「ハァッ……すいませんヒカリさん遅くなりました」
「何っゼットから興味深い話を聞かせて貰ってたから暇はしてなかったよ……って大丈夫か、随分疲れているように見えるが」
「サカキ様とカトレア王女と色々と……」
「ああっ……」
サカキとカトレアから漸く解放されたマグナ、もう婿入りが引き返せないような領域にまで来てしまっていてもう覚悟を決めるしかなくなってきたような状況にもう草すら生えない。光の国全体も婚約を祝うようなムードに包まれていて、訓練校時代お世話になった教官からは満面の笑みからの贈り物を賜ってしまいもう色んな意味で泣きたくなってきていた。
「しかし……リオ、好い加減ついてこなくていいですよ」
「マグナ殿は既に王族と婚約なさっております、故に私が近衛を務めるのは当然かと」
「だったらレオさんかアストラさんにでもやればいいじゃないか……取り敢えず二人にしてください」
「承知しました。では私は外に居りますので」
とくそ真面目に頭を下げて退出する友人の姿に飯田を被らせるマグナ、いや王族の近衛という意識があるので彼よりも性質が悪いかもしれないと溜息しか出なくなってきた。
「リオも喜んでいるんだ、レオは自分はもう王族でないから供は必要ないと一人の戦士として徹している。それを喜びつつも矢張り近衛としての自分をやりたいんだ、今度こそ守り抜きたいと思っている彼の意志を汲んでやりなさい」
「それは分かりますが……だからと言っても態々私の近衛に名乗りなんて上げなくていいですよ。気の許せる友人が近衛にジョブチェンジなんてもう笑えません」
「ハハハッ……さて、取り敢えずその話はこの辺りにして本題に移ろうか」
そうしてくれると有難いと言わんばかりにマグナはゼットライザーを取り出しながらも同時に3つのメダルをヒカリへと渡すのであった。そしてそれを見てヒカリは喉を鳴らしながらもそれを機材にセットする。投影式のキーボードのような物を叩きながらも何かを計測するが一瞬でメーターが振り切れたのを見て声を上げる。
「これは凄まじいっゼットのベリアルメダルにも驚かされたがこれはそれ以上だ……!!これがウルトラマンノアの力を内包したメダルか、凄い凄すぎる!!」
研究者の血が騒ぐのかノアのメダルから取れるデータに興奮しているヒカリ。ヒカリと言えば研究者というのもあるがそれ以上にメビウスの時に剣士としても活躍していたので其方の印象も強い。なのでこんな姿は何処か新鮮でありながらもこれが本当の素なのかもしれないと思う。
「このデータがあれば次元刀の精度が上昇する、必要だったエネルギーチャージの効率も一気に改善される……!!そして何よりこのメダル―――アサリナ君のメダルか」
「ええっ如何思いますか、ヒカリさん」
「地球人とウルトラマンの絆の結晶、そう言うに相応しい輝きだ」
ノアのメダルにも興奮しているがアサリナのメダルにも興奮している。そこにあるのは確かに彼女の力だがそれ以上にワン・フォー・オールと一つになった事で生まれたウルトラ・フォー・オールが宿っている。地球人との絆を良く知っているヒカリからすればこの光は称賛に値する物。
「ウルトラ・フォー・オールか……実に興味深いな、今度じっくりデータを取らせて貰ってもいいかな、次世代アイテムに君の名前を付けるのも良いな」
「それは勘弁してください、唯でさえ目立って恥ずかしいのに」
「おっとこれは失礼」
そんな会話をしていると更に奥深くに話を踏み入れる事にした、それは―――アサリナについてだった。ホログラムのような姿で姿を現したアサリナにヒカリは思わず大声を上げながら驚いてしまった。
「アサリナ君!!?いや君はアウローラに……!?」
「あの、ゼロ君が報告したと聞いていましたが……」
「確かに一緒にいるとは聞いたが……それは比喩的な意味だと本人も思っていたらしい」
『まあ、普通はそう思いますよねぇ……』
ガチでアサリナが一緒にいるとは流石にゼロも思わなかったらしい。そしてヒカリに聞きたい事、それはアサリナは肉体を取り戻せるのかという事。
「成程……それで私の元にか。魂の状態、意識体という事は少なからず命はあるいや精神と魂がそれを支えながらもマグナという命を依り代にして今もいるという事になるのか……そうなると確実に命は必要となるな、だがそうなると問題は如何身体を形成するかという話になるな……新しい命を得た身体を唯与えるだけでは意味がない、そうなると―――」
『う~んこういうヒカリさん見るの久しぶりぃ』
研究テーマ、いや対象を見つけると一気にスイッチが入り光の国随一の科学者としての面が表に出てくる。そして一気にのめり込みつつ問題解決へと駆け抜けていく、それがウルトラマンヒカリ。そして一定の考えが纏まると話を切り出す。
「まずアサリナ君の肉体を取り戻す事自体は可能だろう、このメダルのデータを基にして過去の身体を再現する事は可能だがそれでは今のアサリナ君との齟齬が生まれてしまうだろう。故にマグナにも協力して貰い君の中にあるアサリナの力を解析し同調させていく必要がある」
『つまり僕は……元に戻れる!?』
「ああっそれは確実だ。それは明言しておこう」
『うぉっしゃああああああああああああああああ!!!!』
何よりもその言葉を聞きたかったぁ!!!と叫びながらもガッツポーズをするアサリナ、女らしさも欠片も無いなと思うマグナの傍らでこの喜びをどう表現すべきかとファイティングポーズを取りまくっている姿が余計にそれを拍車をかけている。並行同位体の自分は何処に惹かれて結婚したんだろうかと疑問に思う程度には女らしくない姿を連発している。
『それでそれでどのぐらいの時間掛かりそう!!?』
「失敗させる訳も行かないからじっくり時間を掛けたいと思っているが、出来るだけ早くするように努めよう」
『それでお願いします!!ほらっマグナも全面的に協力させますから!!』
「まあ協力はするけどさ……」
親友が元に戻ってくれるのは嬉しい事だが、カトレアの事考えてしまうともう頭が痛くなってくる。アサリナが自分に対して好意を抱いている事は明白だしマグヌスの事もあってかそれは更に表面化してきている。だがカトレアとの婚約という事もあってもう面倒臭いとしか言いようがない事態になってきている。流石にこの事については後日、サカキに話してみたのだが……
「素晴らしいっ!!何と誠実な男なのだマグナ殿は!!ならばっいざという時はアサリナ君を側室に迎えてしまえばよいのだ!!王族という物はそう言う無茶も利くのだ!!好きにすればよい!!」
何とも有難くも事態を更に面倒臭くさせる事を容認する発言だったのでマグナは色んな意味で白目になった。そして―――
「ハッハァッ!!カトレア王女悪いけど君にマグナは渡さないよっ何せマグナと僕の間にはマグヌスという息子が出来るという事が並行世界で証明されているのだからねぇ!!」
「それは並行世界でのお話ですわ、此方側では関係御座いません!!マグナ様は私と婚約なさってくれているのです、故に絶対に渡しません!!」
「はっマグナの事を何も知らずに唯々浮かれてるお姫様が何を言うか!!苦楽を共にした僕こそが相応しいのさ!!」
基の肉体を取り戻したアサリナは堂々とカトレアに宣戦布告、これに対してカトレアは迎え撃つ構えを取ってしまうさあ大変。マグナを巡って光の国を巻き込んだ大騒動となったという。
「マグナ、その……アサリナが戻ってきてよかったな!!」
「そんな言葉を掛けて来ても見合いの斡旋を止めるつもりはないからなマックス」
「た、頼む勘弁してくれないか!?既に上司の方から見合いの申し込みが来てしまっているんだ!!私はまだ身を固めるつもりなんてないんだ、頼むっ!!」
「私の苦労を知ると良いさ……さぁて君やゼノン達にはこの方々なんていいんじゃないかなぁ~それじゃあ―――デュォ!!」
「まっ待つんだ、待ってくれマグナ!!―――シュォ!!」
そしてマグナはそんな中に居つつも心に決めていた計画、友人達に王族紹介計画を実行するのであった。