『レイキュバス……如何してこんな所に!?』
まだ距離こそあるがそれでも十二分に巨大な程に見える怪獣はゆっくりと迫ってきている、赤い瞳を爛々と輝かせながら迫りくるそれを見たメリッサは原始的な恐怖に襲われて身体を震わせている。
「パ、パパァ……」
「だ、大丈夫だメリッサ私が付いてる……ト、トシ早く避難しよう!!緊急脱出用の飛行艇に向かおう!!」
「いや―――マグナさん、奴に空中攻撃能力は!?」
『そう言う意味での攻撃能力において、奴は超一級ですね』
レイキュバスには複数の能力があるが、その内の一つである火炎弾は恐ろしいまでの射程距離を誇る上に狂っていると言ってもいい正確性を誇っている。何せ、地表から成層圏の目標に向けて火炎弾を発射して目標を全滅させる程だ。逃げ出したとしてもレイキュバスの興味を引いて撃墜されるのがオチだ。
「そ、そんな……」
「ウッヒャアアアアなんですかその超々遠距離能力!!?マグナさん私あいつの細胞欲しいですめっちゃくちゃ調べたいです!!そして応用したいです!!」
『本当に暢気というかマイペースというか……って言ってる場合じゃないな、行くぞ出久君!!』
「はいっ!!」
言葉を掛けられて出久は直ぐに決意を固めた表情へとなった。マグナと一つになりながら右手を掲げようとする出久を、デヴィットはその顔を見た事がある。
―――デイヴ!!
「そうだ、あの顔は……行くと決めたトシの……」
「ギィィッィイ!!」
あと100mでI・アイランドに到達しそうという所までやって来たレイキュバス。雄たけびを上げながらも甲殻類のような口を開け放つとそこから灼熱の火炎弾が放出される。連続で発射される火炎弾はI・アイランドへと真っ直ぐと向かって行く―――その時、立ちはだかるかの如く空から舞い降りた光は海へと落ちた。そしてそれによって巻き上げられた大量の海水が壁のようになって火炎弾をぶつかった。大量の水蒸気がI・アイランドを隠すように広がる中―――そこに輝く三つの輝きがあった。
「ギィィィィィッッ!!!ギアアアアアアア!!!」
今一度!!と口を開けた瞬間、そこへ光弾が飛来してレイキュバスの頭部へと炸裂する。爆発によって思わず怯んだレイキュバスは後ろへと下がるが、徐々に水蒸気が晴れて行った先の光景が見えた。
「シュォッ!!」
絶対的な存在感、あの背中は自分達を守護するという思いが見ているだけで湧いてくる、もう自分達は大丈夫なんだ、そんな気持ちを生み出す不思議な巨人はファイティングポーズを取りながら悪魔の如く大怪獣に向かって声を張り上げた。
「あれが、デク君、なの……!?」
「そうですよ。あれが緑谷さんです、そしてこの星を守ってくれてる光の巨人です」
「あれが、あれが―――!!」
「そう……あれこそ、遠い星からやって来てくれた光の巨人、ウルトラマンマグナ!!」
「ギュゥィィイイ!!!キュイイイイイ!!!」
「ォォォッッ!!!ダァッ!!」
海を掻き分けるようにしながら巨大な爪を突きつけて引き裂かんと迫るレイキュバス、それを素早く躱しながらも組み付きながらも少しでもI・アイランドから引き剥がそうと押し出していく。
「こいつ眼の色が!?」
『させるかぁ!!』
突如として眼の色が変わる、真正面で力比べをしていたが咄嗟に身を翻すとレイキュバスは口から極低温の冷却ガスを発射する。それはマグナには当たらなかったが海へと命中すると辺り一面を一瞬で凍結させてしまって氷の大地を作り出してしまった。
「寒っ!?」
『でええい、こちとら寒いのは苦手なんだから自重しろ!!』
そう言いながらも折角作ってくれた大地に感謝、と言わんばかりにレイキュバスを持ち上げるとそのまま叩きつけた。ウルトラマンのパワーで叩きつけて砕けない氷、一体何m凍り付いているんだと出久は戦慄した。これを自分が受けたらどうなるのか……。
「ギュイイイイイ!!!」
「ディァッ!!フッ!!」
連続して冷却ガスを放射するレイキュバスに回避しか出来ないマグナ。ウルトラマンにも弱点はある、それは寒さ。冷凍攻撃を仕掛けられるレイキュバスはマグナにとっても天敵なのである。
「ギュイイイイイ!!!」
火炎弾を連続して放って回避をさせた直後に素早く冷却ガスを発射される、流石にマグナもこれで破壊出来ない―――だが
『出久君覚えておくといい!!ウルトラ一族には取って置きの戦術があるんだ!!』
「そ、それって一体!!?」
『これだ!!』
「ォォォォォッッ!!!ディアアアアアアアアアアアアア!!!!」
冷却ガスが直撃する寸前、マグナは途轍もない勢いで回転し始めた。回転に合わせて竜巻のように全身からエネルギーが放射されていき、それは巨大な竜巻のようになりながらも冷却ガスを完全に遮断してしまった。そしてその竜巻を纏ったままマグナはレイキュバスへと突撃した。
「ディァァァァ!!!」
「ギィィィィ!!?ィィィイイイ!!」
高エネルギーの竜巻を纏ったマグナはそのままの勢いのまま、連続で殴り付けた。回転しながらの連続の拳はレイキュバスの強固な甲殻に深々と罅を入れながら炸裂、思わず倒れこんで苦しむレイキュバスを一息に持ち上げると再び高速回転し始めた。そしてその勢いを利用した必殺のウルトラハリケーンで天高くへと投げ飛ばした。
「ォォォォォッ―――ダァ!!」
空へと投げ飛ばしたレイキュバスへと向けてマグナは必殺のマグナリウム光線を発射、反撃する暇も与えられなかったレイキュバスはその一撃を諸に受けるとそのまま全身にエネルギーが拡散して大爆発してしまった。
『ウルトラ一族秘伝の戦術。それこそ回転』
「成程……!!確かに冷却されるにしても回転の摩擦で起こる熱エネルギーで相殺出来るしその勢いのまま別の事に応用出来る……!!確かに秘伝の戦術だ!!」
『別名、回ればなんとかなる』
「何とかなる!?」
実際問題、回転する事で危機を乗り越えて来たウルトラ戦士は数多い。マグナの友でもあるマックスだって怪獣の拘束から逃れる時にも大いに活躍、そして―――記憶が無くなった時には高速回転して勢いで出した光線で危機を乗り切っている。そんな話をしながらもウルトラ念力とエネルギーの放射で凍て付いた海を融かしてからマグナは空へと飛び立ちI・アイランドへと戻っていった。
「―――トシ、マグナさんはなんて凄いんだ……あんな人が、私の力を必要としているのか……?」
そんな風に訪ねてくる親友にオールマイトは力強い笑みで答えた。
―――レイキュバスがやられるとは……だがウルトラマン、お前など我々の敵ではない事を教えてやる。貴様もその為に働け。
「……承知しました。全ては御身の為に」
―――個性、個性か……フフフッ人類程度には思いもつかぬ使い方を教えてやろう……。