アートデッセイ号はマグナの心労を他所に九州へと到着したのであった。但しアートデッセイ号の発表はまだの予定であるので上空にて待機させる事になった、そして地上へは何れ建造する事になるであろう空中母艦と地上を結ぶ役目を担うシャトル、ダヴ・ライナーを用いて地上へと降りる事になった。
「しっかし九州まで約2時間かぁ~あんな巨大な船が移動していると考えると十分過ぎるレベルかな」
「だろうな。だがあれでもまだまだ最大ではないのだろう」
「発目少女はそう言ってたね、動力炉はレギオノイドに搭載されていた物とパワーセルを発展させた物を使ってるらしいけどまだまだ調整を進めていく必要があるらしい」
と街中を行くトップヒーロー三人に紛れる出久と焦凍は周囲からの視線が凄い事になってる事にやや戸惑っていた。実際問題まさか2時間で九州まで来れるなんて思ってもみなかったのは事実、しかしこれでもまだまだ動力炉の最大出力は出せておらず、最終的にはレギオノイドの動力炉をサイズアップした物を3基と補助動力としてパワーセルを使う事で九州まで1時間を切るかもしれないらしい。これを聞いてマグナはより一層頭を抱えたのは言うまでもない。
「さてと……取り敢えずこの前
「おい貴様から持ち掛けてきた話だろう、もっと真面目に取り組め」
「まあまあまあエンデヴァー、それだけ余裕があるというのは一つの長所さ」
楽天的なホークスに溜息を漏らすエンデヴァー、フォローしつつも周囲の人たちからの声に応えるオールマイト、そしてその最中で自分の個性で出来る限りの活動を行っているホークスとトップヒーローと言えば此処まで変わってくるのかと出久と焦凍は思い知らされた。此処まで方向性などが違いが出ているのも面白いと感じられる。
「轟君、エンデヴァーと訓練してたって聞いたけどどんな感じだった?」
「悪くはないと思う。正直、助かった面も大きい」
焦凍は素直にウルトラスーツの訓練中に父からアドバイスや技を教えて貰った事は有難いと感じている。まだ親子としては多少の確執こそあるがあくまでPLUSの特別隊員としてプロヒーローのエンデヴァーと接する事は出来ていた。それはエンデヴァーがPLUSに行く事を認めているからだろう、そして其処でエンデヴァーが己の必殺技である嚇灼熱拳の一部を授けてくれた。
「まだABSOLUTEをコントロールしきれてねぇ所があった。そこにあいつが熱を溜めて放つって事を教わって今練習中だ。炎を圧縮して放つ、氷を圧縮して放つ……」
「そっか確かに轟君って今まで溜め無しの最大出力を放ってるってイメージが強かったかも」
「ああ、だから溜めるって言うのはいい刺激になった。絶対零度と絶対熱……俺のスーツを使うこなす為には最高の課題だ」
口角を持ち上げながら両手を握りしめるその姿にエンデヴァーも人知れずに笑みを作っていた。漸く父親らしい事が出来ている、息子を導けているという嬉しさに心が躍ってしまっている。それを隠しているつもりの
「でも簡単に見つかるのかな……かなり目立つ格好だったけど……」
『少なくとも彼らが侵略目的であるならばある程度方法を絞る事は出来るよ、どれも酷く気長な物だけどね』
街中を注意深く観察しながらもマグナからメトロン星人について聞かされる、何度も地球に来訪しその度にある種人間同士の信頼関係への挑戦に近い侵略方法を取り続けてきた宇宙人の代表格。有効的な侵略であると同時に酷く気長な物が多かったという印象があると言われる中で、ホークスはこめかみを叩き通信機を起動させる。
「〈―――発見しました、廃ビルの中へと入っていきました。周囲に人影は無し、荷物を持ってひっそりとそこへ入っていきました。〉」
「〈―――エンデヴァー承知した。〉」
「〈オールマイト了解、よし我々もこっそりと行こう。緑谷少年と轟少年もこっそりと付いてきたまえ。〉」
「〈わっ分かりました。〉」
「〈はい。〉」
ホークスは自らの個性、剛翼の羽を飛ばし空気の振動を感知して音などを判別する事で広範囲の索敵を行った。そしてその地点に何かが居る事を突き止めた。それらを瞬時に伝達させるとすぐさまそこへと向かう事にした。解体が決定した廃ビル、そこに潜伏したと思われる存在への奇襲を行う為にひっそりとそこへと侵入する。相手は異星の侵略者、何かあるかもしれないと細心の注意を払いながら奥へ奥へと進んでいく―――そしてそれは顔を見せたのであった。
「ようこそヒーローの皆さん」
『ッ!?』
そこにあったのはなんと様々な家具に囲まれた内装の部屋だった。立派な地球人の部屋と言っても過言ではない部屋の中央に隠れるつもりなどないと言わんばかりに大きなちゃぶ台の前に堂々と立ちながら丁寧な言葉で自分達を歓迎してきたカラフルな宇宙人、そう目当てのメトロン星人であった。咄嗟に全員が攻撃態勢を取るのだがそれにメトロン星人は困惑したようにストップと言いたげな動きをする。
「あ、あのなんか戦うつもりはないみたいですけど……」
「もっ勿論私はそんなつもりは一切ありません!!私は侵略が目的ではないのですから……!!」
「―――話を聞かせろ」
出久の言葉に帰ってきた返答を聞いて取り敢えず話を聞く事になり、一先ず攻撃態勢が解かれた事に一息ついたメトロン星人は冷蔵庫から何やら自分と同じカラフルな缶を取り出してそれを差し出してきた。そこには
「一先ず自己紹介をば……私はメトロン星人のジェイツと申します、この地球には偶然足を運んだのです」
「偶然だと?」
怪訝そうにするエンデヴァーにジェイツは身の潔白を証明する為か正直に身の上を語り始める。別の地球にて自分の同胞が住んでいるという話を聞いて自分も地球に行ってみたいという願望が生まれたらしい、そしてやって来たのがこの地球であり様々な姿を持つ此処ならば自分も姿を偽る事も無く地球人とコンタクトが取れると考えてそのままの姿で活動をしていたらしい。
「つまり……地球に遊びに来たと?」
「端的に言えば……同胞の友曰く、アイドルが素晴らしいと聞いたので」
「アイドル……宇宙人もそういうの好きなのか」
『それ絶対快傑ズバ……じゃなくてタンバリンおじさんの丹波さん、ジェイスじゃないか……』
「(えっ誰ですかそれ)」
話を聞けば聞く程、彼は悪人ではないという事が判明しホークスは胸を撫で下ろしながら地球に友好的な宇宙人が居る事が分かっただけでも大収穫かもしれないというとそれに関しては全員が同意するのであった。
「しかし私などよりも注意すべき存在があると思いますが……」
「何だと?」
「実は私、このような物を見たのですがご存じでしょうか」
そう言いながらジェイツは何処からか一枚の写真を取り出して見せた、そこにあったのは……複数の怪獣の特徴を併せ持ったような脳無の姿であった。
「これはっ……!!」
「脳無!!」
「……ジェイツさん、だっけこれ何処で」
「この近くの廃工場ですね」
「おい緑谷これ……前に基地に来た怪獣に似てねえか」
「うん、複数の怪獣の特徴を併せ持つって意味だと凄い似てる……」
『アウローラの仕業か……怪獣と脳無の合成……何が目的だ……?』
ジェイツの友、ジェイスについて解説。
夕焼けのエージェントことメトロン星人 ジェイス。ウルトラマンギンガS 第12話にて登場したメトロン星人、侵略目的で来訪しアイドルブームに目を付け、人間の理性を麻痺させ凶暴化させる宇宙ケミカルライトを開発し、地球人の信頼関係の崩壊を目論む―――
のだが、ライブ中にライトの効力を発動させてもアイドルファンはライブに夢中だった為不発。それ所かジェイス自身がアイドルにドはまりしてしまうという珍事が発生。そのまま侵略が如何でも良くなり、地球人の友人も出来たジェイスは自室でオタ芸を練習するなど充実した日々を過ごし、何時しかタンバリンおじさん丹波としてライブの名物キャラになっていた。
かなりギャグ印象が強い話だが、夢中になれるものがあれば姿も星も関係ないというメッセージが込められているとても良い話。オタ芸する
メトロン星人は世代によってあの手この手で侵略方法を変えてくるから本当に面白い、後リアルタイムであのシーンはズバットじゃねぇか!!って親父が突っ込んでた。今ならその意味が分かってしまう。