が平和の為に向けられますよ、大切なのは力の本質じゃなくて方向性、だと思います」
「……確かに、そうかもしれないね。一本取られたかもね」
それはきっとワン・フォー・オールを受け継いだ
「ジーッとしてても」「ドーにもならない!!」
叫びながら腕をぶつけ合った。