ジェントル・フェンサー。PLUS広報部及び実働部隊に所属しており紅茶と髭を愛する少々風変りな所が目につくが他人への気遣いや細かな所まで気が付く事もあり周囲からの評価は悪くない所か良好―――が、そうなる前の彼は現代の義賊を自称するジェントル・クリミナルというヴィランであった。
歴史に名を残す事を夢見、自ら撮影した犯罪動画をインターネットに投稿し続けていた。当然ながら動画は定期的に削除されつつも警察にはマークされていたがそれなりの月日を警察の捜査網から逃げ遂せている―――が投稿している動画はヴィランとしては酷くみみっちく、世間からの評判は良くも悪くも迷惑行為を働く小悪党ヴィラン程度にしか映らなかった。ではなぜ彼はPLUSへと入隊する事となったのか、そのきっかけを作ったのはナイトアイ本人であった。
「ナイトアイさんパイが焼けたからティーブレイクのお供に良いと思って持ってきました」
「フムッこれは有難うラブラバ君」
「あらっお客様がいたなんて……いけないわジェントル、ナイトアイさんの分しかパイ用意していなかったのだわ!」
「いえいえお気になさらず、突然押し掛けたような物ですから」
と部屋へと入ってきた一人の少女、その名はラブラバ。ジェントルの相棒として長年彼の支えとして、共に苦楽を共にしてきた元ヴィラン。そんな二人との出会いは全くの偶然だった、二人が動画撮影の為に乗り込んだコンビニに偶然ナイトアイが買い物を行っていたのである。ナイトアイは即刻戦闘態勢に移行し、その相手に気付いた二人は速やかに撤退したのだがその前にジェントルに触れる事が出来ていたナイトアイは個性を使って彼を追跡した。
「本来ならそのまま引き渡すのが正しいとも思ったのですがね、これでも私は所謂そう言った者達は好んでおりました。故に二人の事は知っていました、そして―――即座にスカウトに動きました」
「凄い出会い方ですね」
流石に予想外過ぎるスタートにマグナも呆気にとられてしまったがそれは当の本人たちも同じ事だった。突然のスカウトに戸惑ったが、ナイトアイは真摯な態度と言葉でそれを続けた、それを受けたジェントルはそれが真実だと察しその先が自分も同じように尊敬するウルトラマンと共に戦う為の組織だと知り驚きを隠せなかった。
飛田 弾柔郎はヒーローを目指していた、だがそれは叶わなかった。様々な積み重ねが彼に圧し掛かる中で訪れた現在で全く別の道が示された。迷いこそしたが彼はナイトアイの手を取り、ラブラバと共にPLUSへと入隊する事となったのである。
「元ヴィランと言えどその内容は悪烈極まれりという物でもありません、そして元々動画投稿をしていたので彼にはPLUSの活動内容の解説などをして貰っています。まあ今までが今までなので一番最初の動画には私も参加して彼がPLUSでの活動している確りと説明しました」
「それでもコメントなんか荒れたのでは?」
「荒れたりは……まあそれなりに……」
何処か照れながら言うラブラバ曰くPLUSは何故ヴィランのような奴をスカウトしたのかというコメントが大量に付いたが、ナイトアイが直々に説明動画を出したことで何とか鎮静化したとの事。加えてジェントルは真摯にPLUSの活動に取り組んでおりそれも正当に評価されている。
「そして今、私はPLUS広報部としても動画サイトで活躍中!!」
「素敵よジェントル!!」
胸を堂々と張りながらポーズを取るジェントルのカッコよさに卒倒したのか倒れこむラブラバの姿にマグナは良いコンビなんだなぁと思いつつも中々に濃い二人に僅かながらに引いていた。
「あらいけないっ私この後システムの構築があったの忘れてたのだわ!?ごめんなさいナイトアイさん私これで!!」
「嗚呼っ大丈夫だ、ジェントルも有難う」
「いえいえこの程度何でもない、さあ行こうラブラバ私が送って行こう」
「ああっそんな優しいジェントルも素敵!!」
と紳士的な手つきでラブラバを抱き上げて共に部屋から去っていく二人を見送った、何やら外からジェントルのハイテンションの声と共に何かが地面をするような音が聞こえたような気がするが気にしないでおこう。ついでにジェントルの名前を呼ぶ声が聞こえた気がするが気のせいだ、多分。
「ユーモア溢れる人選と言いますか……人選その物がユーモアのような気がするのですが」
「否定しませんが中々に愉快でしょう。だが愉快なだけではなくラブラバの力は非常に助かっています」
「先程のお嬢さん……それは何方の意味で」
「彼女自身の技術という意味です」
PLUS基地のシステムの構築にはグルテンや発目も行っているが、それ以上にラブラバの功績が大きい。警察がジェントルの逮捕を行えなかったのも動画の投稿経路を探り当てるが出来ずにいたのが大きく彼女の技術の賜物。ハッキングのプロを自称するがそれ以外の技術も含めて超一流、特にプログラミングの能力は発目と互角かそれ以上というのだから凄まじい。
「実際この基地のセキュリティなども彼女が手掛けています、その甲斐もあってグルテン博士らも開発に専念出来ているのです」
「成程……思った以上に素晴らしいスカウトだったという訳ですね」
「ええっ実に素晴らしい人材発掘でしたよ」
そんな素晴らしいスカウトが文化祭でも出来ないかと期待しているナイトアイ、難しいかもしれないが将来有望な芽を見つけられるだけでも大きく好転する。それがヒーローを志すままでも良し、それがPLUSに来てくれるのも良し。様々な意味で良い事尽くめになる。良い文化祭になる事を心から祈るとしよう。