緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

183 / 232
アウローラ。

究極生命体、それを知っているゼットは思わず背筋が凍るような感覚を味わってしまった。それは自分がゲネガーグを追ってハルキの居る地球へと訪れる前に体験した戦いにてあのゼロを退ける程の力を秘めた存在―――

 

究極生命体

アブソリュートタルタロス

 

全てのゼットンの頂点に君臨する人工生命体、恐魔人ゼットにユリアン王女を襲撃し拉致しようとしたりベリアルやトレギアの並行同位体を伴う。それ所か最終的に光の国を明け渡せと言ってきた程の存在が関わっているなんて考えてもいなかった、しかもその力によって―――マグナの親友であるアサリナの並行同位体がアウローラの肉体として使われているなんて……。

 

『貴様っ……別の宇宙の彼女にまでも……手に掛けたというのか!!!』

 

一体化している出久ですら驚くほどの怒声、感じた事のないような怒りを纏いながら激怒するマグナ。だがそれも当然の筈、自分もアサリナとの関係は知っているし自分が救えなかった命と嘆き続けていた事も知っている、例えそれが自分と共に歩んでいるという事が分かったとしても。

 

『そうさそうだよそうなんだよ!!いやぁあの究極生命体に頼んだ甲斐があったよねぇ……それにねぇマグナ、この身体は喜んでいるんだよ、また君に会えた事ね♡』

『何を、何をほざくっ!!!』

『アハハハハッ健気だよねぇ僕に手を掛けられながらも最後まで君という人への愛を抱き続けていたんだからぁ……そりゃ喜ぶよねぇ歓喜するよねぇ僕の身体もだからこそ疼いてしまうんだよねぇ……』

 

確保されアウローラに精神と魂を蝕まれながらも最後まで想い人(マグナ)への想いを持ち続け、そして彼の事を心配し続けながら彼女の魂と精神は消え去り、後に残った肉体は支配されてしまった。だが残り続けた物はあった―――それがマグナへの愛。魂が消えようと愛は残った、そして身体を支配したアウローラへとそれが流れ込んだ。

 

『僕は唯への嫌がらせだけでアサリナという肉体を選んだだけ、だがこれは予想外だったさ。そして興味深かった、魂すら滅したのに残る愛とは何か、とね』

 

嫌がらせ、ただそれだけの理由。それだけの理由で別の世界のアサリナにすら手を掛けた……ただそれだけの理由で……魂すら、消滅させられた。その言葉が唯々マグナの脳裏を過り続けて行く。

 

〈なんて下衆なんだい……オール・フォー・ワン以上じゃないかい……〉

 

思わず、ウルトラ・フォー・オール内の菜奈が毒づいた。彼女は聞いた、ヴィラン連合の死柄木弔と呼ばれる少年は自分の孫である志村 転弧であると。それを聞いた時も激情に駆られそうになるとともに悔やみもした、そしてそのような事をしたオール・フォー・ワンに対して怒りもしたが……アウローラのそれはそれ以上。

 

アサリナはアウローラによってマグナの目の前で命を奪われた、そして今度こそ仇を取ったと思えば並行世界までその手を伸ばしその身体を奪って敵として現れる。信じられない所業だ。隣に居るアサリナ本人も拳を強く握りしめて怒りを滾らせている、そして―――

 

〈マグナ、構う事なんてない……あいつを今度こそ倒すんだ!!!僕の肉体ごと完璧に!!!〉

 

倒せと叫ぶ、今度こそアウローラを倒せと。幸運な事に奴はマグナが自分を殺した事で助けられずにいた事を悔やみ続けていると思っている。だったら好都合、情け容赦もなく倒せばいいだけの話だと。自分の身体など関係も無い、そう叫ぶ中で一人が問いかける。

 

〈仮にもあれは君自身だ、君はマグナさんに殺せと言っている。何故そんな事を言える〉

 

それはまるで円卓のように並べられた席、そこに腰掛けるのはワン・フォー・オールの歴代継承者たち。オール・フォー・ワンを倒す使命を受け継ぎ、平和を願い戦い続けてきた者達。その一番奥の席に腰掛ける者、痩せており両目が髪によって隠されている男がそれを問う。

 

〈もうあれは僕じゃないよ、僕という残滓を勝手に取り込んだ化物でしかない。犠牲になった僕だって自分にマグナが倒される事なんて絶対に望まない筈、僕だって後悔する―――それに〉

〈それに?〉

〈僕たちはウルトラマンだ。平和を願う者達の為に、戦いたくても戦えない者達の為に―――正義を守り、試練に立ち向かうのが僕達だ〉

『ああっそうだアサリナ……私は、君を殺す―――私の為だけではない、君の為でもあり平和を望む人々の為に!!!』

 

強く叫びながら戦闘態勢を取る彼に継承者達も思わず笑みを作ったり熱い声を漏らしたりしてしまう、此処にいる者は全員マグナに感謝し憧憬を抱いている。彼らにとってウルトラマンという存在は紛れもなく憧れを抱いたヒーローそのものだからだ。そしてその中で一人―――与一は静かに笑みを作りながら胸に手を当てた。

 

 

 

 

『フフフッアハハハハッ!!!殺す、殺すかそうかそうかならばやってみると良いさ―――こっちも全開だ、もう加減なんてしない。この地球を壊すつもりで行かせて貰うよぉ!!!』

「キュガアアアンヴァァァァァアアア!!!!」

 

その言葉の直後、ルインヴォイドから更にエネルギーが溢れ出した。翼の付け根からはガルベロスの頭部のような物が飛び出し、スペースビーストとしての面が更に強くなっていく中でバイザー状の奥に更に赤い瞳が灯った。

 

『師匠なんか益々やばくなってますよ!!それにあいつの身体はっ師匠の……!!』

『分かっている、それにアサリナは常に私と共に居る。彼女こそ私の敵になる事は望まんよ』

『師匠……分かりましたもう何も言いません!!』

 

ゼットも言葉を収め、改めて戦闘態勢を取る。敵は益々強大と化していくルインヴォイド、此処からは更に全力で戦わなければいけなくなってくる。ならば―――取って置きの姿で戦おうと決意する。

 

『ハルキ!!実は今持ってるメダルでもう一つ、別の姿に成れるぞ!!』

「そ、そうなんですか!?それならなんで言ってくれなかったんですか!?」

『ごめんなさい素直に忘却の彼方に置いておりました!!』

「ええっ~……」

『と、兎も角それで戦うぞ!!』

「押忍!!」

 

『出久君、済まない恥ずかしい所を見せた』

「いえ気にしないでください。それにマグナさんも人間らしいところあるじゃないですか」

『フッ言ってくれるな、ウルトラ・フォー・オールのアサリナも倒せと言っていた。故に全力で奴を倒すぞ!!』

「はいっ!!ウルトラ・フォー・オール、全開です!!」

 

 

「ゾフィー兄さん!メビウス兄さん!ティガ先輩!」

 

〔ZOFFY〕〔MEBIUS〕〔TIGA〕

 

『ご唱和ください我の名を!!ウルトラマンゼット!!』

「ウルトラマンゼェエエエエエエエット!!!!」

 

―――シェアッ!!デアァッ!!ハッ!!

 

ULTRAMAN Z SIGMA BRESTAR(ウルトラマンゼット シグマブレスター)

 

 

「願うは平和!!!」

「悠久の想い!!!」

 

『「マグナァァァァァァァァァァァッッッ!!!!!」』




〈嗚呼っ……本当にその通りでした……そして今日まで有難う御座いました。これからは如何か―――あの人の力に―――〉
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。