「(予想はしていた、出久君からそんなからかい受けたからね覚悟はしてたんだよ。でもさ……これはないだろ……)」
M78星雲・光の国。
マグナにとっては数年ぶりに帰ってきた故郷、ウルトラマンとしては数年という月日はあっという間に過ぎゆくもので長いと感じるまでも無い筈の時間なのに地球での体験ゆえか長く感じられて致し方なかった。久しく見る光の国は眩しく暖かった。地球という星に故郷の空気を感じていたが、矢張りこの星が自分の故郷なのだと思い知らされてしまっていた。
「ゼット君もこのままでいいのかな」
「はいっ一度戻ってゼロ師匠に見て貰おうかなって。後マグナ先生に師匠になって貰えた事を自慢します!!」
「あんまり自慢する事でもないと思うが……まあその時には私も同席するよ、その方が良いだろうし」
「分かりました!!」
ゼットを弟子に取った事をゼロに伝えたらどう思われるのだろうか、その辺りの事も考える事をすっかり忘れていた。呆れるだろうか、それともゼットが迷惑かけるなよ!!と怒られるのだろうか。こう思うと本当にウルトラマンZ本編が見れなかった事が悔やまれる、何とかして元の世界の時空に行く事は出来ないだろうか……次元刀いや自分にはノアのメダルがあるのだからそれを応用すれば……。
「まあ兎に角戻ろ―――」
光の国を眺めるのもいい加減にしてそろそろ向かおうとした時、光の国から何かが迫ってきた。地球で戦ったばかりなのかゼットと共に戦闘態勢を取ってしまったがやってきたのは宇宙警備隊のメンバー、しかもその人物はマグナにとっては友人のような存在だった。
「お戻りになられたのですね、任務ご苦労様です」
「有難う、しかし態々君がお出迎えとは……驚かされるね」
「マグナ殿ならば、迎えるのが当然の事」
自分達を出迎えてくれたウルトラマンは生真面目な武人のような事を述べつつも戻ってきたマグナを労った。そんな彼はレオとの合同任務で発見した獅子座L77星の生き残りであり王家の近衛も務めていたリオ、現在はウルトラマンリオと名乗っている。
「むっ其方は……自称ゼロ様の弟子の」
「ま、まあ確かに自称ですけど今やマグナ師匠の弟子ですから!!」
「お弟子を取られたので」
「ええまあ」
レオは任務の合間を見つけては生き残った同胞を探し続けている、その成果として光の国では約50万人のL77星の人間が暮らしている。レオにとっては故郷の人々が生き残ってくれた事は大きな救いとなっており、今も探し続けている。
「それよりも早く光の国へ御戻りを」
「ええっゾフィー隊長に報告をしなければいけませんからね」
「いえ違います―――カトレア王女様との御婚約御決定を祝う記念式典の準備は既に済んでおります」
「……ハッ?」
思わず間抜けな声が出てしまった。リオは何を言っているんだと言わんばかりの声を出してしまった、いや本当何を言っているんだこの友人は。
「えっ師匠カトレア王女と婚約まで行ってんですか!?」
「いや待ってくださいどういうことですかリオ!?婚約って何ですか、私まだ見合いも確り出来てないんですけど!?」
「おやっカトレア王女様とマグナ殿は既に酷く親しくなられたと聞きましたが」
「確かに親しくはなりましたよ、でもそれはあくまで交友を深めたにすぎないレベルですよ!?」
「兎も角お急ぎください」
と急かされるように光の国へと連れて行かれるのだが……そこで待っていたのは星を上げてカトレアとの婚約を祝うムードと化している故郷の姿であった。思わず唖然としてしまうのだがそんな自分を引っ張るように宇宙警備隊本部へと連れて行かれるのだが……そこにはゾフィーだけではなくウルトラの父やウルトラの母までが待機していた。
「待っていたぞマグナ、任務ご苦労だったな」
「いえゾフィー隊長……私は当然の事をしたまでです。そ、それであの……婚約記念式典というのは……」
「何を言うのかね、カトレア王女とあれほどまでに親密になっていた上に君はキスまでされたのだぞ。最早決定じゃないか、君以外にあり得ないとカトレア王女の御父上が張り切ってしまってね」
とにこやかな声で語り掛けてくるゾフィー、その言葉に内心では思いっ切り顔が引き攣ってしまった。いや本人的には悪気などは一切無いだろうし純粋な気持ちで祝ってくれているのだろう、それは嬉しいけど流石に此処までマジでされるなんて……出久に言われていた言葉よりはマシかもしれないがもうマジで逃げ場が無くなっていて笑い話にもならない。
「カトレア王女から聞きましたよ、共に街へと出向き服を選んだとか。その服を大層気に入っているようですよ、タロウにもそんな気遣いが出来れば良いんですが……貴方からアドバイスしてあげてくれませんか」
「い、いえっあれは私も唯必死なだけでして……その場のアドリブと言いますか、周囲の情報を収集して聞き耳を立てつつ立案しただけと言いますか……」
「ならば猶更素晴らしい、そこまで女性を立てられるとは……うむっこれはカトレア王女に相応しい男性だな」
善意の塊のような輝きをしながらも褒めてくるウルトラの父と母、何とかしなければと思うのだが……直後に此方へと迫ってくる力強い足音が聞こえてきた。それを聞くと父と母は頷き合いながら左右に退くとその奥から体格だけで言えばウルトラの父を上回り立派な髭を蓄えながら高貴なマントを羽織っているウルトラマンが此方へと迫ってきた。
「よくぞぉ来てくれたマグナ殿。此度は我が娘、カトレアとの婚約を決意して貰えて誠にっ歓喜の極みである!!」
「うぉでっけぇっ……」
と思わずゼットがたじろいてしまう程の圧力を纏いながらそれはマグナの手を取りながら感激の言葉を口にした。そう、この方こそカトレアの父親にしてウルトラの国の王族の一人、ウルトラマンサカキである。
「い、いえっサカキ様……私はその、まだ踏ん切りがついていませんというかまだ正式な見合いにも顔を出せない男です。そんな私がカトレア王女様との婚約というのは……」
「ハハハハッ謙遜をするではないわぁっ!!お主こそカトレアの婿殿に相応しいっ!!貴殿以外にあり得ぬよぉ!!これからは私の事は父と呼んでくれて構わぬ!いや是非そう呼んでくれ我が義息子殿!!」
「いっいやその矢張り婚約というのは……もっとじっくり時間をかけて互いの絆を作ってからやる物で……まだカトレア王女様とは十分な時間取れておりませんしお話も全く……」
「ほほぅ!!それほどまでに娘の事を想ってくれているのだなっ!!矢張り貴殿でなければならぬぅ!!」
「(ゼットォォォォッ!!!!)」
しれっとこの場から逃げ出したゼットに対して思わず内心でとんでもない怨嗟に塗れた声を上げてしまう。それも致し方ない、このサカキ全然話を聞いてくれない。聞いてはいるんだろうが解釈が自分と全く一致しない、もうこれは逃げられない。
「さぁっ共にカトレアの元へと行こうではないかぁっ!!別次元での地球での話を是非聞かせてくれぇい!!」
「ああいやその、でしたらまず報告を先にすませなければ……」
「いやいや大丈夫だよマグナ、先ずは将来のご家族との時間を大切にしてくれて構わないよ」
「(大隊長……!!もしかして陛下が闇落ちした原因って貴方の無自覚なそう言う所じゃないですよね!?)」
気を遣ってくれたウルトラの父へと感謝の言葉を述べるサカキにほぼ連行されるような形で本部を後にする事になってしまったマグナ。地球で覚悟こそしていたのだがまさか此処まで逃げようのない事態になってしまっていたなんて……。
「マグナ様っ!!お戻りになられたのですねっまたこうして時を御一緒出来る日を待ち望んでおりました……!!」
「……私もこの時を待ちわびておりました」
もうどうにでもなれ……と内心で思いながらカトレアとサカキに地球での任務を語るのであった。
『ぐぬぬぬっ……まさか、本当に婚約が決定的に……いやまだだ、何とかヒカリさんに相談して身体が再構成さえ出来れば僕にだってチャンスはあるんだぁぁぁ!!』
ウルトラマンサカキ イメージCV 若本 規夫。拡大と太文字にしたのも納得でしょ?