「こいつか……ドクター、状況は」
『分かる訳が無かろう、こいつは完全に地球外の未知の生命体でエレキングなんざとはエネルギーの総量が桁違いだ』
何処にあるかも分からない地下深く、僅かな明かりだけを頼りにヴィラン連合の首魁たる死柄木弔。手には松明という酷くアナログな手段にうんざりしていたがその先にあった存在に思わず圧倒されながらも喉を鳴らしながら口角を持ち上げながら、オール・フォー・ワンの側近でもあったドクターへと問いを返すがその答えは酷く暗雲に満ち溢れているものだが致し方ないだろう。
―――グモォォォ……ォォォン……
松明の光しか頼りにならなかった洞窟が薄気味悪い赤黒い光がヌラヌラと輝いているためか十分明るかった。その明かりの中心地にある赤黒い繭、そこから僅かに漏れてくる声とそれ以上に大きな鼓動音。繭に潜むそれは眠りにつきながら来るべき隔世の時を待ち続けているのが伺える。話だけを聞いてここに来たが確かにこれは手に負えないというのも分かる気がする。
「まああのエレキングも成長途中だったらしいが……それでも十分だったのにな。つくづく怪獣ってやつはとんでもねぇな」
『くっくっくっ……じゃがそれを取り込めたとしたら愉快じゃろう?個性以上の力でありながら完璧に制御出来る力……じゃから研究も楽しくてしょうがないわい』
アウローラの協力も完全に断たれて以前のようなスピードも無い上にノウハウも吸収し切れていなかったので慎重にやらなければいけない事だけがネックだというドクターに対して肩をすくめる。だがそれはどうでもいい、問題はこいつを如何やってたたき起こすか。
「そもそもよ、あのウルトラマン狂いが残した奴って何なんだよ。落とし子って言ってたよな」
『フムッ奴自身が手にしていた怪獣の力、その中でも飛びっきりの力を持つが制御が出来ない故に放置されていたが奴自身のレイオニクスじゃったか、その力とライザーを最大限に生かした結果に完成した最高の器ともいうべき存在。曰く、自分の子供というっておったわ』
「落とし子は違うんじゃねえか、妻以外のやつに産ませた奴だろそれ」
『語感がいいからそう呼んでるだけじゃ』
「……あっそ」
素直に如何でもよくなったの話を打ち切った。
「ンでこいつを起こせばそいつの腹が満ちるってのか」
『言っておったわ、こやつは生きとし生きる者たちのマイナスエネルギー……詰まる所絶望やらで力を高めていくとな』
「……ンでこいつを街で暴れさせるって事か」
『そう言う事じゃ、お前さんらとしても目が其方に集中するから他にもやり易くはないじゃろう。黒霧はおらんから別の手段をとる、あとちょい待っとれ』
「ドクターその前に一つ聞きたい」
通信が切れる前に一つだけ確かめたことがあった。
「こいつの名前は」
『確か……ゼットン、繭じゃからゼットン・コクーンというべきかの』
「ゼットンか……気に入った」
間もなくアメリカ、中国、ロシア三ヶ国の訪問が迫る中でPLUS基地はその受け入れ準備が急ピッチで行われていた。と言っても本部では大した事はしていない、強いて言うならば政府から日本の威信を見せるためという名目で特空機への追加予算が来たので整備班と研究開発班が嬉々としてハーデロスからリバースエンジニアリングした技術を用いた新型リアクターやら新装備の開発に注力している、ついでにモルスは相棒がバラバラにならないか冷や冷やしている。
「なあ旦那、俺様の相棒大丈夫だよな……?ネジ一本になるまでバラバラにされたりしねぇよな……?」
「いや大丈夫だと思いますよ流石に……そこまでマッドじゃないですって」
「俺様だってわかってるけどよ、同時に研究者ってやつが未知のものを目の前にした時にヤバくなるのも知ってんの俺様!!」
「ああうん……実例が近くにいましたから解りますよ……」
地下格納庫にて収容されているハーデロス。特空機の3号機が与えられる予定だったがナイトアイはそれを却下しあくまで技術提供の為だけとして基本的に出撃は許可しない事、最高機密として表には出さないことが決定されているために地下に隠されている。
「モルスさ~ん、このビーム砲ちょっと起動させてもいいですか?」
「いや撃ってもいいけど撃つなよ!?絶対に撃つなよ!!?そのデロスキャノン、クレーター作るの楽勝な威力してるからぜってぇ撃つなよ!!」
「分かってますってばっ昔の発目ちゃんと一緒にしないでくださいよ~」
「そこは振りですよねって乗れよ!!撃ちますっていう流れだろ!!アンタそんな事じゃこの業界でやっていく事ねんて厳しいわよ!!」
「ハイ、センセイ!!」
『いやあんたら何言ってんだ!?』
突然出るこのカマ口調、兄が兄なだけに少なからず影響を受けているらしい。と言っても自分も時々女性言葉のようなものが出ることがあるしそれが少し多い程度だろう、加えてモルスは陽気な性格なのも相まってムードメーカー的な役割もしているのでそれとの相性はかなりいい。というか普通にモルスは男性女性問わず人気が高い。
「モルスの兄ぃっこの後の飯は如何します?おりゃカツ丼にしやすが」
「決まってるだろ―――バラカツ丼の特盛、味噌汁と大根の漬物セット!!!カツ丼、それは戦う男の飯!!」
「おおっ流石に兄ぃ!!」
『俺たちもそれだ~!!』
「モルスさん、お昼の後にご一緒しませんか?防衛町に凄い美味しいスイーツ店が出来たんですよ!!あのシャルモンですよシャルモン!!」
「嘘でしょ!?この地球に来てから一度行きたかったあの!?マジなのメリッサちゃん!!」
「マジもマジ大マジです!!しかもPLUSの職員証があれば半額セールなんですって!!」
「やっだんもうお得ぅ~それじゃあ食後のアフタヌーンティーに行きたい子この指とーまれ~♪」
『は~い!!』
「完全に溶け込んでるなぁ……」
男性陣からは頼れてノリが良くて憧れる兄貴として、女性陣からは気軽に話しかけられて優しくてお茶目な一面が可愛らしいと評判なお茶仲間として完全にPLUSに溶け込んでいる。最初は不安だったが持ち前の明るさが功を奏している、あと基本的に自前のスーツは着たままなのだが絶対に素顔を明かさないキャラも確立させている。故か食事時に注目が集まるのだが何故か見えないらしい。
『カカシ先生か何かあいつ……』
と出久の中でそれを見たとき、思わずそんな事を呟いたマグナであった。
「これで良しっと……ああもう面倒ですねぇ」
「お疲れ様、お茶淹れるよ」
「自分でやりますよ、出久さんだって新型スーツの調整で疲れてるじゃないですか」
「それは発目さんもでしょ、それだったら鍛えてる僕の方がいいよ」
出久がいる発目の研究室へと足を運ぶと疲れてしまった彼女のためにお茶を淹れようとする相棒の姿があった。矢張り二人の距離は確実に近づいている、上手く誤魔化していたりはするが何処かお互いに相手への気遣いや何処から近づきたいというのが出ている。前世も含めて他人の恋路やらは興味なかったがこうして見ると中々に奥深い……まあ光の国に帰ったら今度は自分がその対象になるのかと思うと辟易するのだが……
―――そこは同僚にも味合わせる事で我慢しよう。主にネオスとマックスとゼノンに。
「何が面倒なんだい?」
「簡単に言えば特空機のマニュアル……みたいなもんですかね。ゴモラのほうは順調なんですけどレギオノイドの方は大変なんですよ……あと絶対に来るであろう質問に対する返答の準備とか……全くなんで私がこんなことを……というかですねなんでウルトラマンを模した特空機はないのかって日本政府からも来てるんですよ!?二足歩行がどんだけ難しいのかわからないからそんなこと言えるんですよ!!ゴモラだってどれだけ開発が難しかったことか……現状だって進行形で姿勢制御ソフトの改良し続けてるんですよぉ!!!」
と普段周囲を振り回していた筈の発目だが、何も分かっていない政府の要請などにかなりストレスが溜まっている模様。そんな彼女を宥める二人、そして遂に―――三ヶ国の訪問日が訪れる。
光の国で三人の勇士が震えた。現状ですら上司からお見合いを持ち掛けられ、それを何とか回避しているのに……。
改めて、怪獣って得意分野とか全然変わってくるからマジでいろんなタイプが必要になってくるから汎用性とか万能を求めてしまいそうになる。
つまり―――たった一機で様々な環境に適応できるゲッターこそ最高の逸材なのではないか!!?よしっゲッター線ないからプラズマ駆動のネオゲッター出そうぜ!!勿論並の人間じゃ乗れないけどな!!