「ふぅっ……やっぱり連続出動は身体に来るなぁ……」
「お疲れさん」
「うん」
休憩所で腰を落ち着けながら項垂れていた出久へと奢りの一杯を差し出したのは同じくPLUSに所属する焦凍。現在はPLUS実働救援部隊の隊長を務めており、特空機と共に現地へと赴き個性によるサポートや現地での救助活動を主な任務としている。
「今回大活躍だったね焦凍」
「相性が良かっただけだ、ああいう怪獣もいるとは思わなかった」
「うん、僕もマグナさんから話だけ聞いてたけどこの地球にもいるとは思わなかった」
レジストコード:ボグラグ。海から出現し市街地へと進撃した。上陸までその姿を確認する事が出来ないという驚異のステルス性を発揮していた。だが、その秘密はその身体にあった。
「身体の殆どが海水なら俺なら倒せる」
「実際、焦凍が居なかったら大火力で蒸発させる位しかないだろうかねぇ……まあそれやったら水蒸気爆発で街が最低でも半壊してただろうけど」
「やべぇな」
「明が解析したけど、あいつの体重4万トン以上だよ。それを一気に蒸発させたらそうなるって」
体の成分が塩化カリウムを大量に含む海水と同じ成分なため体温が低く、海中では発目開発の水中レーダー及びセンサーで捉える事が全く出来なかった。が、身体が海水と同じ成分故に焦凍の凍らせる個性が弱点にもなり、身体を凍結させられて粉々に砕いた上で高高度で爆破処理させられた。
「その前はゴモラを鏑矢諸島に移送したし、その前はとんでもない巨大台風の中にいた怪獣……僕忙しすぎじゃない?」
「まあPLUS日本本部の管轄内だからな。エースパイロットのお前が出るのは当たり前だろ」
「それは分かってる、僕だってやらなきゃいけない事だし地球の為に頑張らなきゃって想いはあるんだよ。でもさ……忙しいんだよ……」
思わず深々と溜息をつく出久。自分の責務にやり甲斐もあるし誇りだってある、自分が世界を守っている自覚もある……だが偶には確りとした休みが欲しいというのが素直な本音であった。
モルスも時折出撃したりもするが、平時は対怪獣特殊空挺機甲運用部隊のエースパイロットとしての職務もだってある。補給要項を纏めたり、次世代のパイロットの育成やウルトラスーツの開発協力に復興作業に各国からの特空機運用に関する質問などなど……多忙の極み。
「もうさ、2週間いや1週間で良いから纏まった休みを頂戴。それくれれば文句言わないから」
「切実だな」
「焦凍は良いよねぇ最近百ちゃんと仲良いんだってぇ……?」
「あいつの家がPLUSのスポンサーでもあるし、あいつはあいつでヒーローで良く会うだけだぞ?」
「良く言うよったく……」
万物ヒーロー・クリエティとして活躍する八百万 百。時折彼女はPLUSに訪れては彼女の個性を利用して物質の創造や外宇宙の物質の創造は可能なのか、という彼女自身の個性鍛錬を行っている。それを手伝ったりするのが焦凍、焦凍の部隊は基本的に現地ヒーローと共同で作戦を行うのでその関係でクラスメイトとは一番顔を合わせる。その中でも最近は百と一番顔を合わせるらしい。
「お前だって発目と同棲してるじゃねえか」
「だからさっさと式を上げさせてくれって話だよ……ハネムーンなんて贅沢言わないから、式だけで良いから……!!」
「それは、怪獣に言わないとダメだな……」
「あ~あいいよねぇ焦凍は、メリッサさんとも仲いいし~」
「いやそれはそれでスーツの調整で会うだけ」
「ハァッ……」
この天然が……と溜息を吐く。怪獣と日常的に戦っているせいか、出久も出久で相当に度胸がついたというか所々爆豪っぽくなったと言われるようになった。爆豪っぽいと言われるのは不服だが、色んな意味でストレスが溜まる職場なのだから大変なのである。
「最近母さんと父さんから何時になったら結婚するの?って言われるんだよ……仕事が忙しくてそれ所じゃないんだよ……」
「こればっかりはな……籍だけは入れられるだろ」
「入れるだけなら簡単だけどさ……」
ムスッとした顔になりながらも赤くなりながらも出久は少し恥ずかしそうに言う。
「……結婚式上げてから、一緒に行きたいじゃん……そういうのって、簡単だから思い出は作りたいんだよ……」
「そっか。お前はそういう奴だったな、ナイトアイに掛け合って有給申請してやるよ」
「いやでもそうしても緊急性の高い出動案件が出たら行かないといけないし……それ考えると休みを取らない方が良いんじゃないかって思うし……」
そんな風に語る出久に肩を竦める、これでは休む時間を作る以前の問題だなと焦凍は思う。今までマグナと共に地球を守って来たという事もあって出久のPLUSでの活動に対する責任感は飛び抜けて強い。特にエースパイロットという立場もあるので下手に休むと出動に支障が出てしまうということまで考えてしまう。自分の事で周囲に及ぶ事にまで過敏になっている。
「少しは自分のエゴを通せよ。地球を守るお前が確り休めねぇと意味ねぇだろ」
「そうだけどさぁ……」
出来る事ならエゴを通したい。だが難しい問題なのも事実なのである。その時―――けたたましいサイレンの音が鳴り響いた、しかもこの音は緊急性の高い任務の時に鳴り響く物であったが為に出久は思わず唸ってしまう。
「ほっらぁこういう事になるから休暇の申請出来ないんだよぉ!!!」
「愚痴は後で聞いてやる、行くぞ」
「もう超獣でも大怪獣でも魔王獣でもやって来いってんだぁ!!」
「おいバカやめろ」
出現した怪獣は冷凍怪獣 ラゴラス、そして溶岩怪獣 グランゴンだったのだが、途中でラゴラスがグランゴンに襲いかかり、背中のマグマコアを食べた結果でラゴラスエヴォへと変化してしまった。ラゴラスエヴォはマグナの友でもあるマックスのギャラクシーキャノンを押し返す事の出来る光線を持つ強豪怪獣。
が、発目の新開発した兵器によって何とか撃破には成功した。が、今度はその兵器をレギオノイド・フェンサーへの搭載が決定しそのテストで出久の望みは更に遠ざかったとか。
漸く、漸く劇場版のプロット纏まりそうです!!
なので近々投稿します、劇場版、二人の英雄編!!!