緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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光の勇士。

「グォォォォッッお戯れをっお止しになってぇてなぁ!!!」

 

大剣を回避するが、地面が崩れ倒れこんでしまった所へと大剣が差し向けられる。だが咄嗟に全ミサイルの砲門を開き一斉に発射する、だが命中させるのではなくグノスへと当てる直前に起爆させて大爆発を引き起こさせながらその爆風を推進力代わりにしつつ地面を蹴って後方へと跳ぶレギオノイド。そこへゼットが斬り込んでいく。

 

「チェェェエアアアッッ!!!」

「ヴオァァァ!!」

 

激突するベリアロクと大剣、互いの得物の強さは互角。だがそれを振るう者の差が出たのかゼットは吹き飛ばされながらも空中で制動するが直後に爆発と無が襲いかかり墜落する。

 

「ゼットさんハルキさん!!こんのォォォッッ!!」

「キシャアアアア!!!」

 

援護の為にエネルギーチャージを開始するフェンサー・ゴモラ、頭部の角へと落雷が落ちるとそこから雷撃と衝撃波がミックスされた波動が放射されていく。だがグノスには全く効果がなく波動そのものが無へとされていく。逆に攻撃を受けてゴモラは火花を散らしながら倒れこむ。

 

「嬢ちゃん動けるか!?」

「ダメージレベル36%、ええ……まだ行けます……」

「攻撃は命中させるなっどうせ無にされるなら誘爆を誘うように扱え!そっちの方が無にされるのにラグがある!!」

「まさかさっきのそれですか?」

「あったり」

 

『デスシウムファングッッ!!』

 

巨大なベリアルの頭部がグノスへと喰らい付いた、流石はベリアロクの攻撃だけ利いている。だが同時に発目も理解し始めてきた、グノスは確かに全てを無へと還すがそれは身体に降れていた方が効率がいい。だから間接的な物であればラグで時間も稼げるしダメージを稼げるかも……だが

 

「でもダメージ効率が悪すぎますよそれ!」

「だよな、くっそ旦那はまだか!?」

 

効率が余りにも悪すぎる事なんてモルスも承知しているがそうでもしなければ即座に攻撃が無効化されてダメージすら与えられない、出来るだけマシだが……これではダメージレースは絶望的、ファイターの攻撃も予想以上に利いていない。有効打はゼットのベリアロクのみ、マグナの復活を待つしかないような状況が続いている。

 

「出久さん、何があったんですか……!?」

 

 

『マグナ……』

 

アサリナの眼前には耐えきれない絶望の中に居続けるマグナの姿がある、ウルトラマンとして戦わなければいけない立場にある彼を縛り付け動けなくする絶望。その深さは人間であればある程に理解し共感出来てしまうもの。

 

『……』

 

菜奈も口を閉ざし何も言えない、同じように自らの行いによって自らの孫をヴィランへとしてしまったかのような……いやそれ以上だろう。だがその中で一人だけ、マグナの相棒である出久だけは悔しさを滲ませながらも拳を握りしめ続けていた。

 

「すいませんマグナさん……SMASH!!!!」

『『なっ!!?』』

 

血が出る程に強く握りしめられたそれを握り直すと全力でマグナの横顔へと叩きこんだ、紛れも無く全力のスマッシュが振るわれてマグナは吹き飛びながらバウントするかのように叩きつけられた。突然のそれにアサリナも菜奈も驚愕した、それを受けたマグナは何もなかったかのように身体を起こしながら膝の上に腕を置きながらそっと目線を持ち上げて出久を見た。それを受けて尚、出久は拳を握り続ける。

 

「マグナさん、僕は貴方の苦しみが分からない。貴方が苦しんでいる事は分かるけどどれだけ辛いかは分からない……僕に分かるのはフィーニス・グノスを止められるのは僕達だけ、ウルトラ・フォー・オールの持つ者の役目です」

「……」

「貴方っそれでも本当にウルトラマンマグナですかぁ!!!」

 

もう一発、スマッシュを振るう。

 

「今まで貴方は僕にどれだけウルトラマンがどんな存在かを説いてきた、貴方が憧れるウルトラ兄弟の方々の戦いを通して僕にウルトラマンが何の為に戦うのかを!!それを今放棄するんですか、それはウルトラマンである事に誇りを感じている貴方が一番許せない事でしょう!?」

「君に、何が分かる……」

 

初めて、マグナが応えた。

 

「平和を願う者達の為に、戦いたくても戦えない者達の為に。正義を守り、試練に立ち向かう、だがその結果がこれだ。私が信じてきた者の果てに私は何よりも守りたかった者を失い、その果てに並行世界のアサリナ、そして今度は私の子供が……」

「だったら今、発目さん達が戦ってくれているのを無視して何時までもこうしているつもりですか!!?」

 

胸倉をつかんで無理矢理立ちあがらせる出久、その表情は怒りに満ちている。それはマグナの相棒として、相棒が許せない事をしている事への怒り。

 

「自分の大切な者が犠牲になった、その辛さは理解出来ますけど僕の大切な人がどうなっても良いって言うんですか!!?そんなのアウローラと同じじゃないですか、僕にマグナさんと同じような苦しみを味合わせるつもりですか!!」

「何が分かる!!」

 

我慢出来なくなったマグナは出久の手を振り解きながらその顔を殴り付けてしまった。出久とは比較にならない力に叩きつけられる出久に菜奈が駆け寄るが出久は口元を拭いながら直ぐに立ち上がる。

 

「親友をこの手に掛け、今度は子供を殺せというのか!?平和を守る為という大義名分の元で、私にそれをやれというのか!?」

「じゃあマグナさんはこのままで良いんですか!?自分の子供をあんな姿にされて、刻まれた物に従って魔神に成り果てるのを望むって言うんですか!!」

「っ……」

 

言葉に詰まる。このままではグノスは地球を滅ぼした上で更に力を増していくだろう、そして何れは完全にアウローラが望んだとおりに終焉を誘う魔神へと成り果てて宇宙を滅ぼす存在となる。そんな事をさせて良いのか、成長させていいのか、ウルトラマンとしてではなくマグナ個人を揺らす言葉に何も言えなくなる。

 

「あいつはこの地球を滅ぼしたら今度は光の国にまで行くかもしれないんですよ、そうなってもマグナさんは良いんですか!!?」

「卑怯な物言いを……するようになったな……」

「僕を品行方正な優等生とでも思ってるんですか、必要なら僕は身体だろうがボロボロにするような人間です」

 

『う~む凄い説得力』

『モルスとの闘いがあるから余計に凄いなぁ……』

 

そこまで言われてマグナは浮かべていた怒りなどを収めるように腕を下げ項垂れるように頭を下げた。

 

「分かっているさ……私だって倒さなきゃいけないって……でも私は怖いんだ……アウローラがアサリナの身体を奪い、それを倒す時だって本当は、震える程に怖かったんだ……」

 

吐露される本音、悟られぬように心の奥だけに思い留めて明かさぬようにしていたそれ。アウローラを倒す時、それは同時にアサリナを今度は自分の手で消すという意味にもなっていた。だがアサリナが共に居てくれているという事が分かっているからこそ受け入れられた……。

 

「アサリナを殺した、そう思えてしょうがなかった……震えた、怖かった、でもウルトラマンなんだから戦わなきゃいけないって使命感で恐怖を殺した。そんな事で自分を騙す私はウルトラマンで良いのか……いや私はウルトラマンなんかじゃない」

 

自己の否定、いやそれは前世の記憶を持つからこそ抱いてしまった物。本当のウルトラマンならこんな事を考えないだろう、如何するべきかなんて理解して行動する筈だと言い聞かせながらそうあろうとした……だが矢張り自分はウルトラマンではないと分かってしまった。

 

「じゃあウルトラマンじゃないなら貴方は何なんですか、マグナさんでしょ」

「……ああそうだ、マグナだよ……唯の空っぽな……」

「そうです。マグナさんです、僕に色んな事を教えてくれて光をくれた人です」

 

血まみれの手を開きながら見る、何もなくて何も掴めなかった空虚な自分の手がたった一人が与えてくれた光のお陰で大きく強くなった。

 

「夢見るだけで何も出来ずに何もしなかった僕に何かをくれたじゃないですか、あの時から僕は前に進めたんです。光線の打ち方も、戦い方も色んな事をくれたじゃないですか。あるじゃないですか、マグナさんは空虚なんかじゃ、ないですよ」

「出久君……」

 

顔を上げた時、そこには泣きそうだが笑っていた出久がいた。その笑みに込められていた物は直ぐにでも分かった、これまで一緒にいて一緒に手にして来たもの全て。マグナにとってその時間は余りにも短く小さい筈なのに酷く大きく輝いているように感じられた。

 

「唯のマグナさんなら僕と一緒にウルトラマンになりましょうよ、マグナさんがウルトラマンになれるように―――一緒に戦います」

「―――フフフッ馬鹿な事を、いうもんじゃない……君は君だ、地球人の緑谷 出久君だ。それでいいんだよ」

 

咽るような笑いを作りながら立ちあがる、その顔にはもう絶望は浮かんでいない。

 

「ああそうだよな……私は失う所だったんだ、今度は全てを……何て愚かでふざけた事を想ったんだろうな……そうだな、私が戦わなくて誰があの子と向き合ってやるんだか……子供か……考えた事も無かったから受け止めきれなかったのかもな」

 

結婚すらまともに考えた事も無かったからそう思ったのかもっと少し冗談めいた言い回しをしながらもマグナは立ち上がりながら拳を握る。そしてアサリナ達の方を向いた。

 

「心配をかけてすまなかったアサリナ、それに菜奈さんも」

『いや正しい反応だと思うよ、私としては他人事に想えなかったしね』

『まぁ僕は凄い驚いたけどねぇ~でもそうか、マグナと結婚する可能性もあったのか……マグナ、僕と結婚しようか!今からでも!!』

「そんな世迷言を言うから一瞬アウローラかと思ったよ」

『ちょっひどっ!?』

 

そんなやり取りに出久はウルトラ・フォー・オールを継承した人の事を思い出した、あの時もこんな風だったなと思っているとライズウルトラメダルが飛び出して手に収まった。その中でもノアのメダルが強い光を放っていた、まるで―――マグナをウルトラマンと認めているかのように。それを見ながら出久とマグナは頷きながら覚悟と決意を固めながら前へと進む。

 

「平和を願う、悠久の想い、そして宇宙を満たす光の力を―――今此処に!!」

「宇宙に平和を齎す、無限の光!!!ベリアルさんっ!!アサリナさんっ!!ノアさんっ!!

 

 

〔BELIAL ATROCIOUS〕〔ASARINA〕〔NOAH〕

 

 

『平和を望む者、それを乱す者よ、そして全ての命よ!!音にも聞け、刮目せよ!!』

「全てを無へと導きし終焉を誘う魔神と戦う光の姿を!!!」

 

『「ウルトラマンッマグナァァァァァァァァァァァッッッ!!!!!」』

 

―――ヌ"ア"ァ"ッ!! ティァッ!! シュワォ!!

 

ULTRAMAN MAGNA OMEGA SUPREME(ウルトラマンマグナ オメガスプリーム)

 

 

「ヴァァァ……ォォォオオオ!!」

「デュワァァァァッッ……ァァァア!!」

 

放たれる光線をベリアロクで防御しようとするがその照射面積が自分を遥かに超える規模だった故に防御しきれずに吹き飛ばされるゼット、大地に叩きつけられ遂にカラータイマーが赤く染まる。苦しさにもがく声を出す自分へと止めを刺すが如く再度光線を放つ―――がそれは突如現れた光の柱が無力化した。そして光の中から現れたのは―――

 

『師匠っ……!!』

 

「マグナ様!!」

 

その姿を見た時、誰もが希望を取り戻した。全ての人に希望という光を与え、必ずその希望を守り抜く。その身に闇、愛、光の力を宿す偉大な光の勇士―――ウルトラマンマグナが立っていた。

 

『行くぞ出久君……これが、本当に最後の戦いだ!!』

『はいっ!!!』

 

「シュォッ……!!」

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