緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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大人になった弟子と師。

緑谷 出久は特空機パイロットである。

 

しかもただのパイロットではない。PLUSが誇るエースパイロットであり、対怪獣災害への切り札の一翼を担っている。必要に応じては海外派遣にも従事するので時には世界中を飛び回る立場にある―――いやあった。エースパイロットと呼ばれるようになったころには世界各国にPLUSの支部が完成し、それぞれの国が特空機を保有するようになっている。それ故か、適度に休みを取れる立場でもある。

 

「やぁっ緑谷少年、元気かい?」

「お久しぶりですオールマイトっていうか少年はやめてくださいよ、もうそんな年じゃありませんよ僕」

「ごめんごめん、私としてはこっちで呼び慣れちゃってるから」

 

防衛町の一角にある出久の自宅。そこに出久の姿と共に平和の象徴として貢献し続けたオールマイトの姿があった。師弟関係だった二人もすっかり一緒にお酒を嗜むような関係になっていた。と言ってもオールマイトはそこまで飲めないが、そこは雰囲気を楽しんでいる。

 

「そっちはどうですか」

「中々に今年の新入生は粒揃いだね、1年から仮免取得を目標にさせるつもりだよ」

「そんな事を言うなんて随分と期待が持てますね」

 

オールマイトは既に現役を引退して雄英高校の教師を続けている、一時期はオールマイトの引退はヴィランの活性を呼ぶのではないかと不安視する声も多かったが……その辺りは現役のヒーロー達の努力で最小限に抑えられている。その中心に立っているのが出久の同級生、ひいては爆豪なのである。

 

「爆豪少年いや、爆豪君に憧れて雄英に来ました!!って子も結構いたね」

「かっちゃんに憧れてかぁ……昔に比べて相当マイルドになったけどそれでも過激な部類に入るかっちゃんをかぁ……」

「まあ結果で全てを黙らせている所に惹かれているらしいね、昔のエンデヴァーみたいに硬派なヒーローが好きな人には彼は魅力的に映るさ」

 

爆豪は結局PLUSには進まずにプロヒーローになる選択をした。そしてプロヒーローとして大活躍をしている、相変わらず口が悪くマスコミや野次馬に対して爆破と共にそれで警告するので炎上もするが、それら全てを黙らせる程の大活躍をしている。怪獣災害にも率先して対応するのでそういう意味での評価も高い。№3ヒーローとして名を轟かせている。

 

「彼ならきっと№1にもなるのは直ぐさ」

「ハハハッでもかっちゃんならその勢いのまま行きそうですね」

「だね。と言ってもエンデヴァーもそう簡単に譲るとは思えないけどね」

 

そんな風に語り合いながらも酒を口へと運ぶ、結構強い筈の酒だがグイグイと飲んでいく出久にオールマイトは少しばかり驚いた顔を作る。

 

「というか随分とグイグイと行くじゃないか。そんなハイペースで大丈夫かい」

「クハァッ~……怪獣と戦うのに比べたらお酒なんて水ですよ水、結構ストレス溜まるんですからこう言う所で発散したいんです」

「だろうね」

 

特空機パイロットとしてのストレスはプロヒーローとは比べ物にならないほどに重い。何せ生きる災害との命のやり取りだ、ストレスを感じない方が如何かしているし特空機を動かした後の書類やら様々な仕事があるのだから苦労は計り知れない。

 

「ねぇっオールマイト……僕、強くなれましたかね……マグナさんにも、胸を張って強くなれましたって言っていいんですかね……」

 

唐突に彼の口調が昔の物に変化した。仄かに頬が赤くなっている、酔いが回り始めているのかもしれないがそれはきっと胸に抱いているものなのだろう。

 

「マグナさんは僕にとってヒーローでした……今も僕の目指す者はあの人なんです……また何時かマグナさんと会えるかもしれない日を夢見なかった日は無いんですよぉ……もしかしたら今日かも知れないし明日かもしれないぃ……でも僕は今の姿じゃ会えない……だって今の僕は成長出来てないから……」

「緑谷少年……ちょっと飲みすぎだよ、ホラッ水を飲みなさい」

 

見た目は素面に近いように見えるが大分酔いが回ってきているらしい、一先ず水を飲む事を進めながらももう一人の師として出久へと言葉を掛けた。

 

「私としては君は十分成長しているさ。君が今どれだけ今の世界に貢献していると思っているんだい?君も私が言われていたのとは違うが紛れもなく平和の象徴だよ。怪獣を食い止めるだけじゃない、鏑矢諸島への移送……どれも君の尽力が無ければ成し遂げられない物ばかりだよ」

 

真摯に話す俊典の言葉を出久は静かに聞いていた。自分の活動がどれだけの命を救ってきたのか、それを知らない訳ではない。だがそれでもマグナに胸を張っていいのかと不安に思ったりしてしまう、ウルトラマンの活動に比べたら自分のそれなんて本当に極小の点でしかない。だったらもっと努力するべきなのではない、もっともっと……と考えてしまっている。

 

「助けた命の数は関係ないさ。大切なのは君が命を救ったという事実を自分が行った事として受け止めて前に進む事さ!!」

 

内心で良い事を言えたぞ!!とガッツポーズをする、まだまだ教師としては未熟だが昔よりはマシになったと自負するだけはある!!と自画自賛するのだが……それに対して出久の反応は一切無い。もしかして全然いい事じゃない!?と不安に思ったのだが……直後に出久の寝息が聞こえて来て思わずずっこけそうになる。

 

「そこで寝ちゃうのかい!?流石にあんまりだよぉ緑谷少年……」

「すいません俊典さん、出久さん随分疲れちゃってるみたいで……」

 

と奥からやって来た発目、出久の頭を撫でつつも俊典へと飲み物を手渡す。

 

「もう直ぐアメリカ、ロシア、中国との合同特空機演習があってその関係で忙しいんです」

「ニュースでやってた奴か、そうか緑谷少年じゃなくて緑谷君はエースだもんね」

 

合同演習の主催国のパイロットとして出久の役目も大きい上にやる事も大量にあるので連日徹夜続き。幾ら出久と言えど疲労する、そんな状態で深酒すればあっという間に眠ってしまう。協力してソファに寝かせた際にマグナの名を呟く姿に思わず笑ってしまった。

 

「私も会いたいな……今は如何してるんだろうね」

「カトレア王女と結婚してハネムーンをしてるとかだったりして。私も行きたいですね~出久さんと旅行」

「ハハハッじゃあまずは式を上げないとね、私の方で確保しようか?」

「いやぁ嬉しいですけどまず時間が取れないんですからねぇ~」

 

 

尚、肝心の本人はというと……

 

「……マグナ、君は団体戦の希望があるから来てくれと言わなかったかい……?」

「確かに言ったよマックス。3対3の団体戦だって」

「いやあの……団体戦って言ったら普通模擬戦を想像すると思いますけどこれは……!?」

「何気にするなネオス。私は嘘は言っていない」

「気にするぞ!?何で相手が全員王族のお嬢様方なのだ!!?模擬戦ではないぞこれでは!!?」

「ご希望なら答えようじゃないかゼノン、確かに団体戦だと私は言った。だがそれがお見合いではないとは一言も言っていない」

『謀ったなぁぁぁぁぁぁ!!!』

 

同僚を罠に嵌めていた。

 

「他の同僚(みんな)も直ぐに同じ目に合わせるから安心して逝きたまえ」

『逆に安心出来んわ!!』




マグナ、嬉々としながら同僚を罠に嵌める。
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