緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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優しさ(強さ)を込めた言葉。

「さっきの突然の反応ってあの怪獣だったんですか!?全く怪獣って奴は何であんな図体で凄い速度で飛行出来るんですかね!?マッハ2ですよ時速2469.6ですよ!?」

「水面スレスレで飛んでたのもあるだろうけど、気付くのが遅れるなんて……でもまさかあの怪獣が僕達の地球にもいたなんて……」

「あれっ出久さんご存じで!?」

 

GXの操縦桿を握り締めながら同時に思考制御で解析作業を行っていた発目は突然出現したもう一体の怪獣に驚きを隠せなかった、その軌跡を辿ってみると相模灘辺りから出現した事からもマグナからウルトラ戦記にて聞かされた事と一致していた。バードンの巣に降り立ち、口田を救った怪獣の名前は友好巨鳥 リドリアス。

 

「あれが……リドリアス……」

 

コスモスの居た地球では古来より相模灘に生息していた怪獣で渡り鳥のように季節の変わり目と共に南へと移動する習性を持つとされている。性格も酷く大人しく人懐っこくマグナからも人間と共存できる怪獣の代表格とも称されていた。

 

「そうか口田君の個性、生き物ボイスで意志の疎通が出来たのかも!!」

「ああっそうでしたね!!生き物を操る事が出来る個性でしたねって出久さんあれ!!あの個性って怪獣にも通じちゃうんですか!?」

 

思わず発目はモニターを切り替えてズームさせながら見るように促した、そこにはリドリアスがそっと口田を降ろすとそのままマンションへと手を伸ばし持ち上げたのである。そしてそこへクラスメイトやホークスたちが殺到してそこに取り残されていた人々を救い出している。単純に怪獣にも通用するのか、それともリドリアスのような温厚な怪獣には通用するのか、検証なども必要だろうがPLUS的には口田が極めてほしい人材となった事は言うまでもないだろう。取り敢えず出久は口田にその怪獣がリドリアスという名前であり友好的な怪獣である事を伝えるのであった。

 

「リドリ、アス……それが君の名前……?」

「キィィィィッ?」

「あっええと……マンションはもう置いていいよ!」

「キィィッ」

 

完全に意思の疎通が出来ている、その事にまだ戸惑いがあるがその言葉に従うようにリドリアスは適当な場所にマンションを置き直した。驚きの中にありながらも口田は言い表しようのない感激と興奮のような物に支配されていた。彼自身、個性の関係もあるが動物との触れ合いを好んでいた為か怪獣に対する興味も強かった。彼に取って怪獣とは災害級ではなく、唯の大きな動物の一つだと捉えていた。

 

「おい口田お前も早く逃げろぉ!もうそこまでバードン来てんだぞぉ!!?」

「っ!?う、うん分かった!!」

「キィィィィッッ」

「リドリアスっうわぁっ!?」

 

大急ぎでその場から離れようとする彼を引き止めるかのようにした後に彼を手へと乗せるとリドリアスは巨大な翼を羽ばたかせる、そのまま浮き上がる。

 

「まずいっ!!」

「待つんだホークス!!今緑谷少年から連絡が来たが、あの怪獣は如何やら人間に対して極めて友好的らしい!!それに口田少年の個性によって制御できる可能性が高い!!」

「っ今はそれに賭けるしかないか……よしっ俺達は直ぐに退避!!救助者をダヴ・ライナーに収容後離脱する!!」

 

あの怪獣(リドリアス)が本当にそうなのかの問答をしている時間もない、今は口田を助けてくれると信じるしかないと舌打ちしながらも人々を連れてダヴ・ライナーへと急ぐ。そして乗り込む飛び立とうとした時、バードンがリドリアスに襲いかかっている光景が空にあった。

 

「やばいっあのバードン、リドリアスに荒らされたと思って超怒ってますよ!!」

「一難去ってまた一難って正にこの事!?」

 

空ではリドリアスが手に乗っている口田を守るように手で覆うようにしながらも必死に羽ばたいてバードンからの追撃から逃げようとしているが、スピードが違い過ぎる為に引き離す事が全く出来ていない。それも当然、リドリアスとバードンでは戦闘能力の桁が文字通り違い過ぎる。

 

『バードンの最高飛行速度はマッハ20、森を壊滅させるほどの猛毒に4万度の超高熱火炎(ボルヤニックファイア)まである。リドリアスの武器は鉄板を30枚を貫通する光線が精々だ。最悪の場合リドリアスごと捕食されてしまう……!』

「鉄板30枚もやべぇと思うんですけどバードンどんだけやばいんですか!?」

「行きましょうマグナさん!!」

『ああっ何時でも―――』

 

 

―――火山に住まいし大いなり巨鳥よっその怒りも当然、ですがこの声に耳を傾けて頂きたい!!

 

 

その時だった、口田の声が周囲に響き渡っていた。それは通信機からも聞こえてくるが、まるで頭に響くような声として聞こえてきている。まるでテレパシーのようなそれに驚愕したが発目は即座にそれがウルトラスーツによる個性干渉現象だと見抜いた。そしてその声を聴いたバードンは驚いたようにリドリアスを突き刺そうとしていた嘴を止めた。

 

確かに貴方の巣へと踏み入ってしまった事は謝罪いたします。ですがそれはその巣に我々の同胞が囚われていたからこそ、貴方とて我が子が同じような事になれば救い出そうとする筈!!

「ギュィィィィッッ……」

 

羽ばたきながらもその場に静止するバードン、口田の声が明確に聞こえているのかまるで頷いているかのように首を動かしているように見える。

 

伏してお願いします、同胞が多く住む場所にて巣を作らないでいただきたい!!我々は今度は本気て貴方とその子供を倒さなければいけなくなります!!私はそんな事を望みません、この地にて共に生きたいと思っています!!

 

誠心誠意込めた言葉、それは方便などではなく本当の口田の想いが込められている。彼に取って怪獣も人類と同じ地球に住まう者。これだけ豊かな星なのだから怪獣とも暮らせない訳がない、だから怪獣保護の話を聞いた時には嬉しかったし感動した。だからバードンには此処で退いて元の住処である浅間山へ戻って欲しい。そう告げると何処か思案するように沈黙すると身を翻して作っていた巣とは別の方向へと飛び去って行った。

 

「つっ……通じた、のかな……?」

『口田君聞こえる!?』

「緑谷君……?」

 

思わずリドリアスの手の上で座り込んでしまうとスーツの通信機から友人の声が聞こえてくる。

 

『バードンは元の生息地の浅間山へと戻って行ってるよ!!』

「ホッホント!?」

『うんっ間違いない!!ってもう浅間山に到達してる!!しかも今度はなんか大きな岩で巣を作り直してるみたい』

 

それを聞くと力が抜けてしまった、あのバードンは本当に自分の話を受け止めてくれたのだと分かったからだろう。人間に目を付けられると余計なやっかみを受けてしまうと学習したのか人工物を避けてながら改めて巣作りを始めたという報告が衛星からの監視映像で明らかになったとの事。

 

『君のお陰で必要以上に暴力を使う事無く解決できたよ、有難うね口田君。僕達PLUSだけじゃ絶対に無理な事だよ』

「僕だけじゃないよ……リドリアスも、だよ……」

『そうだね、リドリアスもだね』

 

その声に頷きながら顔を上げてみると何をしているんだろう……と首を傾げつつも興味を示すように見つめてくるその様子が酷く愛くるしく感じられた。それはまるで自分の怪獣も大きな動物という考えを裏付けるような物だと感じられてしまう。

 

「……あのリドリアスってこれからどうなるのかな……?」

『えっ?え~っと……そうだね、取り敢えず退治とかはされないよ。でもそうだね……口田君、君さえよければなんだけど特別隊員になってくれないかな?』

「えっ!!?」

「キィィィッ?」

 

リドリアスの如何したんだろうと言いたげな声と共に房総半島にて発生した火山怪鳥バードンによる怪獣災害は解決するのであった。




Xのようにスパークドールズにする事も出来ないのでバードンは倒さない事にしました。あと猛毒もあるので下手に倒すと毒の四散する可能性もあるのも考慮してます。キャプチャーキューブないですし。
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