「まさかこんなタイミングで怪獣が出現するなんて……!!」
「校長急いで避難の誘導をしなくては!!」
「幸いな事にPLUSの方々もいますし誘導は極短時間で終わるでしょう!!」
「いや誘導はしない、逆に皆には落ち着いて行動するように伝えて欲しい」
突如出現した怪獣の存在に阿鼻叫喚の騒ぎとなりそうになる教員たち、その中で唯一絶対的な冷静さを纏っていた校長の根津は逆に避難させる事が大パニックを誘発し怪我人を出す事を心配していた。
「何、大丈夫さ。此処にはなんせ―――」
「お邪っ魔しまぁぁあす!!」
「は、発目お前扉を蹴破るなぁ!!!」
突如扉がくの字に拉げながら天井に突き刺さるというハプニングが起こる、が続いて聞こえてきた発目の声に教員たちの驚きは一瞬で鎮静化させられた……が唯一人パワーローダーだけは「なんて事をしてるんだお前はぁ!!!」と顔を青くしながら激怒する。
「いやぁすいません驚いていたものでして、修理費用は私のお財布からお出ししますのでご安心ください」
「そういう事を言っとるんじゃない!!というかお前は何をしに来たんだ!?」
「ああっ根津校長にお願いされてた事の完了をお伝えに来ました―――雄英は安全です」
その言葉に根津は心からの安堵の表情と共に感謝を浮かべながら発目に頭を下げた。それを受けてもPLUSの隊員としてやるべき事をやっただけだと応える彼女、そして何が起きているのか分からなそうにしている教員たちだが窓の外で何かが起きていた。雄英の敷地全体を覆うかのように光の壁のような物が形成されていった。
「私を始めとしたPLUSのメカニック達が総力を挙げて開発した対怪獣災害想定陣地防衛用エネルギー障壁、ウルトラエナジーシールドです!!下手に避難するよりも此処にいる方が無難ですよ」
「耐久力はどの位だい?」
「そうですねぇ……PLUSで開発された特空機、ああいや巨大ロボの攻撃にも耐えられる位ですね」
「十分だ。マイク直ぐに放送をしてくれ、皆さんには落ち着いてほしいとね」
「ROGER!!」
直ぐに放送室に向かって行くマイク、それを見送ると直ぐに凄まじい地響きが轟いた。
「な、なんだ!?」
「怪獣が暴れてるのか!?」
「いいえ違いますよ、来たんですよ希望が―――私達を見つめてくれてる光の巨人がね」
地上へと降り立ったブリッツブロッツ、周囲を威圧するような巨大な頭部の眼状紋で周囲を惑わしながらも真の蒼い瞳で周囲を見渡している。だが見続ける中で違和感に気付く、街中に人間の姿が全くと言っていい程にないのである。気配すらも無い、一体どういうことなのかと思いながらも気配を探ると高い丘の場所に酷く密集した気配を感じ取った。そこかと思い直しながら翼を広げようとした時―――赤い流れ星が大地へと落ちた。土煙の奥、その奥から敵意を感じ取ったのか一歩引いた。
「ギィィイイイイッ……!!」
「ディァッ!!」
土煙の奥、晴れた先にいたのは光の巨人。その姿を見ると瞬時に戦闘態勢を取った、それの目的がマグナだからか、向ける全てを向けながら体勢を取る。
『ブリッツブロッツとはな……油断するなよ出久君』
『はいっ!!』
「ォオッ!!」
走り込んでいくマグナ、それと同時に駆け出すブリッツブロッツ。互いに一撃を放つがそれらは全く同時に回避する、それを切り返し後ろ回し蹴りを両者が同時に放ち空中でぶつかり合う。迫りくるブリッツブロッツの攻撃を的確に捌きながらその顔に一撃を喰らわせて怯ませると腕を掴み、一気に投げる。
「ギィィイイイイ!!!」
素早く立ち上がりながら地面を蹴りながら手を刀のように振り切る、それは回避されるが着地しながらもそこからエネルギーを放ちながらそれを固定化し光の刃を形成する。
『あれはビゾームの……矢張り単一ではなかったか』
『きます!!』
一気にリーチを伸ばしたブリッツブロッツ、その光の剣を振り被ってマグナを切り裂こうと迫りくるがそれを回避していく。だが回避し続けられるだけではない、見事に身体を回転させながらも剣を振るうと身体の一部へとその剣が命中した。掠る程度だがそれを浴びたマグナは矢張り本格的に喰らったら危ないと理解する。
『生憎そういう技は未修得なんだけどなぁ……!!』
『えっ出来ないんですか!?』
『いやだってあれ長時間エネルギーを放出しながらそれをほぼ物質に固定するから超難しいんだもん』
『言ってる場合じゃないです来ますよ!?』
飛び掛かるように斬りかかってくるそれを前転して回避する、剣を振るう度に太刀筋が鋭くなっていく上に威力も倍増していく。このままでは不味いと確信したマグナは一つの作戦を思いついた。勢い良く振りかぶってくるそれに対して細かい動きで回避しながら接近し、この一撃で決めると言わんばかりの大振りのそれを誘い、それが来た時に
『これだっ!!!出久君行くぞ!!』
『はい!!』
『『ウルトラ・フォー・オール・フルカウル!!!』』
瞬時にフルカウルを発動させてスピードを強化すると回避しながらもその腕をガッチリとホールドした。肩と手首を抑えられた事で光の剣を完全に振るえなくなってしまい呻きブリッツブロッツ、それに対してマグナは勢いよくその腕へと向けて膝蹴りを叩きこんだ。
「ダァァァッ!!」
「ギイイイイァァアアア!!!?」
「ディァァアアアア!!!」
渾身の膝蹴りが炸裂しブリッツブロッツは尋常ではない痛みと苦しみに満ち溢れた絶叫を上げる、だが上げきる前にその顔面へとスマッシュが炸裂し大地へと沈められた。光の剣は四散してしまい右腕は尋常ではないダメージを浴びてしまったブリッツブロッツ、ヨロヨロと立ち上がるがその時、胸の十字部分を展開しそこから赤い結晶体を露出させた。
「ギィイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!」
悲鳴、ではない。憤怒と憎悪に塗れ切った雄叫びが街に木霊する。その雄叫びと共にその肉体が変貌していく、白かった部分は黒く歪な甲殻で覆われていき手の甲からは鋭い爪のような物が飛び出した。取り込んでいたであろうビゾームの力が表層化した、というだけではない。他にも左手にはドリルが出現している。それらを見て直ぐにマグナは一体何の怪獣の力を取り込んでいるのかを理解する。
『ビゾームにXサバーガ……強い怪獣ばかりを取り込んだものだな!!』
―――それだけじゃ済まさないけどね♪
「ギィイイイイオオオァァァァッ!!!」
「ォォォォッ……」
「ォォッ!!?」
もう一つ、まるで唸り声のような駆動音に振り向いたマグナ。そこにはもう一体の怪獣が存在していた。頭部に三連式のガトリングのような砲塔を携えたずんぐりとしながらも酷くどっしりとした身体を巨大な鉄神。それはエンペラ星人が尖兵として送り込み、当時のメビウスが手も足も出なかった無双鉄神 インペライザーであった。
『インペライザー……!?』
『完全な二対一、不味いですよこれ!!』
出久もウルトラ戦記を学んでいた時にメビウスの章にてインペライザーの恐ろしさを知ったが故に動揺を隠しきれなかった。100m級の氷塊を粉々にするメビウスの必殺技を受けてもびくともしない装甲を持ち圧倒的な出力と腕部を変幻自在に武器へと変貌させるその強さを。ゼットとハルキがいてくれたら互角なのだが……と思っていたその時であった。
「デュォ?」
マグナとインペライザーの間に入るかのように二つの影が割り込むと空から巨大な人影がゆっくりと降下してきた。それは大地に降り立つと巨大な音を立てながらも雄々しい雄たけびを上げるとインペライザーへと戦闘態勢を取った。
「キシャアアアアアアアアアアアッッッ!!!!」
『ハッハァッ!!PLUS特空機初号機 フェンサー・ゴモラただいま見参!!』
『押忍!!同じく特空機零号機 レギオノイド・フェンサーただいま到着!!』
そう、PLUSの特空機であるレギオノイドとゴモラが到着したのである。発目が文化祭で特空機の事を披露したいと準備をしていたのだが、まさかこのような事になるとはナイトアイも許可した時は思いもしなかったが備えあれば憂いなしという奴だろうか。そしてそれに搭乗しているのはゴモラの操縦経験のある発目とレギオノイドのテストなどをしていたハルキである。
『マグナさん此方はお任せください、特空機の力見せてやりますよぉ!!』
『任せてくださいっす!!もう、貴方だけに地球を守らせはしません!!』
『頼もしくなってるじゃないか、ではそれに期待しつつ……私達もやる事をやろう!!』
『はいっ!!負けてなんていられません!!』