緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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ヒーローとPLUSの意識の差。

「難易度は如何します、easy.normal.hard.hardest.Inferno.ultimateですね。当然一番上のウルティメイトは尋常じゃないですけど」

「ムゥッ……此処まで幅広いとは、だが此処は我の実力を測る為にも高みに挑戦すべき……」

「ではどうします」

「ハーデストに挑戦させて頂く!!」

 

また一人、ウルトライブ・シミュレーションへと挑戦する者が現れた。実際に戦う催し物というだけあって参加する人は少なめだがそれを観戦する人は酷く多い、実際に戦っている姿を見られるというだけでも十二分なエンターテインメント性にも長けている。急ごしらえだったがこれのお陰で列管理なども格段にやり易くなったので助かっている。

 

「よしっハーデストレベルを御所望ですのでどれにしましょうかねぇ……所謂正統派怪獣、いえ折角挑んでくれてるのがシンリンカムイなんですからエレキングでもぶつけておきましょうか」

「でもって……実際に戦った僕としては複雑な感じがするなぁ……」

「まあまあ、さてではっレベルハーデスト、ウルトライブ・シミュレーションをスタートします。セレクト、エレキング―――スタート!!」

 

ウルトライブでは投影された怪獣が発目の組んだプログラムなどに従って行動を行って街並みを壊したり挑んでくるチャレンジャーへと攻撃を仕掛けていくのだが、無数のパターンを組み替える事で相手に合わせた動きをする怪獣を再現する。が、限界もあるので発目がリアルタイムでプログラミングを行う為に付きっきりになっている、そしてそのストッパーとして出久も必然的にそこのスタッフをする事になり、マグナもそれに付き合っていた。

 

「そこまでだっエレキング!!貴様の蛮行は此のシンリンカムイが止める!!」

「キィィィィィィィッッ!!!」

「トゥァッ!!!」

 

「勢いは良いんですけどねぇ……如何せん普段通りに動こうとしちゃっててなんか上手くいってないって感じですねぇ」

 

発目はエレキングの状態を確認しながらも戦っているシンリンカムイのデータも確りとゲットしているのだが、如何にも不満げな表情を浮かべていた。何故ならばヒーローとしての動きしか出来ていないからである。

 

「樹木による高機動戦はこの条件だと活かしにくいから必然的に相手の動きを束縛したりになっちゃうけど、それが上手くいってないね……」

「エレキングはその名前の通りの電気を活かす怪獣というだけではないからね、普通にエレキングは実力派な怪獣だよ」

 

身体を縛り上げてくる樹木を力任せに引き千切るとそのまま放電光線を放つエレキングに対し、ウルトラマンの立場として戦っているシンリンカムイは普段行う建造物などに枝を伸ばして行う高機動が全く出来ないので樹木で盾を作りガードする事が精いっぱいであった。

 

「こりゃ駄目駄目ですねぇ……このシミュレーションとの相性が悪いのもありますけど、如何動くべきなのかが肝なのにそこを意識出来てませんね」

「突然私のように戦えと言われても流石に無理さ」

 

思考の転換、そしてウルトラマンとしての意識。それを掴む事が出来れば一気に形勢は傾きヒーロー活動にも応用が利くような刺激にもなるだろうが、それは簡単に掴めない。何故ならば相手はヴィランではなく怪獣。

 

「でもあそこまで動けないんですね……」

「そりゃそうですよ。相手は私達と同じ地球人ではない全く別の存在ですから、無意識的に抱いている安心なんかが一切機能しません。何もかもが未知の相手、それだけで精神的な疲労は凄いんですよ。それを考えると本当にMt.レディは凄いって私ってば尊敬してますよ」

 

エレキングの尾が巻き付いて放電を喰らってしまうシンリンカムイを見つめながらも出久はそれを聞いて確かにと頷いた。今まで培ってきたセオリーや技術、直観的な物も利き辛い完全な未知の怪獣の相手、それにシミュレーションを体験していたヒーロー達は大苦戦しており開始から1時間程度経過するがhardもクリアされていないのだから。

 

「ちなみに緑谷さんが戦ったタイラントのレベルはハーデストですね」

「まあ僕の場合は慣れてるっていうか……というかあれでハーデストなの?」

「あれっ手応えありませんでした?」

「無くは無かったんだけど……そこまで強敵って感じではなかったよ」

「うぅ~むこれは見直し必要ですかねぇ」

 

スカウトを兼ねるこのシミュレーションエリア、ウルトライブでもそれは行われるのだがそれを含めてスカウトしたいと思えるような人材はまだ現れていない。ライドメカの操縦という点ではスカウト候補にしておく程度が精々でそれが最高ラインであった。

 

「だぁ~れもかも、ヒーローとしてしか戦えてないんですよねぇ……PLUSとして戦うって事が何を意味するのか全然分かってないって感じ」

 

退屈そうにしている発目が思わず毒づいた。極論言えばそういう事になってしまう。PLUSは怪獣災害を想定したヒーロー組織というのが世間的な認識だが実際は大きく異なる、実際は人類を守る為に創設された組織。ヴィランと戦うヒーローとは全く違う、強いて言うならばPLUSが行うのは怪獣や異星人との生存競争のそれに近い。

 

「マグナさん、此処は一発お手本を見せ付けてあげてくれませんかね。そうすれば変わるかもしれませんし」

「あれっ僕じゃなくていいの?」

「緑谷さんはもうやってますしある意味同輩と思われる方とマグナさんだと違いが出ると思いまして」

 

その意見に納得しながらもマグナは肩を竦めながらそれを了承する事になった、引退したヒーローや現役ヒーロー達が苦戦する中で名乗りを上げたPLUSの事務職である星 光士の挑戦は周囲から目を引く事になったが同時にヒーローで無理なのに事務員では絶対に無理だと言われる中で出現した怪獣に戸惑う事も迷いもせずに立ち向かっていき、その力を見せ付けるのであった。

 

「緑谷さん、この後一緒に文化祭回りません?」

「……出来れば遠慮したいんだけど」

「アハハッどうせ私が行くんだったらストッパーとして緑谷さん必須だって周囲に強制されますよ」

「ハァッ……分かりましたご一緒させて頂きます……」




次回、出久と発目のデート……いや、出久からしたら発目のお目付け役……だな。

因みにマグナが模範として戦ったのは難易度最高のブラックキングだった。尚、投げ倒して周囲からお前のような事務員が居るかと言われる。

「アハハハハッごもっともだね」
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