九州での復興作業が完了してPLUS基地へと戻ってきたアートデッセイ号、早速改善点が見つかった点をすぐさま修正作業が入りつつも直ぐにでもテスト航行が再度行われる事になっている。日本どころか世界初と言っていい程の空中移動型の超大型艦というのは世界中から注目を集めており、その見学希望や各国への設立が予定されているPLUS支部への配備願いも行われている。
九州での本格的な怪獣災害による被害やそれらの復興作業出動などはこれからのPLUSの未来を決定づけると言っても良い事だった。街は1週間で完全に戻り影響もほぼ0に抑えられた、それらによってPLUSの名声は高まり注目と期待が高まっていく。それらに応える為にPLUSはより一層の努力が求められ、それを行っている―――それはある意味技術の中心にいる発目も同じだった。
「ぁぁぁっ~お茶が美味しいですねぇ~……やっぱり研究を一段落させてから飲むお茶って奴は良いですねぇ~……」
お茶を啜るという雄英ならば必ず大騒動になりそうなことを行いながら研究に区切りをつけて休憩を楽しんでいた。九州では怪獣との戦いでは役に立てなかったが、その代わりとばかりに今は希望するヒーロー達に向けて貸し出すウルトラスーツの作成や調整作業などを行っている。トップ3にスーツを貸し出したのもその為のテストケースでありデータ取りの為だった。
「いやぁそれにしても大忙しですねぇ……このスーツの修復作業もしないといけないのに……やれやれ此方は自動作業に任せるしかないですかね」
そんな風に呟きながら視線を向ける先にあったのは無数のアームが差し向けられながら火花が飛び、装甲などが取り外されて内部の配線などの交換などが行われ続けているGAIAの姿があった。オールマイトに貸し出した物だが、リミッターを設置したのにも拘らずガタがきてしまっているという状態に流石の発目も帰ってきたスーツを見た時にはうそ~ん……と言ってしまったほど。
「まあそっちはそっちでやるしかないですね、私は私で仕事ありますし~いやぁにしても出久さんがくれたこの抹茶ケーキマジで美味いですねぇ」
「だったらせめてそこにいる出久君に感謝の言葉を掛けてあげなさいや」
と壁に寄り掛かりながら呆れているマグナこと光士、そんな言葉の先ではソファに倒れこんで荒い息を吐き続けている出久の姿があった。先程まで新型スーツの実験を行っていたのだが、その影響で此処まで疲弊しているのである。
「出久さん食べないんですか、とっても美味しいんですからご一緒しましょうよ~この後のテストもまだまだ控えてるんですから」
「か、勘弁して発目さん……今まだ食べれるような状態じゃない……」
「ありゃ~これじゃあ折角の紅茶冷めちゃいますよ、マグナさんマヒパ*1打って上げて下さいよ」
「原因の君がそれを言うのか……」
行われていたのは新型スーツテスト。それはFUMAを発展させたエネルギー活用万能戦闘型スーツ、その名もGINGA。頭部、胸、肩、腕、足にクリスタル状の新型パワーセルを搭載していてFUMAに比べるとスピードこそ雲泥の差になるが、パワーなどは高く最初から様々な技が設定されているので恐らく此方の方が使いやすい―――と思われていたのだが……。
「あのスーツ、出力高くない……基礎出力はそこまでじゃないけどエネルギーを使っての光線とか凄い身体に来るんだけど……」
「ウルトラマンギンガを模しているスーツらしいが……そこまでなのかい?」
ウルトラマンギンガ、俗にいうニュージェネレーションヒーローズの中でも随一の実力を誇る戦士。それを再現したスーツなのだがまだまだ問題も多い。
「ど~やらクリスタルセルがエネルギーを変換する際に如何しても逆流現象が起きて負担が掛かっちゃうみたいですね」
「もう凄いんですよ襲いかかってくるエネルギーが……僕だからよかったけど普通の人が来てたら確実に病院送りですよ」
「本当にテストしてくれるのが出久さんで良かったですねはいっ♪」
「そうじゃないでしょうがぁぁぁぁ……」
実際問題出久以外にこの役目をさせる訳には行かないだろう。出久にはウルトラ・フォー・オールもあるしマグナとの一体化の影響で肉体が頑強になっている上に回復力も尋常ではない。故にナイトアイも実質出久に押し付けてしまっている。
「サンダーボルトは痺れるしファイヤーボールは熱いし……それ以外の技だってもう本当にやばいんですから……」
「それで済む出久さんと私は正しくベストマッチ!!これからも是非ともお願いしますね♪」
「他の人に任せられる訳ないじゃない……」
「任せた瞬間から重傷者が溢れそうだもんねぇ……」
そうなったらもう後悔するなんてレベルじゃないので出久はこの役目を誰かに引き継いでもらうなんて出来る訳もない、どれだけ嫌だと思っても自分でやるしかないのである。そう、これから一部ヒーローに貸すスーツには人知れず彼らの命を守った出久の輝きが灯っているのである。
「さてと休憩は終わりにして―――さあ出久さん次のテスト行きますよぉ~」
「ええっ!?ちょっと待って僕まだケーキどころかお茶すら飲んでないんだけどぉ!!?」
「時間切れです~文句があるなら時間設定したナイトアイへどうぞ~」
「マグナさん助けてぇぇぇぇ!!!!」
ずるずると引き摺られていく出久を見つめ続ける事しか出来ず、自動で開閉する扉によって姿は見えなくなった。
「やれやれなんとまあ……しかし如何するべきかなぁ……もう文明監視員じゃないから考えなくてもいいと言えるけど……そういう訳にはいかないんだあよなぁ……そう言った視線での意見もいるからゾフィー隊長は私を派遣した訳だし……儘ならんな、渡す資料の中身をもう少し吟味するべきだったかなぁ」
そんな言葉を呟きながら取り敢えず二人の後を追うように歩き出していく―――がその時、咄嗟に振り向きながらナイトアイから渡された護身銃を向ける。
「……誰だ」
鋭く冷たい言葉が投げ掛けられるが、返ってくる訳もない。だが明確な気配を感じ取った、自分の勘を信じ居たと仮定するならば自分の言葉と共に撤退したというべきなのだろう。
「……気のせいなら良いが、彼女が狙われている、のかもな……」
だがその時だった。腕時計型の小型個人用情報端末、PLUS-NAVIが鳴り響いた、ナイトアイからの緊急コールだった。
『マグナさん緊急事態です!!発目と緑谷の両名が突然消えました!!』
「何ですって!!?まさか今の気配が……!!」
「フッフッフッ……お前達は此処から逃げられ……」
「うっひゃああああああっ!!!!見てくださいよ出久さんあの超巨大ロボット!!あのデザインとか分かってるなぁぁぁ!!レギオノイドとかゴモラとは全く違うフォルムそしてビンビンに力を感じますよあれぇ!!出久さんあれぜってぇ持ち帰りましょうよお土産にしたら絶対PLUSの皆も喜びますって!!」
「いや何簡単に言ってくれちゃってんの!?というかそれ所じゃないでしょうが!!僕たちはテストエリアに向かってたのになんでこんな岩場だらけの荒野にいるんだとかそっちを注目するべきでしょうが発目さん!!!」
「ハッそうか!!?私とした事が……つまり転移方面にも目を向けるべきだったという訳ですね!?流石出久さん目の付け所が違いますね愛してます!」
「駄目だ絶対僕と解釈が一致してない!!!」
「っておい人の話聞いてるのか!?おいっ折角人がスタンバってたのを全スルーして別方向に注目してんじゃねぇぞ!!もしも~し!!?聞けやぁ!!!!」
シリアスになると思った?
うん私も思ってたけど発目さんがぶっ壊してシリアルになりました。