M78星雲・光の国。ウルトラマンヒカリの研究室。
「フムッ……実に興味深いな、いやゼロ、このデータを持ち帰ってくれた事は本当に助かった。次元刀の性能アップに大きく貢献する」
「そう言われても俺は何にもしてねぇから礼ならオーブかマグナが帰って来た時にでも言ってやってくれよ」
カトレア王女を無事に光の国へと送り届ける任務も無事に終える事が出来たゼロ、その後にデビルスプリンターの影響による怪獣退治をある程度こなした後に光の研究室へと顔を出していた。ゼロ自身が自分だけで別次元の宇宙へと移動可能な能力を持っているのでその研究協力によって次元刀の改良を試みている。
「しかしマグナは元気にしていたようで良かった、帰ってきたら私も詳しく話を聞きたいな」
「ウルトラ・フォー・オールの事か?」
「ああ。マグナの居る次元の地球人の個性という力も興味深いが、それ以上にウルトラマンの力と一つになったというそれは酷く興味がそそられるよ」
それはヒカリ自身が嘗て、メビウスと共に地球人たちと一つとなったからか。その絆が生み出した奇跡のウルトラマンとして共に戦ったから故の言葉なのだろうとゼロは感じていた。マグナの中で生き続けたアサリナ、そして地球にて脈々と受け継がれていたという平和を願い思う絆の結晶たるワン・フォー・オール。それらが一つになったというウルトラ・フォー・オール。
「君から見てそれは如何だった」
「正直言ってとんでもねぇと思ったな、元々マグナは強かったがそれが跳ね上がってやがった」
「それ程か」
「ああ、多分師匠に確実に拮抗出来る位だな」
それを聞いて益々興味が強まった。ゼロの師匠、ウルトラマンレオと言えばウルトラマンの中でも屈指のグラップラー。元々格闘戦が得意なマグナでもレオには勝てた試しがないが、それが迫れるとなると途轍もない事になる。是非とも戻って来た時には調べさせたほしい。
「ンな事よりもマグナの奴に新しくメダルを送るって話、マジなのか?」
「ああ、彼からの報告書を受け取ったゾフィーと大隊長が決定を下した―――何せ彼の手にもベリアルのメダルが入ったのだからな」
「―――マジか」
上げられた報告書、そこにあったのはマグナの宿敵でもあり彼の親友でもあるアサリナの命を奪ったアウローラが使用していたと思われるメダルの確保に成功したとあった。だがそのメダルはゼットの持っているメダルに比べて酷く不安定な物らしく、マックスらのメダルを拒絶する程。故にベリアルのメダルを使う為のメダルの開発が行われているとの事。
「あの野郎の為に動かなきゃならねぇと思うと気に入らねぇな……」
「そう言うなゼロ、ベリアルの力と言っても結局のところ使うのはマグナだ。彼ならば問題なく使いこなせる筈だ」
「……まあ分かってるけどよ」
ゼロとしてはやや複雑な所があった、これまでもベリアルの力を使うウルトラ戦士はいるが今度は自分達がベリアルの力を使う為に力を尽くそうとしている。長年戦い続けてきたゼロとしては奇妙な気持ちを抱えざるを得ないが、自分がゼットの弟子入りを断り続けた結果、代わりに師匠になってしまったマグナには色んな意味での恩がある。此処は素直に協力しなければ……。
「ンで誰のメダルを作るんだよ、あの野郎並のメダルってなりゃ必然的に絞られるだろ」
「既に候補は上がっているがゼットの話を聞いてライズウルトラメダルにして送るつもりだ」
「お帰り、如何だった楽しめたかい」
「いやぁ案外楽しめましたよぉ~偶には頭を空っぽにするのも悪くありませんねぇ~」
「今戻ったよ光士さん」
「だから光士さんじゃなくておじさんでいいってば」
戻ってきた二人を出迎える光士の姿に発目と出久は驚いてしまった、そこにあったのはウルトライブ・シミュレーションの盛況ぶりが凄まじさだった。周囲を囲むようにしている観戦客などでごった返しておりその周囲では経営科の店舗が何時の間にか並び立っており飲み物や食べ物などの販売を行っていた。
「移動式の店舗になってる……何て商魂逞しいんだ……」
「まあ経営科はその辺りのビジネス云々の知識やらを学ぶところですから、文化祭なんてそれらを発揮する場所ですから。許可は出したんですよね?」
「当然。真摯に頼みに来てね、是非ともお願いしますって頭を下げられてしまったよ。唯の事務員のおじさんに頭を下げても意味なんてないのに全く困ったもんだよハハハハッ」
笑う光士だが周囲の人々は内心で何処が唯の事務員のおじさんだよ……とツッコミを入れていた。そんな皆が見つめる先では再度挑戦を行っているシンリンカムイが戦い方を悪戦苦闘の末に漸くハードクリアを達成し、Mt.レディと光士を除けば初めてのハード以上の難易度クリアを達成していた。
「オオオオッッ!!!光士殿ォッ我やりました!!」
「お見事、ですが内容はあまり褒められるような物ではありませんね……」
「何ですと!?」
「周囲、ごらんなさい」
「あっ……」
シンリンカムイが向けた先には投影された街が滅茶苦茶に破壊されている惨状であった。無我夢中に戦うが故に相手を容赦なくビルに叩きつけたり、自身もビル数棟を貫通して吹き飛ばされてたりしていた。故に街へのダメージも相当な物となっていた、メビウスの初戦よりも酷い事になっている。
「まあハードでは街への被害率はクリア条件にはカウントされてませんから問題はありませんけど……」
「ううっ……しまった、考え付きもしなかったとは……!!!」
唯戦うだけでは意味がない、街への被害を考えなければいけないのはヒーローと同じだが怪獣相手の場合その規模も範囲も極端に大きくなっていく。怪獣にとってビル一つを消し飛ばすなんて簡単な事なのだ。それらを考慮して相手の攻撃の回避や防御を選択しなければならなくなってくる、ウルトラマンの戦いとは過酷なのである。
「アハハハハッあんだけ大口叩いておいてそれぇ!?マジ受け何ですけどぉ!!」
「うっうるさいMt.レディ!!我はまだ、そうウルトラマンのファイトスタイルにまだ慣れきっておらぬのだぞ!?」
「あ~やだやだ仮にも私よりも先輩なのに言い訳なんて情けな~い」
これは傑作だわっといい顔をして笑うMt.レディに事実なので何も言えなくなるシンリンカムイ、だが流石に言い過ぎなので諫めておく。
「こらこら
「ブッ~そんな言い方ってズルいと思いま~す」
そう言いながらも従うMt.レディの姿を見て発目は出久に耳打ちをする。
「あの、もしかして何となく気付いてるんじゃないですかね……」
「えっそんなのあるの!?」
「いや多分無意識的なあれだとは思いますけど……ほらっ雰囲気というか感覚的に似ている物を感じ取ってるだと思いますよ」
言われてみるとMt.レディは何処か光士と話している時は笑みが多くなっている気がする、マグナに心の底から惚れこんでいる彼女だからこそ分かる何かがあるのだろうか。
「これ、一応言っておいた方が良いかな……」
「まあ多分大丈夫だと思いますけど、後でマグナさんには言っておきましょうか」
「今貴方達マグナ様の話をしなかったかしらしていたら私も混ぜなさい!!!!」
「「(なんて地獄耳!!?)」」
―――楽しそうに笑うじゃないかマグナ、ぁぁっその顔も良いなぁ……。
光士をマグナと呼ぶその視線は悦に浸りきった言葉を零しながら蕩けていた。そこにある感情は何なのか、幾重にも絡まった無数の渦が成す闇。その奥の奥に更に深く暗い闇、それこそがそれであると言わんばかりの物を纏いながらもマグナを見つめている。
―――でもねぇ……君のそれを受けていいのは
〔BLITZ-BLOTZ〕
向けられたそれは雄英近くの街の空に渦巻くどす黒い雲を作り出した、そしてその中からより一体の怪獣が飛来する。それはまるで烏天狗を思わせるような外見をした極めて人間に近いシルエットをした白と黒の巨大な魔人。巨大な赤い瞳のような物で周囲を威圧するようにしながらも真の瞳で周囲を冷静に見極めている。
破滅魔人、ブリッツブロッツのエントリーだ!!前々から出そうと思ってたら公式のステージで出ちまったよ!!しかもアグルのSVと一緒に出ちまったよどうすんだよ興奮するなって方が無理だろこれ如何したらいいんだよこれ!!?
取り敢えず、アグルおめでとうございまぁああああああす!!!