緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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絶望が呼ぶ無

アートデッセイ号が到着した時、町は混迷を極めていたと言ってもいい状況であった。倒れこむマグナ、それを庇うように立つゼットと街を無へと還そうとする魔神が立つ戦場となり街の一角は既に消え去っている。中でも誰もが驚かされたのがこれまで地球の為に戦い続けていたウルトラマンが倒れこむ姿であった、そして胸のカラータイマーが危険信号のように赤く染まり点滅した時は思わず最悪の想像を誰もがするなかで檄が飛んだ。

 

「レギオノイド、ゴモラ発進!!各機ファイターはフォーメーションを維持しつつ攻撃!!グランドマスター各機も地上へ降ろせ、ダヴ・ライナーも出すんだ!!地上で逃げ遅れている人々を可能限り救助収容!!急げ!!」

『はっはい!!』

 

混迷する事態の中でジェントルは艦長としての役目を必死にこなしていた、それが自分に与えられた役目だからそしてこの地球を守る責務。そして―――ウルトラマンを助ける為に最善の決断を取る為に思考をし続ける。

 

『Mt.レディ君はウルトラマンマグナの援護を!!』

「言わずもがな!!」

 

アートデッセイ号から飛び降りるかのように飛び出していったMt.レディ、空中で個性を発動させながら地響きを起こしながら着地する。そして倒れこんでいるマグナへと駆け寄っていく。

 

「マグナ様、マグナ様確りしてください!!」

「ォォッ……ァァァッ……」

 

絶えず鳴り響き続けているカラータイマーの音、それが何なのか明確に分かる訳ではない。だがそれが危険を知らせている事だけは分かる、だから必死に呼びかけを続けるが呻き声を漏らしつつも動けないマグナにMt.レディは次第に焦り始めてしまう。自分の憧れの人が此処まで苦しんでいるのに自分は何も出来ないのかと思う中でその背後で黄金の嵐が巻き起こった。

 

ULTRAMAN Z DELTA RISE CLAW(ウルトラマンゼット デルタライズクロー)

 

「シュェァ!!」

 

その手に携える魔剣を魔神へと差し向けながら一気に飛び出しながらその刃を振るう、その斬撃は一気に身体を切り裂き明確な傷をつけた。

 

『っしゃあ!!やっぱりベリアロクの攻撃なら通りますぞぉ!』

『押忍!!!ベリアロクさん、今回もお願いします!!』

『フンっ面白そうな奴を用意したじゃねぇか。良いだろう、斬ってやる』

 

虚数の塊とも言える怪獣、グリーザを唯一葬る事が出来る宇宙の穴を縫う針とされる剣。それは同じく虚無の力を持つグノスにも有効に利くと分かったゼットとハルキはベリアロクを握り締めながら一気に攻め込もうとするが―――その肉体を切り裂いた一撃は今度は防御されてしまう。ゼットを押し退けた瞬間、グノスは自らの胸へと腕を突っ込んだ。いや胸の前の空間に腕を入れた、そしてそこからまるで血飛沫のような空間の残滓を伴いながら出現したのは黒で縁どられている透明な大剣。それを構えながらゼットへと猛進していく。

 

『面白い、かの虚数を切り裂く剣か……ならばそれを葬り去るのも一興……!!』

 

『俺様を葬るか、面白い。やれるもんならやってみやがれ、行くぞハルキ!!』

『押忍!!』

 

猛進してくるグノスの大剣、その一撃は空間ごと叩き壊す程のパワーを秘めている。振るわれた一撃を回避しそれが大地へと炸裂した時、大地にあったビルや道路などは消え失せ唯のクレーターが広がっていた。それを見たゼットは大剣の泣き所を突く為に素早い斬撃を織り交ぜながら接近戦に持ち込んでいく、がグノスも巧みな剣捌きでそれを防御していく。

 

『こいつっ!!まるで師匠みたいに武器の扱いが上手い!!』

 

マグナの血を継いでいるというのは伊達ではない、寧ろマグナの力全てを持っていると言ってもいいそれを実感するゼット。思わず舌打ちを突きたくなる程の熟練の達人を思わせる卓越した技術、此方の素早い攻撃に織り交ぜる鋭い一撃を的確に防御し問題ない攻撃は敢えて受けて此方の隙を作ろうとしている。マグナとの特訓などがなければ何度隙に付け込まれて攻撃を受けていたか分からない程に上手い。

 

 

―――レギオンビィィィィイイイムッッ!!!

 

―――ゴモラァブレェェェェエエエイッ!!!

 

 

咄嗟に剣を蹴りながら距離を取ったゼット、グノスへと二つの閃光が走っていくがその閃光は直撃の直前で捻じ曲がって消失してしまう。駆けつけたレギオノイドとフェンサー・ゴモラの援護攻撃も物ともしないがそれでも闘志は絶えない。

 

「こりゃとんでもねぇ奴が来たもんだなぁ……!こりゃあんちゃんの時みたいに楽しめるかもなぁ!!」

「何でテンション上がってるんですかモルスさんってそうだこの人戦闘狂でした……」

 

ハルキの代わりにレギオノイドに搭乗しているモルス。だがモルスをしてグノスの強さは推し量る事は出来ない、だがこれはこれで自分が求めていた戦いが出来るだろうと興奮が止まらない辺り流石戦闘狂と言わざるを得ない。だがゴモラを操縦する発目は気が気でない、あのマグナが倒れこんでいる。という事は彼と一体化している出久も危ないかもしれない、そんな気持ちが前に出ようとするのをモルスが抑える。

 

「落ち着きな嬢ちゃん、あのあんちゃんはこのモルス様に勝つぐらいのタフガイだぜ。そう簡単にくたばりゃしないし一緒に居るのは旦那だ、今俺達がすべきなのは―――旦那方が復帰するまでハルキのあんちゃんを援護する事だぜ!」

「っはい!!」

 

ゼットに並び立つレギオノイド・フェンサーとフェンサー・ゴモラ。ゼットは頼もしい仲間が来てくれた事に感謝するが同時に二人に対して注意を飛ばす。

 

『二人とも気を付けろ!!彼奴、まるでグリーザみたいだ!!』

『接近は危険です、火器による援護を中心にお願いします!!』

 

「あいよっ任しときな!!」

「畏まっ!!」

 

 

「私がっ私が……」

「マグナさんっ確りしてくださいよっ!!何時ものマグナさんらしくないですよ!!」

 

マグナの中とも言うべき空間でマグナは唯々苦しみ続けていた。出久が傍により必死に声を掛け続けるがその声もまるで届かないかのような様子に陥りながら唯々震えてしまっていた。

 

「マグナさんが悪いんじゃないですっ!!だって、如何しろって言うんですか貴方に!!?別の世界にどうやって干渉しろって言うんですか、別の世界まで全てを守れなんて無理に決まってるじゃないですか!!ウルトラマンは神じゃないって言ったのは貴方でしょ!?」

 

必死に問いかけ続ける出久、その言葉は正しく真実を突いてこそいるがマグナには届いていない。ウルトラマンは神などではない、そう言っていたのもマグナ本人じゃないかとだが……。

 

『気持ちは、分かるよ……』

『マグナ……』

「菜奈さん!?」

 

そこへウルトラ・フォー・オールの中にある菜奈の意識がアサリナを引き連れながら現れマグナの苦しみを肯定した。

 

『出久、君はまだ分からないかもしれない……自分が必死に守る為として戦ってきた行い、それはきっと正しい。だけど正しさだけじゃ許容しきれない物だってあるんだよ』

「でも……!!」

『マグナは戦い続けてきたんだよ、平和の為に……でもそれが自分だけじゃなくて別の世界にまで及んでしまった……自分が守りたくて守りたかったものを自分自身の手で奪い去って、自分の子供をあんな形にしてしまったって……そう思ってるんだよ』

 

大切なものを守る為に行動し続けた果ての今、それが酷く圧し掛かってきている。世界を滅ぼす魔神となってしまったのは我が子、そして我が子をそんな存在へと導いてしまった原因は自分がアウローラを追い詰めたが故の事。分かっている、マグナだってそれを自分が責任に感じる事はないと……だがそんな事で許容しきれるのか、そんな自分逃れを許してしまっていいのかと。

 

「私は……もうアサリナを……アサリナを……私は自分のっ……ぁぁっ……!!」

 

アサリナが傍にいる、彼女は一緒にいる。彼女も討て、それが正しい、犠牲になった自分もそれを望むという言葉があったからこそマグナは自分を奮い立たせる事が出来ていたのだろう。マグヌス、自分とアサリナの子供……未来を奪い今度は今を消し去るしかない、自分の子供を……それをしろというのか、自分に自分の子の命を奪えというのか……限りなく人間に近い精神を持つマグナの心は酷く脆くなっていた。

 

「如何して、こんなに……何で、如何してなんだ……如何して―――」

 

聞いた事も無い弱音、絶望しきった言葉に出久は拳を握りながら思わず叫んでしまった。

 

「ふざけるな……これ以上マグナさんを苦しめるなぁぁぁ!!!」

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