怪獣シミュレーションの根幹を担うのは発目開発の空間投影型三次元プロジェクター。映し出す為のスクリーンなどは一切必要なく二次元的な投影ではなく三次元での投影を可能とする超人社会においても未だに辿り着けていない領域を成し遂げている。それだけでも凄いのに―――
「チャージ完了っ!!PLUSレーザーカノンファイアッ!!」
「弾着……今っ!!」
「よしっ効果確認中―――!!」
『ゴアアアアッッ!!』
「「「ぎゃあああっっ撃って来たぁぁぁ!!?」」」
投影された対象、この場合は怪獣なのだがそれには特殊なプラズマが流れているらしくそれは人体に作用して感触や衝撃を感じるとの事。加えてそれらの発展として重さまで再現されるというブレイクスルー待ったなしの代物は怪獣シミュレーションにおいてフル活用されており、ほぼ本物に近い迫力を持つ怪獣との演習を様々な人々が体験していた。
「だぁぁぁっまた撃ち落とされたァァ……」
「まだまだもう一回並ぼうぜ、こうなったらクリアするまで此処で粘る!!」
「今度は俺がグランドスティンガーだからな!!良いか絶対だぞ!!?」
「「やだ俺もそっちが良い!」」
「いやぁ大迫力ねっ!!保須で見た怪獣とは違うけど凄い感動モノ!!」
「等身大の怪獣との戦いも燃えたねぇ~」
「でもビジュアルがあれだったよね」
ライドメカのシミュレーター、模擬武器などを用いた怪獣災害最前線の体験などが行われている。中には直接襲いかかってくる異星人などもいるのでそれらの対決と言った事もある。全てが好評であり一度体験してももう一回!!という人も大多数でもう一度列に並び直す人が多く居る。そんなシミュレーションエリアの一角ではとあるイベントが設けられていた。それは余りにも人が多く集まり過ぎてしまったが故に拵えられた急造エリア、余っている為に何か問題が起きた時の為に残していたエリアだが其処に緊急処置として設営された新エリア、その名もウルトライブ・シミュレーション。
「ギィィィィィィィッッッッ!!!!」
と銘打たれたそこでは投影されたミニチュアサイズの街のビルを壊していく暴君 タイラントの姿があった。左腕の鉄球でビルを打ち砕き、右腕の鎌で鉄塔を薙ぎ倒しながら破壊の限りをしつくしていくタイラント。そのタイラントも投影された存在で5メートル程度だがそれでもそれから発せられる威圧感は本物、それ故かエリア紹介のイベントと説明されていてもそれを見る人々は固唾を飲み込み、震えを感じずにはいられなかった―――がそこへ光と共にコスチュームに身を纏った出久が登場する。
「ギィィィィィィィッッッッ!!!」
「イズティウム・バスタァスマァァシュ!!!」
声を上げながらも耳から矢のような光線の雨を発射するタイラント、それに対して出久は腕に溜めたエネルギーをスマッシュで撃ち放つ。放たれた光弾はスマッシュの威力によって底上げされている威力によって光線を撃ち砕いて直撃しようとするが、瞬間に腹の口を開くとそこから光弾を吸収してしまった。
「ならっ接近戦!!」
一気に駆け寄っていく出久、それを迎え撃つかのように鎌を振り下ろしその身を砕かんとするタイラントに対して咄嗟にスライディングを行って回避を行いながらも背後を取る出久。そこから攻撃を行おうとするが、タイラントの長く鋭い尾が鞭のように飛来する。
「うおっ!!」
咄嗟に受け止めるが尾のパワーは尋常ではなく受け止め切れずに後退ってしまう、そして背中に生えている無数の鋭い棘が貫かんと一気に迫ってくる―――が力いっぱい尻尾を殴り付けて吹き飛ばして事で伸びた棘が尾を貫いた。
「ギイイイイイイイイイイイイッッッ!!!!?」
思ってもみなかった痛みに見舞われたタイラントは悲鳴を上げながらも思わず跳びあがりながらも棘を戻しながら振り向き、出久を怒りに満ちた瞳で睨みつけながら自慢の足で大地を蹴りながら一気にトップスピードへと到達しながら突進を繰り出す。それに対して出久は腰を深く落としながらそれを迎え撃つ体勢を見せ付ける。
「ATOMIC SMASH!!!」
迫ってきたタイラントが鉄球を撃ちだしながら迫ってくる中、出久は落ち着く払いながら放たれた鉄球を回避すると目の前まで迫ってきたタイラントへとカウンターの一撃を炸裂された。深々と突き刺さった一撃を受けて倒れこむタイラント、出久はそのまま尻尾を掴むとフルカウルを発動させながら一気に持ち上げるとジャイアントスイングで投げ飛ばす。
「イズティウムゥッ……光線ッッ!!!」
投げ飛ばされたタイラントへと向けて放たれた最強の一撃、先程のように吸収する事も出来ずにそれを諸に受けてしまうタイラントは大声を上げながら倒れこむと大爆発を起こして消えていく。それと同時に街も消えていくとマイクを持った発目が声を上げた。
「はいっという訳でこれがウルトライブ・シミュレーションです!!此処ではPLUSの活動の中で得られたデータを使って再現された怪獣と再現投影された街の中で戦うというウルトラマンの気分を味わえるというエリアなのです!!皆さんも一度は考えた事があるんじゃないですか、あんなヒーローみたいに戦いたいとか活躍中のヒーローに自分を投影させたり。そんな夢をこのエリアは叶えられます、貴方もウルトラマンになれます!!」
その発目の言葉は様々な人々の心を揺さぶった。この超人社会であるからこそ皆が思った事、あの光の巨人、ウルトラマンのように戦いたいという願いを叶える夢のエリアに興奮しないわけがないのである。
「ですがこのエリアには注意点があります。先程緑谷さんが見せてくれた見事な戦いで察した方もいると思いますが、このシミュレーションでは実際に怪獣からの攻撃でダメージや衝撃を受けます。安全機構はありますがその点を十分にご承知した上でご参加を、ヒーローと同じ舞台に立つという事の意味を理解した上で参加してください」
「お疲れ出久君」
「有難う御座いますっというかあのタイラント割かしマジで強かったんですけど、発目さん絶対なんかプログラム仕込んでますって……」
「ああうん……君への信頼があるからこそ、じゃないかな」
「そんな信頼欲しくなかった……」
お披露目として急遽依頼された一戦を終えた出久、思った以上の手応えに発目の作意を感じてしまいながら身体を休めているとそこへにこやかな発目がやってくる。
「緑谷さん如何したんですか、ほらっ私特性スポーツドリンクでも飲んで元気出してください」
「……有難いけどなんか怖いんだけど、変なの含まれてないよね……」
「アハハッこれはご挨拶♪」
全く発目さんは……そう言いながらも渡されたそれを飲む辺り、妙な物ではない事は確信しているのだろうと察するマグナは暖かな笑みを作って二人を見る。
「後タイラント如何でした?私なりに組んだ戦闘パターンブッ込んだんですけど」
「やっぱりか……」