緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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出久と発目の文化祭探訪。

「……では我はヒーローとしての動きしか出来ぬゆえに怪獣に負けた、と」

「そうですね、というかあなただけに限らずにハード以上のクリアできない点が相手が人間ではない怪獣である事を意識しきれていないからでしょう」

「成程なぁ……確かに俺もなんか覚えあるな……」

 

ウルトライブの受付スタッフとして動いているマグナこと星 光士、プロヒーロー達が苦戦する中で最高難易度であるウルティメイトへと挑戦し街の建物の損耗率や特定範囲内に怪獣を入れてはならない、3分の時間制限などなどのミッションが加わって状態での一切加減無しのブラックキングとの対決に望み、ブラックキングを約1分間投げ続ける(ミーモスの刑)という戦い方でクリアした彼の下へとクリア出来ずにいたヒーロー達は助言を請っていた。

 

「あくまで逮捕や確保を主とするヒーローとPLUSは全く別ですからね」

「それ程、までに」

「ええっ違うわよ」

「おやっ噂をすれば、ですね」

 

そこに現れたのはPLUS隊服姿のMt.レディ、ヒーローからPLUSへの転向を行い恐らく元ヒーローの中で最もPLUSで貢献していると言ってもいいであろう人物。そして最も怪獣と矛を交えている一人でもある。

 

「光士さんっ私もウルトライブやらせて貰えません?」

「ええいいですよ、でも個性の方は大丈夫ですか」

「問題なしです」

 

ドヤ顔と共に両の手首にしているブレスレットを見せ付けた、何処かウルトラブレスレットのような造形をしているそれは確か発目がシールド博士たちと開発していた筈のアイテムだったと記憶している。

 

「個性制御用のアイテムでウルトラテクターレットって言うんですよこれ、これさえあれば私の思い通りに個性を発動できるんですよ。これでもう事務所を壊しちゃうような日々とはおさらばですよフッフッフッフッ……!!」

「それはそれは……それで難易度は如何します」

「それじゃあウォーミングアップ代わりに……ハードで」

 

サラッとハードを選択する彼女にシンリンカムイとデステゴロは思わず本気かっ!?と言ってしまうが、それにドヤ顔で言葉を返す。

 

「見ておきなさい、これがPLUSの最前線でマグナ様と同じ戦場で戦った女よ」

 

そう言いながら上着を脱ぎ棄てながらやるわよぉ~!!と気合を入れるMt.レディ、その当人としては照れくさくもあるが取り敢えず発目から預かったコントローラーに音声入力を掛ける。

 

「レベルハード、ウルトライブ・シミュレーションをスタートします。セレクト、アパテー―――スタート!」

「シャァッ来なさい!!」

 

気合十分なMt.レディは出現したアパテーに怯む事も無く構えを取り、迫ってくる一撃を受け止めながらもカウンターで顎へと鋭いジャブを加えると直後に組み付くと一気に持ち上げて大地へと叩きつける。何処か自分っぽい戦い方をしている姿を見つつも今頃文化祭を巡っているであろう二人へと思いをはせた。

 

「しかし……出久君はゆっくりと巡れているのだろうか……?」

 

 

「あっ緑谷さんそっちの御団子ください」

「それじゃあそっちのお饅頭と交換で」

「交渉成立です」

 

と3年の出し物の一つである和喫茶にてのんびりと腰を落ち着けながら和菓子をつまんでいる二人の姿がそこにはあった。マグナの不安とは裏腹に発目と出久の文化祭巡りは酷く静かで穏やかな物であった。理由として最たるものそれは―――

 

「なんというかまあ……平凡って感じですね」

「発目さん、それ絶対にPLUSの基地での研究室とか整備エリアと比較してるからだよ」

「だって~私にとっての比較対象ってそれしかないんですからしょうがないじゃないですか~」

 

拗ねるようにお茶を啜る発目だが、彼女は既に本来あるべき技術力よりも遥か先の科学に触れ自ら新世代の技術の根幹を生み出し続けている身。そんな彼女としては文化祭のそれらは今までの物でしかないそれらにあまり興味は惹かれない、そういう物なのだから致し方ないとは思うがやや退屈な気分にならざるを得ない。

 

「いやまあ私だってその辺りを卑下したりするつもりは毛頭ありませんよ、正当な評価と批評しますよ。でも何て言うんですかね、ホラッ既に見知り過ぎている物を見ても何も思わないのと同じなんですよ」

「えっと……飼い犬がお座りとかしても何も驚かないみたいな感じ?」

「正にそれです」

 

ビシィィッ!!と擬音が付きそうな勢いで指を突き出す発目はテーブルに項垂れている。別段評価しない訳ではない、そこには制作者の想いや努力、掛けられた時間に比例するだけのそれらがありそれを否定するのは同じく科学者として製作者として愚の骨頂。だが……何時までもずっと子供の遊戯レベルの工作を見続けて評価できるという訳でもない。

 

「出来るならバンバン口出してこうしたらもっと伸びますよ!!とか是非是非言いたいです、でもそれやっちゃうと怒られますから我慢してるんですよぉ……」

「ああそりゃ確かにそう考えると発目さん的に凄い退屈なのか」

「退屈っというかなんというか……心が躍らないんですよね……これも博士と長いこと一緒にいた弊害ですかねぇ……」

 

発目とグルテンは出久とマグナ以上の付き合いがある、そしてその絆の深さは自分達に匹敵する程。その過程で触れてきたものは余りにも彼女の中にあった価値観を融かし昇華させてしまうには劇的な物過ぎた。それに慣れてしまっている身としては文化祭は余り楽しい場ではないのかもしれない。拗ねるようにしながら再びお茶を啜る彼女に出久は手を差し伸べた。

 

「だったら今ぐらいは全部忘れようよ、技術的な云々は放っておいて美味しい物を食べたり甘いものを食べたりしながら遊んでみようよ。きっとそんな風に過ごすのもいいと思うよ」

「いやまあそうでしょうけど……私は出来るなら研究とかしたいです」

「だからこそだよ、今の平穏を守るための研究をするなら今の平穏を知らなきゃ」

 

思わずキョトンとする、思ってもみなかった言葉いや余りにもありきたりな言葉だった。目的の為には過程を良く知らなければいけない、ある種の神童であった故によく言われてきた言葉だがそれをこんなにも純粋な笑顔と迷いのない言葉で言われたのは初めての事だった。

 

競争の為に自分の速度を落すための方便、自分の才能を妬んだ大人の言葉、様々な物とは違った初めてのそれに触れた時思わず発目は―――頬を赤くしながらその手を取った。

 

「言いますねぇ緑谷さん、それじゃあ今ぐらいはそのお言葉に従いますかぁ……んじゃまず何処行きます?」

「まずは色々巡ってみようよ、食べ歩きしながら色々探るのも醍醐味だと思うよ」

「ほうほうっありですね」

 

一緒に歩き出す二人。出久の隣を歩く発目を見たサポート科は自分の目を疑う事だろう、何故ならば―――常に別の物を見ているような彼女の目が明確に隣に居る出久を見据えて、その言葉と表情に反応し、笑っているのだから。




発目さんの暴走回だと思いました?いや私もそうしようと思ったんですけど、冷静に考えたら彼女が暴走するものが出久やPLUS以外であるのか?という疑問にぶち当たりまして、こうなりました。

結果、なんかすげぇヒロインっぽくなりました。あっれ~彼女ヒロインだったっけ……ストレイジのユカさんとかXIOのルイルイポジのつもりだっただけど……。
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