緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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PLUS or HERO.

「そう言えば間もなくヒーロービルボードチャートの発表でしたな……今回は一体どうなる事やら……」

「矢張り気になりますか」

「そりゃ気になるでしょうよ、ナイトアイ参謀だってヒーローなんですからぁ~」

 

ナイトアイの部屋、そこに集まっているのはナイトアイにマグナだけではなく発目や出久も集結している。本来は此処にハルキやゼットもいる筈なのだが二人は現在レギオノイドの調整に付き合っている真っ最中。マグナとの組手後にほぼ拉致同然に連れて行かれて、ハルキは兎も角ゼットは

 

『これが時間外労働って奴で御座いますかぁぁぁぁっ!!?』

 

と言っていたが、行うのはハルキであってゼットではないのでそれは全く当てはまらない。加えてハルキの体力などはヒーリングパルスで回復させているので問題はないだろう。まあ精神的な疲労は取れないが―――そんなゼットは置いておいて話題は時期が近付いてきたヒーロービルボードチャートへと移ろいでいた。

 

ヒーロービルボードチャートJP。それはヒーローの事件解決数、社会貢献度、国民の支持率などから算出される毎年二度発表される現役ヒーローの番付。このチャートにて上位に名を刻むほど、平和の為に貢献し人々に笑顔を齎したヒーローとなる。

 

「でも確かに下半期は発表されてませんもんね……でも今期は凄い荒れそうですね」

「おやっそうなのかい?」

「ええ、ヒーローの事件解決数、社会貢献度、国民の支持率などを集計するのですが今期は特に荒れるでしょう。何故ならば現役活躍中の人気ヒーローもPLUSへの参加していますので例年以上に荒れるでしょうな」

 

神野区での大事件によって正式に組織されたPLUS。それへと参加しているヒーローは数多く、その中には現役活躍中の人気ヒーローもいる。彼らはヒーローとして貢献し続けてきた訳だが……それがPLUSの隊員となる事は完全にヒーローとしての活動を停止することを意味する。

 

「正確には全面的にPLUS隊員として動く事が優先されます、よってヒーローとしてはカウントされません。今PLUSにいるのはヒーローを完全にやめる覚悟をし、隊員として腰を据えて活動している元ヒーローが圧倒的です」

「成程。ヒーローではないと完全に認定されるので今までのヒーローとして築き上げたキャリアを捨てるに近いという訳ですか」

「そういう事です。ヒーローとしての名声など怪獣災害には意味がない、一人の隊員としてそれらに向き合う覚悟が求められる。それだけ怪獣災害に対して備える構えを取っているのです。ですが兼業を行っている者もいます……はぁっまあまだ人手不足ですゆえ何も言いませんが、それらが解消された場合は彼らは即座に登録抹消を迫り、隊員かヒーローの二択を問います」

「いやぁスパルタですね~」

 

PLUSとしての経験はヒーローとしても大いに活用は出来るだろうがその程度の意識ならばいない方が良いと既に割り切っている、現状では許容するが時期が来れば即座に……と、ナイトアイは思っている。

 

「という訳でして、トップ10だけではなく上位勢の多くが此方(PLUS)に来てる訳ですから今期は荒れるぞ~っという訳です」

「僕が見た事がある範囲でもフローティングにストロング、トランサーにサイコキノ……上位常連ヒーローが居ますもんね」

「うむ。彼らはPLUSに来るまでヒーローとして活躍し続けたヒーロー達、それらが居ないチャート……私も少し気になるな」

「でも中には平和の為に働きながら安定したお給料貰える事に驚いてた人もいましたよね」

 

発目のそんな言葉にナイトアイはそんな奴いたのか……と青筋を立てながら頭を抱えた。マグナから信頼され情報を預けられ、実質的にPLUSの最高責任者である彼からすればそんな邪な思いで隊員をやっているものがいるのか……と思わずにはいられなかった。

 

「因みにその一人はMt.レディでしたよ」

「何を言ってるんだ彼女はっ!!!」

「あ~……ヒーロー時代のMt.レディは個性の影響で周辺に被害出しちゃったりしてその賠償やらとか事務所を壊しちゃったりとかあったらしいからそれなのかな……」

「正しくそれです。安定したお給料の嬉しさに感動しつつ、マグナさんグッズを購入したりファンクラブの会長として色々やってるらしいです」

「「何をやっているんだ彼女は……」」

 

思わずマグナも溜息混じりそんな言葉を口にしてしまった。頭痛が感じる前にマグナは舵を切る事する。

 

「し、しかしそれではPLUS側に偏ってしまうのでは?」

「いえ現状ならばなんとかバランスは保てています、寧ろそれを危惧し参加せずにヒーローとして活動している方々もいます」

「エンデヴァーとかがその筆頭ですねぇ~」

 

ツルク星人(怪獣)の強さをその身で感じたエンデヴァー、本人もPLUSへの参加を本気で考えていたらしい。あれほどまでにオールマイトを超える事に固執していたあの男が本気で思案する程、だがヒーローの側からも支える者が必要だと至ったのかこれまでと同じ立場に立つ事を決意したとの事。

 

「今期のチャートは新世代の始まりとも言えるでしょう」

「でも№1はどうせオールマイトでしょうね、マグナさんのヒーリングパルスで絶好調キープ中ですし」

 

と発目の言葉に思わず同意する。彼女はマグナの秘密を知っている、その流れか出久の個性についても知っている。だとしても興味はウルトラマンとしての力云々に向いているのか其方にはあまり興味はない、というより長い目で観察した方が有益だと思っているらしい。

 

「そして今回のチャートには私はゲストとして出席する事になっています」

「ゲスト……?」

「ええ、PLUS参謀としてのコメントが欲しいとの事です。まあその場でヒーローとしての責務から逃げ出して代わりに得た地位の席の座り心地は如何だのヴィランを採用するなど理解出来ないとでも問うつもりなのでしょう、実に下らない」

 

世間的にPLUSに移籍したヒーローに対する風当たりはやや強い、特に実質トップのナイトアイへの物は相当な物。PLUSの活躍を知られているにしてもこれだ、自分への追及でもして晒上げにでもする気なのだろうか。まあヒーローが集う場でそれは無いだろうが遠巻きに文句を言う気ではあるだろうと察している。

 

「ヒーロー移籍によって地方でのヴィラン出現率が上がっている事へのコメントとかも求められるかもですね」

「そんなのナイトアイのせいでもPLUSのせいでもないのに……!!」

「だからこそ私は出ます、私が何と戦う為に日々責務を果たしているのかを。マグナさんから頂いたお気持ちに応える為にも」

「私など気にしないでください。貴方は貴方の為したい事を為せばいい」

 

強い意志を携えながら、ナイトアイは―――下半期ヒーロービルボードチャートへと向かった。その目はヒーローではなくPLUSの参謀として、ウルトラマンに託された使命と信頼に応える一人の戦士としての瞳だった。




次回、あのヒーローの登場&ナイトアイ、語る。
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