「此処です、私も途中で合流しようとしていた時に突如として……」
ナイトアイからの緊急連絡を受けて彼の元へと急いだマグナ。ナイトアイは出久の活躍に感謝と労いを掛けつつ発目を諫めようとしていたのだが……それを行う前、合流する寸前で姿が掻き消えてしまったと話す。その場を調べながらもマグナは何かを敏感に感じる。
「これは……空間跳躍か」
「まさかワープ!?」
「それに近いです、如何やら二人を攫って別の空間に跳んだようです。だが誤差が生まれたな、だからこそ二人だったのか……それとも片方のみのつもりだったのか……だが僅かに残り香があるな」
ほんの僅かな残滓、地球人であれば確実に理解する事も感じ取る事も出来ない。だが自分ならばそれを感じ取れる、そしてこれを大基にして出久と発目の場所を探る事が出来る。だが自分だけでは範囲が狭すぎるし時間もかかる、早急に探すのであれば―――取れる手段はある。
「ハルキ君を呼び出して貰えますか、私と彼で探します」
「分かりました!!」
直ぐにPLUSーNAVIでハルキへと連絡するナイトアイを見ながらマグナは今どこに居るかもわからない相棒へと思いを紡ぐ、何者か分からないが直ぐに助けに行ってやらねば……。
「助けに行くまで彼女を必ず守り抜けるな、必ず守れ―――相棒」
駆け出しながら手刀を放つ、それは軽々と防御される。そのまま回転を行いながら腕を弾きながらボディへと攻撃を仕掛けてくるモルスのそれを捌くが今度は下からの蹴りが顔面に迫る。思わず防御を固めるが易々と弾かれる程の威力に身体の芯にまで衝撃が響いた。そしてがら空きになった身体へと幾度も掌底打ちが炸裂し、心臓が揺れる。
「ぐっ……オオッ!!」
掌底打ちで身体の奥底に衝撃が響く中で引くのではなく敢えて深く踏み込みながら膝蹴りを放つが、掌底打ちから咄嗟に平手での押し込みに切り替え体勢が崩されると顎目掛けたアッパーが迫る。それを咄嗟に両腕でガードしつつも敢えて吹き飛ばされて距離を取る。
「(つ、強い……!!)」
「やるねぇあんちゃん、ボディから顎にかけてフリーにしたつもりだったんだがねぇ……それに俺様は唯殺しの腕が良いだけで
肩を回しながら出久の戦闘技術を称賛しながら迫ってくる、ほんの僅かなやり取りに過ぎないが出久には分かっていた。このモルスは尋常でないレベルで強い上に戦闘経験も膨大にありそれらをフルに活用して此方の手を読んでくる。
「地球じゃこう言うんだったか。百戦錬磨って奴なのさ、無数の戦いの果てに今の俺様があるんだ。加えて俺様は尻上がりでもある、時間を置けば置く程に本領発揮って訳だ」
「シュォラァ!!」
大地を殴り付けるかのように押し出すように加速するとそのままの勢いで蹴り込む、軽くいなされるが連続で攻撃をし続けて行く。
「いいねぇ子供は元気が一番だぜあんちゃん」
「オオォッ!!」
「だが―――青いンだよぉ!!!!」
攻撃の連打、数多の攻撃のパターンが組み込まれているがそれら全てをモルスは受け流すが完璧に威力を殺し続ける。発展途上ながらもこの力、素晴らしい才能があると感心しつつも自分の相手になるにはまだまだ弱すぎると低く唸るような声を上げながら拳を振り抜いた。出久の胸を捉えると瞬時に出久を吹き飛ばしてしまう。
「出久さん!!しっかり!!」
地面を抉るように吹き飛ばされた出久へと思わず駆け寄る発目、その身体を揺さぶるが出久は言葉に応えない。一抹の不安が脳裏を過りながらも身体を揺さぶると呼吸を忘れていたかのように声を上げながら荒々しい息のまま身体を引き起こす。
「何てパワーなんだ……!!」
「おおっやっぱり生きてたか。手放しで褒めさせて貰うぜあんちゃん、俺様のキラーフィストを受けて生きてるたぁ地球人にしちゃ随分と鍛え込んでるらしいな。まさか仕事以外でこんな奴と戦えるなんざ滅多にねぇ……楽しめそうだ」
「ぐっ……ぁぁっぁぁぁぁァァァッ……!!」
「出久さん!?」
身体を起こすが苦悶の声を零しながら蹲ってしまう出久に発目は顔を青くしながら身体を支える。キラーフィスト、モルスが数多の敵を葬りあの世へと送り出してきた地獄の片道切符贈呈拳。渾身の力を衝撃波に変換しつつ相手の内部を直接攻撃し粉砕する絶命を齎す一撃。如何なる装甲の前だろうと意味を成さずに殺し切る、だが出久はそれに耐えきると確信していた。寧ろ耐えきられた事を嬉しそうにしている。
「内臓を抉られたみたいだ……発目さんの実験でも、こんな痛みは……っ経験した事がない……!!」
「お褒めに預かり光栄の極みだ、伊達にエースキラーなんて呼ばれてねぇぜ。さあ如何するあんちゃん、まだやれるのかい」
激痛に苦しむ出久を見て発目は如何すれば良いのかと思考を巡らせる、モルスの目的は自分の協力。ならばそうすれば……そうすれば出久を安静にさせつつ応急処置だって出来る筈……という考えを否定するように出久は立ち上がった。ふら付く身体を引き起こし構えた。
「さあ来な」
「ウルトラ・フォー・オール―――フルカウルゥゥゥゥッッ!!!DETROIT SMASH!!!」
気合を込めながら叫び、身体に力を籠めると一気に跳躍しそれを推進力にし威力を倍増させたスマッシュを眼前のモルスへと放つ、だがモルスはそれから逃げる事も臆する事も無く望む所じゃねぇかと呟きながら走り出しながら迎え撃った。
「グレイテストォ・モルスフィクショォンッッ!!!」
その拳には金色の光を纏わせながらウルトラ・フォー・オールの力を全身に纏った出久の拳と激突した。だがその時、その瞬間、出久と発目は目を見開いてしまった。ぶつかり合った一撃、その時世界は酷く凪いでいた。
「良いパンチじゃねぇかあんちゃん……良い戦士になれるぜ」
「デトロイトスマッシュが……!?」
自分の攻撃が受け止められる、相手の攻撃をぶつけられてそれで防御されるか回避されカウンターされるという事は幾度もあった。だが今回は全く違っている、その光景に思わず発目も言葉を零してしまう。
「出久さんの攻撃が完璧に殺された!?」
周囲に衝撃が拡散する訳でもなく圧倒されたわけでもない、完璧に出久の攻撃と全く同じ力で攻撃を放つ事で内包されていたエネルギーなどが完璧に消されていや殺されていた。彼女もスーツの出力計算などで技の激突などを見てきたがこんな事は初めて。実力の差が明確過ぎると発目は最悪の未来を予想する中で咄嗟に懐から対異星人用に開発していた特殊拳銃を抜いた。
「うひゃああっ!?」
「うわっ!?」
「あがぁっ!?」
慌てていた上に作ったはいいが射撃訓練はまともにした事がなかった発目は思わずトリガーを引いてしまっていた。ひっくり返りながらも放たれた弾丸は拳銃というには重々しく大砲でも放ったかの轟音を響かせながらそのまま出久へと向かって行ってしまった。その時、出久に危険信号が発令され、咄嗟に回避行動を取るのだが弾丸はなんとモルスの額へと直撃したのである。大きく仰け反ったのを見て出久は発目の元へと跳んだ。
「何その銃!?というか僕に当たる所だったんだけど!?」
「ごめんなさい咄嗟だったので、というか私まだ射撃訓練してないんですよぉ!!」
「してないのにその銃物騒過ぎない!?何それリボルバー式のコンテンダーとか馬鹿じゃないの!?というか肩とか大丈夫!?」
「その辺りの対策はしてますから大丈夫です!!それと誤射に関しては後でちゃんと謝りますから今は一体退きましょう!!」
「それには同意!!サンクトゥス・ロス!!」
身体から煙幕を発射して半径1キロを包む込んでしまう、その間に出久は発目を抱えて全力で走り出していく。少しでも距離を取らなければ、最悪でも彼女を隠せるような場所に行かなければならない……と激痛が走り続ける身体に鞭を打って走り続ける。
「ゲッホゲホ……マジかあの嬢ちゃん、あんちゃんのドタマをぶち抜きそうだったぞ……!?というかなんだこの煙、あらゆる電波が妨害される上に範囲がクソ広い……こんな事まで出来るのかよ……だが逃がさねぇぜ、このモルス様を本気にさせてくれたんだ。ぜってぇに見つけ出す、そしてもっと、もっと俺様と戦って貰うぜ……!!」
発目「エースキラーモルスに追い詰められる出久さん、なんとか煙幕で姿を隠して逃げる事が出来ましたが……出久さんのダメージは深くて危険な状態。
戦えない私が出久さんを危険にしている……私に出来る事はあるんでしょうか……駄目ですよ出久さんっその身体じゃ!!
次回、出久さんはウルトラマンと出会う。
更に向こうへっPLUS ULTRA!!!」