「さてっ此処までPULSの行動指針や活動内容などのお話をさせて頂きました、これからまた新しい話に入りますがその前に何か御質問などありますか?」
ミーティングルームにてA組とB組纏めての説明を行っているマグナこと光士。本来はこういう場合はナイトアイなどの方が説得力やらがあるのだが……生憎彼は彼で多忙な身なので光士が担当する事にしている。事務員だがこの位の事は出来ると志願した結果、素直に助かりますと感謝される程には多忙な身なのである。
「さてっPLUSでは現在あるプロジェクトを実行する為にと無人列島を譲り受け整備を進めております。人類や地球の為になると確信しているものです」
「それって一体何なんすか!」
「決まっているだろうさっ怪獣を倒す為の新兵器の実験場などだろうね」
興味津々と言わんばかりの態度の鉄哲、そして特空機などについての説明も受けたのできっとそれらに関わる事だろうと断言する物間。怪獣災害に立ち向かう為の新たな力の追及、流石だと言うのだがそれをB組担任、ブラドキングが窘める。
「静かにしろ、まだ説明の途中だろう。すみません光士さん、続きをお願いします」
「ざっくりと言ってしまうと怪獣保護区域の制定です」
「怪獣、保護……!?」
予想の斜め上を言った答えに物間は思わず目を見開くようにしながら驚愕した、怪獣を倒す為の組織が怪獣の保護の為に動いていると聞けばそれは当然かもしれない。
「あ、あのっご質問しても宜しいでしょうか。何故怪獣保護区の制定をしているのかお聞かせ願います!!」
それを聞く為に委員長の飯田が手を伸ばしながら尋ねてきた。予想された行動と流れなのか出久は少しだけ笑っていた。
「簡単に言えば怪獣を知る為です。私達は今怪獣への知識が極めて少ない、どのような生態をしているのか何も知らない。それを知るため、ですよ」
「確かにっ俺達は怪獣について何も知らないし分からない事だらけなのは事実……」
「だけどそれをPLUSがするんですか、怪獣を倒す組織が!?」
そんな言葉が物間から飛ぶ、疑問に思うのは当然だし先日もマグラーを倒したばかりの組織が怪獣の保護を謳うというのも矛盾のように感じるのも当然。正しい疑問であり質問だと光士は笑みを浮かべたまま答える。
「倒してしまっている組織だからこそする意味があるんですよ」
「しかし怪獣は……明確に人類を脅かしてるのに……」
「それはヴィランも同じですよ、それも同じ地球人である筈の私達が」
紛れもない事実、人類にとって余りにも大きく天災に等しい力を持ちそれらを向けてくる怪獣という存在が居ると分かりながらもヴィランによる犯罪は減らないしヒーローも必要とされ続けている。発目の言葉に物間は何も言えなくなっていた。
「何も知らないから私達は知らないといけないんですよ。私達の行動が怪獣を呼び起こして怒りを買うかもしれない、でもそれが分かれば怪獣と上手くやっていけるかもしれない」
「出来ると思っているんですか……?」
怪しむような言葉、厳しく冷たい意見は正しい。だからこそ胸を張って言う。
「出来るかじゃない、やるんだよ私達は。この地球は人類の物だけではないからね」
茶目っ気タップリにいう光士に何処か毒気を抜けれてしまったように物間は口を閉ざす。それが方針として決まっているのならば自分がいくら言っても変わる事など無いと分かっているからかもしれない。故に此処でフォローも入れておく。
「実は世界各地には怪獣と思われる記述が残されている、昔から怪獣たちと人類は共存していたんだよ。昔は出来て今出来ないなんて事はないし昔と今は違うの一言でやらないのは馬鹿げているだろう、この保護区は怪獣の生態調査や研究という意味でも大きな意味を持つからね」
「……成程、そう言われると確かに必要だと分かる……」
勿論単純な保護区ではない。保護区域では怪獣の調査と研究が行われ続けて行く、如何すれば怪獣を大人しくさせられ被害を減らす事が出来るのか。その為にも保護区は必要となる、こう言われると反対派は勢いを削がれ理解しようとするっとナイトアイが言っていたが正しくその通りだと出久は実感させられた。
「さてっ次はA組とB組で順番にはなりますが整備エリア方面への見学となります―――ではA組がウルトラスーツの試着及びテスト、B組をライドメカの見学や操縦体験という事に致しましょうか。相澤先生とブラド先生、何か御意見は御座いますか?」
「いえそれでお願いします」
「此方も問題はありません、ご丁寧なご説明と進行有難う御座います」
B組は一旦此処でライドメカについて詳しい説明と見学についての注意説明を行うので待機、A組はこのままテストエリアの方へと移動する。先頭を切って歩いて行く発目に一抹の不安を覚えながらもそれを隣で制御する出久に安心しつつも同情し、ある種のバランサーと成り得る光士の存在に安堵するという奇妙な感情を覚えながらA組が移動していく。
「それで緑谷ちゃん、ウルトラスーツって厳密に言えば何なのかしら?ヒーローにとってのコスチュームって認識でいいのかしら」
「まあそれに近しいかな」
「それでは説明しましょう!!」
テストエリアへと到着したA組、此処でウルトラスーツの試着などを行う事になるだが改めてヒーローコスチュームとの違いを尋ねられるので答え―――ようとした出久よりも先に発目が目を輝かせながら言葉を口にする。
「正式名称は対怪獣災害想定コスチューム、そしてそれはウルトラマンの力と対応力を目標としているのでウルトラマンに肖る事にしましてウルトラスーツにしたという訳です。まあ名前の通りなんですけど怪獣災害に対応する事が前提になっているコスチュームですからぶっちゃけ皆さんが使う物よりも遥かに強力です」
「つまり―――激アツいコスチュームって事だな!!」
「まあ概ね合ってますね」
切島の言葉を否定する事も無く寧ろ的を射ているなぁと返事をする発目が指を鳴らすと床が開き、そこから焦凍と爆豪のスーツが露わになった。
「これは轟さんと爆豪さんが使われてるウルトラスーツです、出久さんが今着ているのと見比べて貰うと分かりますけど形状も違いますし当然機能もコンセプトも違います」
ウルトラスーツそれぞれに特色があり個性も異なっている、まるで現代のヒーロー宛らの多様性に目を丸くする。これらの基礎を築き発展させているのが目の前の発目なのだから余計に驚いてしまう。
「さてと試着はどれをお願いしましょうかねぇ~やっぱりそれぞれ皆さんの個性に合わせるべきですかね~……」
「いや僕みたいに慣れてないんだから……アタッチメント装着前の初期状態をお願いするべきじゃないかな……?」
「えっ~だってあれは出久さんに散々データ取って貰いましたから十分ですって。今更初期型のデータいりませんよ」
「僕以外の人の使用感とかは必要だと思うからさ、ねっそうして」
「ブッ~しょうがないですね……それじゃあそちらをご用意しますよ~……」
と何処か不機嫌そうにしながらも端末を操作する彼女に胸を撫で下ろす出久、最近大人しくなってきているとは思うがそれでもまだまだ変わらない部分もある。それでも自分が言えば変更などを聞いてくれる程度には軟化しているので断然御しやすい。
「みっ緑谷マジで有難うな!!お前が言ってくれなかったらオイラ達実験台にされたって事になるんだろ!!?」
「いやそれは流石にないよ、だってそれ僕だし」
『遂に認めちゃったよ!!?』
「じゃあ否定したらさ、皆それに納得してくれる?」
『……』
「でしょ」
完全に諦めの境地へと至ってしまった出久、本当に遠い所に来てしまったなぁ……と不意に空を見つめてしまう。この若さでこの達観っぷり、爆豪は昔のデクは本当にいねぇんだな……と思うと同時に飯ぐらいは奢ろうと思うのであった。
「んじゃ出久さんはこのままGINGAのテストを続行しましょうか、という事で光士さん其方はお任せしますね私達は邪魔にならないように向こう行ってますから~」
そう言いながら出久の腕を取って離れた場所へと移動していく二人を見送るのだが……振り向いた時に麗日、そして梅雨の二人が何処か鋭い目で見ていたのを見て何処か分かってしまったような声を出してしまった。
「発目さん、私だけでは厳しいので其方で何人か見てあげてください」
「えっ~?」
「開発者なんですから、それじゃあ……麗日さんと蛙吹さんは其方で。特別隊員としてウルトラスーツの使用経験のある焦凍君と爆豪君手伝って貰えませんか」
「分かりました」
「チッしゃあねぇな」
「ケロッ宜しくお願いするわね発目ちゃん」
「おっお願いします!!」
「うっ~……まあ光士さんの言葉にも一理ありますし引き受けましょう……私個人としては凄い不本意ですが……」
「ちょっと発目さん……僕もフォローするからさ……ねっ頑張ろうよ」
「(うむっ光の国でもこんな感じにネオスたちに王族の女性陣を嗾ける事にしよう)」
「ッ!!?な、なんだか凄い寒気が……マックスもしかして君もかい……?」
「君もかネオス……実は私もだ……」
「おおっ二人とも丁度いい所に……実は二人にお見合いの話が……」
「「にっ任務がありますので失礼します!!」」