緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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緑谷出久はウルトラマンと出会った。

戦いは終わりを告げた。街にはアートデッセイ号だけではなく特空機などがフル活用されながらの復興作業が行われ続けている。ファイターが複数にてワイヤーにて牽引されたビルをレギオノイドが受け取りながら地面に設置しながら地形干渉系の個性持ち達がそれらの接着や接合などを行っていく。無へと還ってしまった部分は通常では考えられない速度で修復されていき、人々が戻って来て準備を行うだけで元の機能を取り戻せる事だろう。

 

「心から感謝を述べなければならないだろうな、有難う出久君」

「お礼なんて可笑しいですね、僕は相棒としてすべき事をしただけですよ」

 

PLUS基地が見える高台、そこにてマグナと出久は言葉を交えていた。視線の先では基地の敷地内で運搬予定の仮ビルが組み立てられており、完成されたものからファイターによって牽引されて運ばれていく光景を見つめながら心からの感謝をこめた。

 

「だとしてもさ。今こそ私は本当にウルトラマンを名乗っていいとさえ思っているよ、君がそれを与えてくれた」

「そこまで言うなら受け取りますけど、それなら僕だってそうですよ。マグナさんは僕をヒーローにしてくれたんですから」

 

何方からも飛んでくる有難うの言葉に思わず二人は笑ってしまったのであった、どれだけ自分達がお互いに感謝しているのだろう。それは自分でないと分からないしその深さも相手が思っている以上。何て滑稽なんだろうと笑いがこみあげてしまう。

 

「ねぇっマグナさん―――もう、なんですよね」

「―――分かるかい?フッ……流石出久君だ、やっぱりバレていたんだね」

「当たり前です、僕を誰だと思ってるんですか。アサリナさんには悪いと思ってますけど僕はマグナさんの最高の相棒を自負してますから」

「ハハハハッ!!確かに私にとっては君以上の相棒なんていないな」

 

高らかな笑いを口にしながらマグナは空を見上げた、出久もそれにつられるように空を見つめるとそこには星の煌きがあったがそれは文字のような配列になっており繋げると何かのサインのように読み解く事が出来た。それが何を意味しているのか分からないが―――あれは紛れもないウルトラサイン。

 

「アウローラも倒し、奴が残した最大の脅威も消し去りマグヌスの魂を救う事が出来た。そして―――君は此処まで成長した、もう約束は果たせただろう」

「そうですよね……マグナさんからしたらもう残る意味がないんですよね」

 

この地球にマグナがやって来た理由、それはこの地球の調査。個性と地球人との関係などを調べる事、それについては随分と前に終わっていたがそれ以上に此処に残っていたのは出久が立派になるまで見守るという約束があったから、そして……マグナの因縁も清算する事が出来た。だから……この地球に居る意味がない。出久は何時からか分かっていた、こんな日が来ると……。

 

「他の人には何か言い残さなくていいんですか?」

「言ってしまうと揺らいでしまいそうだからね、私はこの星で自分の痕跡を残し過ぎてしまった。決意が揺らぐのは遠慮しておくよ、宜しく言っておいてくれるかい」

「その位自分でどうぞって言いやりたいですけど請け負います、散々お世話になりましたから」

「済まないね」

 

互いに顔を見ぬまま語り続ける、胸の内に沸き上がってくる熱に出久は身を任せたくなってきた。本当は行って欲しくはない、ずっと自分と居てほしい、まだまだ立派になりきれていない、教えて欲しい事がある、どんな言葉ならば彼を繋ぎ止められるのかと必死に探してしまっている自分に笑ってしまった。気付けばもう数年……ずっと一緒に居た相棒と別れる……止めたくなるのも当然だが出久はそれを飲み込む事にした。

 

「意外だね。君は私を引き止めると思っていたよ」

「本当はっそうしたいです、でもそれだけ僕はずっとマグナさんに頼ってしまうと思うんです。だから……これからは自分の足で歩いて行こうって思います」

「立派な事を言えるようになったね」

 

子供の成長を喜ぶ親の気持ちというのはこんな感じなのだろうかとマグヌスの一件がある為かそんな事を考えてしまう、随分と感傷的になったものだと思いつつも悪くないなとそれに笑う。

 

「マグナさんこそ帰ったら大変ですよきっと、なんせカトレア王女との結婚式と披露宴が待ってる事も考えられますし」

「やれやれ……本当にそうだったらあれだよなぁ……せめて時間を置いてからにして欲しいよ……」

「というかアサリナさん一緒なのに大丈夫なんですか」

「まあうん……取り敢えずヒカリさんに相談してみるよ」

 

命の固形化技術やらでアサリナの肉体が再生出来ればいいのだが……まあ出来たら出来たら今度は今度で別の修羅場が生まれそうな気がしなくもないのだが……それはそれで頑張ろうと思える、何故だろう……結婚にも前向きになれずにいたのに今なら前向きに捉える事が出来る、というよりかは早くあの子に会いたいという思いが出来て致し方ない。

 

「出久君も発目ちゃんと仲良くするんだよ、世界の平和は君の手の中にある」

「ブフッ!!ちょっちょっとマグナさんなんて事言うんですか!!?ぼ、僕と発目さんはそう言う関係じゃ……!?」

「あんだけ露骨に甘酸っぱい空気作りだしといてよく言うね君。それとも何、病室でキスされた時実は起きてましたって事彼女に伝えておこうか」

「わ~わ~!!!それだけは絶対にやめてください!!?」

 

周囲には誰もいない筈だが大声を出してかき消そうとする出久にクスクスと笑うマグナ、そんな姿に顔を赤くしながらもそっぽを向く出久はもう早く行けばいいんじゃないですか!?と口にしてしまう、それについて謝罪しながらもマグナが遠くを見るとハルキが此方に走り込んでくるのが見えた。

 

「すいませんっ遅れました!!」

「もういいのかい」

「引継ぎもモルスさんにお願いしましたし、もう大丈夫です!!」

 

ハルキの方も無事に終わったらしい事を聞くと本当にもお別れなのかという空気が強く感じられるようになってきてしまった。

 

「出久君先輩、色々お世話になりました!!俺の方でも出来るだけ特空機で力になれるようにしておいたので活用してください」

「ハルキさん……はいっ僕負けませんから。ストレイジに負けない様にPLUSを強くしますから」

「楽しみです!」

 

『出久、色々とお世話になりましたで御座います。これからこの地球は本当の意味で託される、その重圧に潰されないようにな!』

「はいっゼットさんもお元気で。マグナさんに失言しないように気を付けてくださいね」

『げっまだそれ言われるのでございますか!?』

「頑張ってくださいよ、弟弟子のゼットさん」

『あっそっか俺にとって出久って兄弟子なのか!?俺ずっと出久の事弟弟子だと思っちまってた!!ウルトラショック!!!』

 

という事実に気付いたらしい、というよりも出久は師匠の相棒だからという認識の方が強かったせいだろう。ゼットには最後まで笑わせて貰ってしまった、凄い人なのに何処か親しみを感じてしょうがない。

 

「出久君、腕を―――誓いと共に」

「はいっ……誓いと、共に……」

 

神妙な表情を作りながらも差し出された腕、同じように差し出しながらも腕をぶつけ合う。力強い光とエネルギーを感じながらも出久はそれを真正面から受け止めながら沸き上がりそうになる涙を抑えながら言う。

 

「今まで本当に、有難う御座いました……地球を守ってくれて、ありがとうございました……!!」

「ああっそしてこれからは君の番だ。君ならばこの地球を守れると信じている、大丈夫だよ君はウルトラ・フォー・オールに選ばれているんだから」

 

身体へと流れ込んでくる力、それは正真正銘ウルトラ・フォー・オールの力。出久が持つべき力がマグナから出久へと伝わっていく、これからの地球を守る為に新しいバトンが紡がれる。ウルトラマンとの絆を胸に秘めながら、平和の為に戦う事を出久はマグナとのウルトラの誓いを交わす。そして腕が離された時に感じた……自分とマグナが本当に分離したと。

 

「君もウルトラマンだ―――これから未来を、平和を……君たち自身の手で生み出し、掴んでくれ。必ずできると信じているよ」

「っ……はいっ!!!」

 

離れて行く、マグナの指には自分の手から離れたマグナリングが輝いている。そしてハルキと共に眩い光に包まれる、視界を覆う光が消えた時―――そこには自分を見下ろす巨人がそこに居た。それは最後に自分へと頷いた、そして振り返りながらゆっくりと空を見上げると―――

 

 

シュワッチ!!!

 

 

空へと腕を伸ばして舞い上がっていった。あっという間に手も届かぬ距離へと昇っていく光の巨人を出久は見上げつづけていた、光が遠ざかって行くにつれて瞳からは大粒の涙が溢れ出していく。決して泣かずに送り出そうとしていたがもう我慢する事も出来ずにそれを追いかけるように出久は空へと飛び立った。絶対に追いつけないと分かっていても……そして命一杯の声で叫んだ。

 

「ウルトラ五つの誓い!!

一つッ諦める事無く最後まで全力で立ち向かう事っ!!

一つッどんなに辛くても光を持ち続ける事!!

一つッ誰かを信じる心を忘れず、持ち続ける事!!

一つッ一人じゃなくて皆と一緒に戦う事!!

一つッ闇を恐れぬ勇敢な心を持つ事!!

僕はっこの誓いに恥じない男になってこの地球を守って見せます!!―――聞こえますかマグナさぁぁぁぁん!!!」

 

たった一人、大空でその叫びをあげた出久。大粒の涙を流しながらの言葉は酷く歪んでいて聞き取れるとは思えないような物だと彼自身でも思った、だが―――空に輝く一つの星が見えた。それはマグナが発した輝き、ウルトラの光。

 

―――聞こえたよ、出久君。

 

と語り掛けてくれたかのようなそれに出久は笑みを浮かべながら手を振ってそれを見送った。この地球を守ってくれた偉大な光の勇士に感謝を込めて……。

 

 

そして地球に新たな記念日が作れる事になった。それは地球を守ってくれた光の巨人への感謝の気持ちを忘れぬようにする為、その巨人に恥じぬように前に進む為、そして―――何時かこの地球へとやって来てくれる事への祈りを込めた記念日。それが―――ウルトラ降臨祭。

 

「マグナさんっ今日も僕、頑張りますから」

「出久さんっちょっとこっち来てくださいっ~!!」

「今行くよ明」

 

緑谷出久はウルトラマンと出会う。

THE END




最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

緑谷出久はウルトラマンと出会う。これにて完結です!!
今作を投稿したのは2020/12/20、あと少しで11か月にあるのかぁ……此処まで来れたのは間違いなく感想や読んでくださる皆様のお陰です。本当にありがとうございました!!

今作はビヨンド・ザ・リュウガの直ぐに書き始めた物なんですが(というか連載自体は最終話投稿した翌日……)実はビヨンド・ザ・リュウガ自体、名前の元ネタはウルトラマンゼロのゼロビヨンドが元なんですよね。

それからすぐにこれを書く始めた訳ですが……いやぁ色んな意味で凄い作品になっちゃったなぁ……。本編は完結ですが、後日談的な物を上げる事は既に決めています。最終話の後のヒロアカ次元を書こうと思ってます。

それでは皆様、今まで出久君とマグナさんの活躍を見てくださってありがとうございました!!また、別の場所でお会い致しましょう!!
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