「シュェァッ!!」
「あのウルトラマンの姿まるで―――」
ゼットの新たな姿、それは宇宙警備隊隊長たるゾフィーと光の国の筆頭教官たるタロウの愛弟子のメビウス、そして超古代の戦士たるティガの力を融合させた姿。その姿に思わず焦凍は避難誘導の手を止めてしまい魅入ってしまった。右腕が青く、左腕が赤いその姿は今自分が纏っているウルトラスーツそして自らを想起させるに十分だった。
「あれが―――ウルトラマンマグナ……」
それと同時に光の柱の中から出現するマグナ・ウルトラ・フォー・オールフォーム。二人のウルトラマンは頷き合うと構えを取りながら大怪獣へと向き直る、それを見た焦凍はある事を決意しながら今自分の出来る事を行い始める。
「キュガアアアオアアアアンヴアアアアアアア!!!!」
ルインヴォイド、怨念の籠った雄叫びと共に胸部から生々しく血肉が飛び散りながらそこから顔が飛び出した。それはマガオロチとザ・ワン、その二つを混ぜ合わせたようなグロテスクな物、そしてそこから無数の雷と炎が入り混じった光が溢れ出してくる。しかもその攻撃範囲は異常の一言、ウルトラマンどころかそこら一帯を吹き飛ばさんとするような量だが、マグナは前に出ながら両腕に力を集める。
「ヘァォ!!ダァァ!!」
光の鞭が乱舞のように舞う。マガ炎雷を一つも残す事無く的確に叩き潰していく、それに更に量を増やしていくルインヴォイド。僅かに押され始めるがマグナと出久は負けはしない。そんな二人を応援するように二人の背後に継承者の一人―――万縄 大悟郎が激励を送る。
〈こっからが正念場だぜ、さあお二人さんMAXパワーでぶっ飛ばそうぜ!!〉
「ウルトラ・フォー・オール……黒鞭ィ!!!」
三人の声が一つになると光の鞭の量と速度が格段に上がっていく、そこからまるで踊るようなターンを組み込みながら全ての攻撃を打ち消したその一瞬を見逃さずに鞭を一つにしてルインヴォイドの肉体へと伸ばす、光の速度で巻き付いた鞭がアウローラを拘束する。
「シェエァ!!」
そこへ氷上を滑るかのような超スピードで駆け抜けながら豪炎を纏った拳が突き刺さる、胸部の顔を焼く直後に中段回し蹴りがそこへ炸裂する。が、それを受けたルインヴォイドは途轍もない絶叫を上げながら苦しみもが居た。
『しゃあ!!ウルトラ利いてるぞ!!』
「超極高温の突きに超極低温の蹴りだ!!利かない訳がない!!」
急激に高温になった所に今度は絶対零度の一撃が命中する、それによって掛かる負荷は途轍もない。シグマブレスターは上半身で超パワーと炎、下半身では超スピードと氷を纏うという二面性を持つ。ゾフィーの氷とメビウスの炎、そしてそれらを纏める鍵として姿を変えるティガの力が加わっている。更に攻撃を仕掛けるが―――
「キュウゥッゥウガアアアアアア!!!」
「ジュワッ!?ドゥァッ!!」
急速回転を始めながら尻尾をゼットへと叩きつけながら一気に光の鞭を巻き取る、マグナはそれを離すが直後に鞭が破壊されるとフリーになった身で攻め上がっていく。
「デェアァッ…!!」
「ウウウッヴヴアアアアアア!!!」
『小僧如きがぁ……僕とマグナの邪魔をするなぁああああ!!!』
「デュォ!!」
倒れこみ追撃を仕掛けようとするそこへマグナが飛び込み腕を抑え込む、その間も絶えず膝蹴りや手刀打ちなどで攻撃をし続け相手のペースを乱し続けて行く。そして何度も何度も打ち込んだ膝蹴り、それを利用した必殺の一撃を叩きこむ。そして再び、三人が叫ぶ。
蓄積されていた衝撃と運動エネルギーを共に膝蹴りに乗せて叩き込む、内部へと貫通浸透する一撃はルインヴォイドを後退りさせる程のパワーとなっていた。
『相手のペースを飲み込め!!そう教えただろうゼット、お前なら出来る。今までいた全てを今に込めろ、圧倒しろ!!』
『ハイッ!!』
師の言葉を受けて両腕をぶつけ合う、燃え上がっていく腕を構えながら突撃していくゼット。それに合わせるように背後へと回ってドロップキックを決めてパスをする師匠、それを受けた弟子は渾身の力を込めてルインヴォイドの首元へとラリアットを決める。
『ぁぁ、ぁぁぁぁっ!!!師匠然とするマグナ、あああああああッ!!!』
何が刺激になるのか分かったもんではない、全身から光を放出するようにしながら自分達をホーミングしてくるレーザーが放たれ此方へと向かってくる。それを最後、光鞭で叩き落としながら震脚を行いながら腰を落とす。
胸の宝玉から光が放出される、それは再度アウローラがホーミングレーザーを放とうとした瞬間に爆ぜると煙幕と化した。邪魔だと言わんばかりにレーザーでそれを吹き飛ばそうとする。だがレーザーは霧を突き抜ける所か霧の中に含まれている星のような煌きに当たるとその軌跡を変えて幾重にも軌跡を描き走りながらルインヴォイドの身体へと突き刺さっていく。
『反射、僕の攻撃を……!?そうか僕の愛を返してくれるのか、ァァァなんて素晴らしい……!!でも受け取るのが筋だろう、シャイだねぇ!!!』
回転しながら尾を振るい煙幕を払う、が、広がった光景は両腕左右に氷と炎を纏わせながら大きく円を描くようにしながらエネルギーをチャージするゼットの姿。マグナの煙幕は唯の囮にしか過ぎなかった、まだ戦い慣れしていない姿の弟子をアシストする為だけに煙幕を張っていた。そして氷、炎のチャージが極限にまで高まるとそれを一気に放出する。
『『ゼスティウムレイッ!!バーストォォォオオオ!!!』』
絶対熱と絶対零度の同時攻撃、それが放たれルインヴォイドへと直撃する。その威力は凄まじいがそれ以上に恐ろしい事が肉体に起き始めていたのである、先程の攻撃による肉体の劣化と負担が途轍もないスピードで行われていく。単純な光線の威力にこれはとんでもない、流石はマグナが弟子入りを認めるだけはあると笑いながらも―――胸部から自爆覚悟のヴォイド・カノンを放ちワザと誘爆させる事でその光線を打ち消す。
『何て奴だ……ゾフィー兄さんの氷とメビウス兄さんの炎を同時に受けてもまだ動けちゃってる……!!』
『飲まれるなゼット!!この程度で狼狽えるな!!』
必殺技が通じない事に焦るゼットにマグナが叱咤する、まだまだ自分達は戦える。ならば戦うだけ、それだけでしかない。
『私達が何故戦うかを思い出せ!!その為ならば戦える筈だ、例えどれ程巨大な絶望があろうとも、強大な敵が居ても私達は屈してはいけない!!!』
『そうでした……だって俺達は―――!!』
『そう、私達は―――!!』
『『ウルトラマンだからだ!!!』』
それがウルトラマンなんだ、それは今まで自分はウルトラマンで良いのだろうかと疑問を持っていたマグナが見出した本当の答え。何処か自分はウルトラマンではないと否定的で許容しきれていなかった、アサリナの事もあり自分などがその重責が担えるのかと迷いがあったのだ。だが、今はもう迷わない。
『私はウルトラマン―――そう、ウルトラマンマグナだっ!!!今日こそアウローラ、貴様を葬り去る!!!』
絶対的な物を見つけた、もう決してブレない物を見つけた。その時だった―――胸の内から何かが溢れ出そうとしていた……感じた事も無い強い力、何処か深く暖かく優しい力が……。
「っ!?ゼ、ゼットさんメダルが!!」
『ウルトラメダルが!?』
同時にゼットでも異変が起きていた。ハルキが持つウルトラメダルを携帯する為のホルダー、そこから一つの光が飛び出していく。それは閃光と成りながらマグナのカラータイマーへと飛び込んでいくと出久の元へと到達した。
「こ、これって……」
『ゼットが持っていたメダル……?だが何故此処に、私達の元へ……』
―――それはずっと、ワン・フォー・オールの中に、いやその前からずっと一緒にいた力。
突然すぎる出来事に困惑していた時だ、ウルトラ・フォー・オールの中へと視界が飛ぶ。そこに居たのは継承者とアサリナ。一番奥の席に腰掛ける彼の傍に立つアサリナは静かに頷いた。
〈兄を止める為の希望として、個性の中に居続けた光。嵐のような絶望の中でも希望を見出し、諦めず立ち向かう者の中で生き続けてきた力です。だがもう違う、これは貴方の物だ……〉
そう言いながら胸に手を当てながら静かに、心臓からそれを取り出すかのようにゆっくりと差し出した。小さいがまるで太陽のような光を放つ光球、その存在感、圧倒的なまでの力の奔流に出久とマグナは驚愕した。それはゆっくりと浮遊しながら向かってきた。それはアサリナからも溢れ出し、もう一つの光を生み出しながら出久とマグナの手の中に納まりながら、出久の手にあったメダルと一体化していく。そして二人の手の中に新たなメダルが誕生した。
『そっか……消えて、無かったんだ……愛が残ってたように、決して消えてなかったんだ……』
〈ええ、愛は強しって奴です、そしてそれは奇跡をも起こす……これは絆、ワン・フォー・オールが紡ぎ続けた希望の絆。そしてウルトラマンの魂が一つとなったウルトラ・フォー・オールが結集した想いの形が起こした奇跡―――平和の為に、使ってください。〉
光が収まった時、そこにあったメダルを見て二人は顔を見合わせながらも前を見る。そこでは皆が笑顔で頷いた、今代の継承者たる自分達にそれを託す。真の平和へと駆けだし掴む為の―――力。それを継承した二人は強く頷き合いながらも叫んだ。
『平和を願う、悠久の想い。それを実現する力を今―――此処に!!』
「宇宙に平和を齎す、無限の光!!!」
ゼットライザーへとセットされていくメダル、そこには託されたメダルだけではない。本来不安定で使える物ではない筈のベリアルのメダルもそこにあった。だがそれらのメダルは互いに干渉しあうと黄金に輝くライズメダルへと変貌した。組み込まれている願い、想い、絆。そしてそれらを―――読み込む。
『平和を望む者、それを乱す者。音にも聞け、刮目せよ!!』
「魂を穢し、命を愚弄する悪を滅する光の姿を!!!」
―――ヌ"ア"ァ"ッ!! ティァッ!! シュワォ!!
「シュォォォォッディァァァァァッ!!!!」
んもうね、やり切ったよ……もう真っ白だ……満足だ……いやまだ続くけどなんかもう、私の中にあったやりたかったシーンが、出来た……。