ラムダスピリッツ、アルファエッジ。二人のウルトラマンが対峙する終焉の魔神、それは唯々目の前に倒すに値する相手が出現に対して喜びにも似た感情を感じながらも此方を見据え続けていた。
『こいつは……相当にやばい力を感じますぞ……』
『デストルドス、いやそれ以上にやばい力を感じます……!!』
ゼットとハルキ、その二人が地球最後の闘いとして戦った怪獣、死と破壊の王、殲滅機甲獣 デストルドス。次元の崩壊をも引き起こしかねない人類最強とも言うべき兵器D4レイを主軸に置かれた特空機が敵によって奪われた上で様々な怪獣やベリアルなどのメダルを大量にを吸収した結果誕生した合体怪獣。ゼットとハルキ、そしてストレイジが総力戦の末に倒した怪物だが、それ以上の威圧感を感じずにはいられずにハルキは身体の震えを感じてしまっていた。それは出久も同じ、理性ではなく本能が感じてしまっている。
『―――来るがいい、光の戦士……!!』
「ォォォォッッ!!」
「デュァッ!!」
「ヴゥゥゥゥ……!」
突き進むマグナとゼット、それを真正面から受けて立つ
「グッ!!ディァッ!!」
一歩後退るが腕を振るい光弾を放つ、それは同じく魔神の胸へと直撃する。だが小揺るぎもしない、そこへ二筋の光刃を煌かせながら切り込んでいくゼット。
「シュァァァッ!!チェァァァッ!!」
ヌンチャクのように光を振るいながら刃が魔神を切り裂き続けて行く、全身を使いながら勢いをつけながら更に深く早く放ち続ける中で回転しながら紅蓮に輝く蹴りを浴びせ掛ける。
『チェストォォォォ!!!』
そのままアルファチェインブレードをエネルギーへと変換しながら拳へと纏わせながらハルキの裂帛の叫びと共に正拳が放たれる。深く踏み込んだ一撃は確かにグノスの胸部へと直撃―――せずにその本の数ミリの所で拳が停止してしまっていた。更なる力を込めて拳を押し込もうとしてもピクリとも動かない、壁によって阻まれているというよりもこれ以上には何もないような感覚に陥る。
『何だ、これっ……!?』
『グリーザ以上に、何も感じない……!?』
『―――虚空、フフフッ……中らずと雖も遠からずだな』
「ヴォォ!!」
再度差し向けられる腕、それは瞬時にゼットを吹き飛ばしてしまい大地へと叩きつけた、直後ゼット周辺の空間に異常が生じゼットへと重くのしかかっていく。
『何だこれ……!!?体が、動かないっ……!!』
『やっぱり、これはグリーザと同じ波長の力……!!』
『SWALLOW SMASH!!』
「ダァァァァッッ!!」
真上からスマッシュを浴びせ掛けるマグナ、それを一歩後ろへと退くだけで回避するが直後にラムダ・ソウルブレードを抜刀しその胸へと突き立てる。それも先程と同じように完全に静止してしまう、だが―――マグナはそこへマックス、ネオス、ゼノンの力を最大まで開放し膨大なエネルギーで全身を覆う。それによって僅かに生じた隙間に光の竜巻を叩きこみ遂に魔神へと明確な一打を与える事に成功する。
『見事……よくぞ虚無の壁を越えられた物だ……』
後退りながらも余裕を崩さないグノス、だがその言葉には明確な称賛が浮かび上がっている。まさか自分の障壁を破る事が出来るとは思っていなかったのか、いやそれとも破れると信じていたのか……何も分からない不安が押し寄せる中でマグナは唯々刃を振るうがそれをグノスは押し留める。
「ォォォォッッ!!デュァァァァッッ!!!」
「ダァァァァッッ!!!ベェェタッスマッシュゥゥゥ!!!」
「ヌヴゥ……!!」
刃を咄嗟に放す、宙を落ちる刃を左手で握り直して斬撃を放つ。咄嗟に意識外を突いた攻撃、そしてそこへベータスマッシュへと姿を変えたゼットが重々しいドロップキックを繰り出してブチ当てた。パワー全振りと言ってもいいベータスマッシュの体重の乗った一撃は流石のグノスも大きく後退せずにはいられないがそこへ更なる追撃が飛ぶ。
『『ベータクレセントスラッシュ!!』』
『『ネオ・マクシウムスラッシュ!!』』
巨大な三日月のようなカッター光線と身の丈程の巨大な八つ裂き光輪が同時にグノスへと襲い掛かっていく。流石のグノスも防御姿勢を取り直撃に耐える、が直ぐに飛び込んできた二人が同時に殴り込んできたのには反応出来ずにまともに一撃を受けてしまい吹き飛ばされてしまった。
『存外に、やる……だが調子に乗るな……!!』
攻撃に称賛しつつも遂にグノスは攻勢に出る。一瞥すると同時にマグナ達の周囲が一瞬にして連続して大爆発が連続していく、だがその爆炎も即座に無へと還っていく。
『グゥゥゥゥッ……何て、パワーなんだ……!!』
『単純な爆発じゃなくて其処に無を組み込んでる……!!』
『無へと還るっエネルギーが消失するそれすら攻撃にするとは……完璧にコントロールしなければ出来ない芸当だ……!』
『魔神って言うのは伊達じゃないみたいですね……!!』
「ヌヴゥンッ!!ォォォォォ……!!!」
攻撃に苦しむ中でグノスは更なる攻撃を仕掛けようとして来ていた。防御か回避かそれとも妨害するかを思考するよりも先に身体が思わず止まってしまっていた、何故ならばそれは恐らく光線のような物を放とうとしている、全身から闇のオーラがエネルギーとなって溢れそれらが腕へと集中していく様はウルトラマンの光線技に酷く似ている、がそれ以上のその動きが彼らの動きを止めた。
『あっあれって……師匠の!?』
『マグナさんのマグナリウム光線!!?』
『チィィッ!!』
それを見たマグナは咄嗟に同じように光線技のチャージへと入った。あれがもしも自分の光線と同じ性質を帯びているのだとしたら不味い事になる、あれは照射面積と威力を重視している、それと同じならばとんでもない威力になるのは確実。闇の煌きが頂点へと達したと同時にマグナのチャージも終了し光と闇の光線がぶつかり合う。
「ンヌヌヌヌヴァァァ!!!」
「シュエァァァ!!!」
闇と光の激突、闇の閃光と光の奔流。何方も負けないと言わんばかりにどんどん出力が上がっていくだがグノスが一歩深く踏み込みながら力を籠めると状況は一転。闇の力が一気に増してマグナの力を一蹴するかのように押し切り襲いかかった。全身を汚染するかのように襲い来る闇の力、それを受けて吹き飛ばされ叩きつけられると一瞬で無に還ると同時にマグナは疲弊しきったように荒い息を吐いてしまった。
「ヌォォォ……グァァァァ……!!」
何とか体勢を立て直すが途轍もないダメージを受けてしまっている。それをカバーするようにゼットが間に入るがグノスは唯々笑っていた。
『如何だマグナ、お前の力を受けた気分は』
『私の、力だと……!?』
その一撃は明確にマグナリウム光線の収束圧縮したエネルギーの活用性質を持っている、だがそれを持って自分の力というのは可笑しい。その時に寒気がする程のいやな予感がした。アウローラ、奴は並行世界のアサリナの身体を奪っていた。何故か今その事が脳裏を過ってしまった。
『我が母の名はアウローラ。そして我が父、その名はマグナ』
時間を置く事も無く、悪びれる事も無く、真正面から突きつけられた言葉に思わずマグナは思考が停止した。
『師匠が父、親……!?』
『何を言ってるんだこいつ……!?』
『アウローラ、それが母親って事は……まさか……!?』
困惑するゼットとハルキ、だが出久は分かってしまった。その言葉の奥にある真実に指を掛けてしまった。アウローラが母親、それはつまりその肉体の依り代になった存在にも言える事になる。アウローラの肉体の依り代……それはアサリナの並行同位体、並行世界の彼女。そしてマグナを父と呼ぶ、それはつまりこのフィーニス・グノスの正体、いやその大基になった存在というのは―――
『我が母、アウローラが依り代にせしアサリナ。その女が孕みし命、マグヌスこそが我が根源。そしてマグヌスは貴様の子だ』
『私とアサリナの……子……?』
理解を越えた感情が身体を縛り付けた。並行世界の一つ、タルタロスが手を伸ばした世界においてマグナとアサリナは夫婦となっていた。そして二人の愛の結晶とも言うべき子供、それを身籠っていたアサリナをアウローラは依り代にした。そして妻の魂を壊しただけではなく自分の子供の命までもが毒牙に掛かり、様々な怪獣の力を取り込み一つになった事で生まれたのが―――フィーニス・グノスという魔神。
『我はレイブラッドの継承者、偉大なる光の勇士を継し者。我が父よ―――受け取るが良い』
指が鳴った、今までよりも特大の爆発と無がマグナを襲いかかった。ゼットの背後でそれが起きた時、ゼットはゼスティウム光線を放ちそれを妨害するが意味はなかった。無が終わった時、マグナはゆっくりと後ろに倒れこんだ。
『師匠!!』
『マグナさんっ!!出久君先輩確り!!』
『私と、アサリナの……子……私がアウローラを、追い詰めたが故に私は……私はっ……』
『マグナさんっマグナさん確りして!!』
「ォォォオォォォ……」
味わった事の無い苦痛が、絶望が、苦悩が、マグナへと襲い掛かっていた。その痛みの熾烈さを物語るかのように……彼のカラータイマーが赤く染まり、点滅を始めた。
フィーニス・グノス
アサリナの並行同位体を依り代にした際に彼女が身籠っていたマグナの子、マグヌスへと様々な怪獣の力を取り込ませていった結果、誕生した存在。
アウローラの持つレイブラッドの怪獣を操る力により、怪獣の力を完全に制御化に置いており暴走もせず無の力を発揮し、マグナの光の力すら行使可能。
没案だったアサリナとの夫婦設定、ラスボスにもってきて採用してみました。