緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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PLUS ロシア&中国

福島県竜ヶ森湖より出現した怪獣、レジストコード:ハイパーゼットン・ギガント、及びハイパーゼットン・ファルクスによる怪獣災害は当初予定されていたレベルよりも遥かに小さい段階で防ぐ事が出来た。進行ルートが市街地から離れていた事によって市街地から離れている地点にて戦闘が行えた為に極めて幸運であった。加えて九州による災害を鑑みてアートデッセイ・PLUSの稼働率を引き上げたのは正解だった。これによって特空機二機を搭載し迅速な出撃が可能となった。

 

そして本件は世界中に設置される事となるPLUS各支部に情報共有する事を推奨することを提言する。本作戦においてPLUSの実働部隊がライドメカを用いた初の戦闘となった為である。空戦部隊(ファイターチーム)陸戦部隊(グランドチーム)が特空機と連携する初のケースとなり、特空機搭載による状況においても

艦長であるジェントル・フェンサーの発案により高性能機動戦車(グランドマスター)を艦上に固定し砲台として使用し状況によって降下させる案は性能を考慮すれば極めて効果的と思われる。

 

今回の戦闘においてアメリカ支部の特空機パイロット、キング・チェック氏の作戦参加は明確な成果に繋がった事だろう。これを橋掛かりとして他支部とは強い結束を望む。

 

―――PLUS司令官代理作戦参謀 サー・ナイトアイによる報告書より一部抜粋。

 

 

「ハハハハッ!!いやぁあのファイターは実にアメイジングね!!操縦していて怖いと思ったのはルーキー以来ね!!」

「それで済ませられるって本当に可笑しいですからね、身体に何Gの負担が掛かると思ってるんですか?最大15Gですよ何でそれに耐えてるですか」

「トレーニングをエブリディしてるから!」

 

キラリンッ!!と歯を輝かせながら指を立てるキングに流石の発目でもため息が出る。以前の自分なら多分確実に嬉々として実験体になってくださいというのが想像できて頭痛がする、そんな風に思う辺り成長したと思っていいのだろうか。

 

「バット、まさか三ヶ国のPLUS視察が祝勝パーティになるなんて流石にサプライズ」

「全くですね。まあ後日そっちは取るらしいですからその前に円滑な関係を築きたいって目論みを通す為とか日本政府が見栄張りたいとかそんな下らない理由ですよきっと」

「言うねぇ発目ちゃん」

「ちょっと言い過ぎだよ発目さん」

 

本来の視察が中止になった筈なのだが、後処理のめどが付き始めた翌日に進路を変更していた中国とロシア機が来訪。PLUSとしては断りたかったのだが日本政府が強引に許可、これにナイトアイは頭痛を覚えずにはいられなかったが、二ヵ国がPLUSへの協力いや地球を守る為に力を一つにするという条約にサインしたらしくそれを知らしめるためにも必要だと言われ、渋々受け入れた。そしてまだ忙しいのにPLUSの祝勝と交友を深めるという名目のパーティが急遽催される事になった。

 

「ナイトアイも大変ね、二ヵ国だけじゃなくて他の国からのスポンサーから集られて」

「そもそも日本政府も政府ですよ全く……オールマイトとPLUSの二枚看板でも売る気ですかね」

「まあまあ……」

 

と侮蔑的な言葉で政府への疑念を深める発目を出久が諫める。実際問題としてオールマイトの弱体化という事は国の上層部の一部は理解している、故にその後釜としてPLUSを宛がおうとしているのだろう。別に自分達は日本に固執している訳ではない、国連からの許可さえ下りれば国際的な機関として認定されるのだから。というかこれだけの組織が国の直属で居続けるというのも危ないのが実情。

 

「でもナイトアイもちょっと嬉しいと思うよ、色んな国の人が一つの志の元で一つになろうとしている。それが実感出来るんだから」

「色んな思惑があるのは事実だろうね、でもそこはブレていないと思うよ」

 

光士もそれは否定しない。利権絡みや広告、様々な狙いはあるだろうがその程度ならば地球を守る為なら許容して見せるというのがナイトアイの顔に浮かんでいる。取り返しのつかない段階で漸く怪獣の脅威が伝わった、それでは遅すぎるのだから。そんな風に思っていると3人程が此方へと迫ってきた。

 

「ようキング、大怪獣と直接やり合ったって聞いたぞ。如何だ感想は」

「ベリーベリーデンジャラス、今までのセンスでは間違いなく即お陀仏」

「おいおいあんまり脅かさないでくれよ、こっちは馬鹿みたいに広い国土で何時怪獣に会うか冷や冷やしてんだからよ」

「ウォッカを煽りながら言っても説得力皆無ね……寒さ凌ごうとして酔ったら意味ないじゃない」

 

キングは旧知の間柄なのか気さくに挨拶をしながらもゼットンとの戦いでの素直な感想を述べつつも自分が乗った新型はとても良かったと褒めると三人は興味深そうにしつつもキングの傍にいた其方へと挨拶をする。

 

「おっと済まない自己紹介が遅れたな、PLUS支部の長官のベルート・ジンだ」

「同じくロシア支部で索敵部隊の隊長をやってるミハエル・フランカー、宜しくな」

「中国支部のチョウ・リーよ、あらっ良く見たらウルトラスーツの開発した発目 明さんにそのテスターの緑谷 出久さんじゃない」

「さっさんじゃなくて呼び捨てで良いですよ、僕たちまだ子供ですし」

 

慌ててさん付け撤回をお願いするが外国では想像以上に自分達の名前が売れている事に驚いてしまった。PLUSの評判が広まると同時にそこで正式配備されている対怪獣災害想定コスチュームのウルトラスーツを完成させた二人の事も当然知られている。ある意味プロヒーローよりも名前が良く売れているのが実情である。自己紹介を此方もして他支部との交流が始まった。

 

「ロシアの索敵って凄い大変なんじゃないですか」

「ですよね、世界最大規模の面積ですし」

「いやはや全くだよ、吹雪も良く起こるから視界悪いわ凍えるわ……お陰でウォッカ片手に捜索する馬鹿多くてさ、始末書書くの慣れちまったよ」

「済まんがオフレコで頼むよ……フラッカそう言う事を言うな」

「良いじゃねぇのベート長官、今日は無礼講で」

 

思わず溜息を吐くベルクート長官。人員編成は終わっているが如何にもアクが強いメンバーが多いのか彼に掛かる負担は相当な物らしい。

 

「此方の方でナイトアイにロシア支部に極限環境対応型のスーツのデータ送るようにしときます?」

「ああいや、先ずは此方でも出来る限りの事をしてからにするさ。ダメな時は素直に頼られせてもらうよ、それよりも問題なのは特空機の方でね……中国の方はそれなりに進んでいるだろう?」

「ええ。龍と虎がモデルになる予定よ、龍が雷で虎が風って感じ」

 

それを聞いてベクートは益々肩を落とした。ロシアのPLUSが課題としてあげているのが国土の広さをどうやってカバーするのか、そして猛烈な吹雪による視界不良や極低温化対応可能な特空機開発。様々な意見が飛び交っているがそれ故かまだ纏め上げられていない。

 

「いっそのこと大型化しない方が良いじゃないですかね」

「えっどういうこと?」

「私達のゴモラみたいな特空機作ったとしてもロシアの国土から考えてとんでもない予算必要になるじゃないですか、だからあまり大型化せずに小型の特空機もありじゃないですかね。それなら国土のカバーって言う点は解消できますし」

「成程……確かに、それはアリだな……」

 

特空機を製造するに当たって矢張り一番ネックになってくるのがコストである。出動地域が増えれば増える程に特空機は必要になるが、それを用意できるかは別問題。ならばいっその事小さい特空機で対応するのも一つの手になる。

 

「ベート、これ普通にありじゃねえか?鉄道と連携して運搬するって案も上がってるし小型すれば列車でも十分運搬可能だぜ」

「アリだな。実は纏まって無いがデータ自体は持ってきている、見て貰ってもいいか」

「あらっそれなら中国のもあるわよ、一緒に特空機会議に行きましょうか」

「良いですねぇパーティよりそっちの方が楽しそうです」

 

パーティよりそっちの方がよっぽど有意義だと発目は乗り気になってしまい、思わず出久と光士は互いに肩を竦めながらそれに付き合う事にする。

 

 

―――……お疲れさんゼットン、お前は十分役に立った。




次回、ロシアと中国の特空機発表。そして―――……胎動、覚醒。
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