緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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思わぬ事件

マグナは出久と一心同体となっている影響もあり常に彼と共にある。そんな中、雄英でのUSJ襲撃から数日が過ぎて漸く雄英内を対象として警察の調査が終了し残っているヴィランなども存在しないという事が明らかになったので登校が再開するまでの間、マグナは出来る限り自分で出来る限りUSJで入手したそれへの調査を行おうとしていた。

 

『……エレキングの力が宿っている、という以上の事は分からないな……私も戦士であって技術者ではないからなぁ……』

 

マグナの手の中にあるメダル、これには紛れもなく宇宙怪獣であるエレキングの力が宿っている事は間違いない。だがそれ以上の事は全く分からない、それ以上の事は専門的な知識や設備が無ければ難しいだろう。こんな時に光の国のウルトラマンヒカリの力を借りる事が出来たらいいのだが……生憎それは難しいだろうし緊急の報告を上げたとしても直ぐに増援を送るというのは難しいだろう。

 

『やはりゼット君関係だろうか……』

 

前世の記憶から呼び起こしてメダルというウルトラアイテムは思いつかなかった、クリスタルやカプセル、カードに人形というのは思いつくのだが……矢張りゼットが関係しているのだろう。恐らく作品としてのウルトラマンZに深くかかわるものがこのメダルという事になるだろう、生憎それにまで手を回す前に亡くなってしまって解らない。だが光の国でゼットが頻発する怪獣被害への対抗策への協力をしている話は聞いているので十中八九それだろう。

 

『ぁぁぁっ……これなら前情報とか我慢して正式放送されてから一気に見るスタンスなんかしなきゃよかったぁぁぁっ……』

 

頭を抱えつつも前世の自分のスタンスを後悔する、とやっていても何も変わらないのでこの位にしておくがこれは矢張りグルテン博士に協力を仰いで解析をお願いするしかないだろう。技術畑ではないのだから協力出来る人に頼むしかないだろう。そんな風に思っていると早速昼休みになったので出久にそう頼もうとした時であった。教室の扉を勢いよく開け放たれて、そこには発目がいた。クラス中の皆がビックリする中でギョロリと回る瞳が出久を捉えると笑みを浮かべながら近づいてくる発目。

 

「おおっ緑谷さん良かった良かったまだ教室にいてくれましたか本当に良かったですよ実はですね色々とお話したい事があるんですよっほらもう直ぐ体育祭が始まるじゃないですか私も色々と備えておきたいんですよそれで是非とも緑谷さんに協力、いえ実験台になっていただきたいんですよ良いですか良いですよね勿論OKですよねはい有難う御座います流石緑谷さん良く分かって下さってますね本当にありがとうございます!!!」

「まだ一言も喋ってないんですけどぉ!?」

『というか本当に今の良くノーブレスで言えるねこの子……』

 

クラスメイトの皆は初めて遭遇する発目のとんでもないテンションについて行けていない。どうやら発目は問題なく開催される事に決定した日本におけるオリンピックに変わる新たな祭典、雄英体育祭に備えての準備を行っておきたいとの事。雄英の体育祭はそれらの中でも規模も内容も群を抜いている為か全国規模で放送されている。そしてそこで結果を残すか目立つかしてプロの目に留まれば、将来目指すヒーロー像への近道が生まれてくる。己の力をアピールするチャンスなのだ。だからこそ、この雄英体育祭に向けられる熱意は内側からも外側からも並大抵のものではない。皆がこの体育祭で全力を発揮する、その為の協力をして欲しいとの事。

 

「いや途中で別に言い直さなくても良い部分あったよねありましたよね協力でいいじゃん何で実験台って言っちゃうかなぁ!!?いやまあ凄い発目さんらしいけどそこは変えなくていいじゃん本当に自分の欲求に素直だね!!?」

『出久君も大分毒されてるね彼女に』

「いやぁ褒めても何も出ませんよ出たとしても緑谷さんの最高なベイビーしかプレゼントしませんし出来ませんよぉ?」

『ベイビー!!?』

 

その瞬間、クラス中の空気が死んだ。あの爆豪ですら驚きのあまり口が開き時間が停止しているように見える、特に女子連中は一部はまさかの恋バナを通り越してる!?やガチショックを受けている顔も少しある模様。そして男子は徐々に再起動しつつも嫉妬の炎を纏っている。

 

『緑谷ぁテメェェェェッッ!!!何美少女とフラグ立てるどころか大人の階段上ってんだゴラァァァ!!!!』

「ええええええっっ!!?なんか解らないけど凄い怒られてるぅ!!?」

『テメェ認知もしねぇつもりかぁ!!?』

「「えっ認知?」」

 

と思わず出久と発目は揃って首を傾げながら顔を見合わせて何言ってんだこいつら、と言いたげな顔をする。出久だけならまだしも発目までそんな反応をするので徐々にクラスメイト達は冷静になっていくのだが……此処でやや顔が青く震えている梅雨が質問する。

 

「あ、あの……緑谷ちゃん、もしかしてなんだけど……私達が思ってるベイビーと二人が思ってるベイビーって意味が違うのかしら……?」

「……あぁっ!!?そうかそういう事!?それで凄い慌ててるの!?」

「ああっ成程、私も察しましたよ何だそういう事でしたかなんだ私と緑谷さんがヤッちゃったって思ったって事ですか何だ割かし皆さんってスケベな変態なんですね」

 

出久はああそういう事か、確かにそうなるかぁっと……落ち込むかのようにするのだが発目は全く違うのか漸く合点がいったのか手を叩きながらもケラケラと大声で笑っている。とドストレートに言ってしまう発目に周囲は圧倒されている。

 

「私の言うベイビーというのは私の発明品の事ですよこれでも私サポート科に所属してまして緑谷さんに色々と手伝って貰って作ってるんです」

「えっそれじゃあ……二人は唯の友達って事……?」

「そういう事です親友とは思ってますけど流石にそこまで踏み込んでませんよというか常識的に考えてそんな大騒動の種のような事をすると思いますか下手しなくても退学になってお先真っ暗じゃないですかいやぁそんな問題児に見えますか私ッハッハッハッ!!」

『あんな言い方じゃあ無理も無いと思うが……後発目さん、君は問題児だよ十分に』

 

正論の嵐でクラスの誤解を解く発目だが、その原因を作った発目にツッコミもいれるマグナに出久も同意するのであった。しかしそこである事に気付く大問題児発目 明。

 

「いや待ってくださいよ、仮に緑谷さんとのガチベイビーが出来たその場合……(ウルトラマンの因子を持った次世代が生まれる訳でそのベイビーは途轍もない力を秘めている可能性も十二分にある訳で……それはそれで……それ抜きで考えても緑谷さんと……)緑谷さん試しに遺伝子貰っても良いですか?」

「ちょっと発目さん今何考えてる!?絶対にマッドでやばい事考えてるでしょ!?試験管ベビーでも作る気なの!?」

「いやだなぁ私にだって一応良心と常識は人並にあるんですよ。それを超えるレベルの熱意と発想力と想像力が備わっているだけですよぉ」

「十分に問題だよそれ……」

 

この時、出久の発目に関する色々な疑いは一蹴された。それ所かやばい奴に目を付けられて色々と巻き込まれてしまっているのだなぁ……という認識へとすり替わった瞬間でもあった。それに特に胸を撫でおろしている生徒もいたりもした。

 

「……おいデク」

「な、何かっちゃん……騒がしくてゴメン……」

「おう……気張れよ」

「なんかカッちゃんに初めて同情された気がするんだけど僕!?」

『そのレベルの領域の事だったという事だよ出久君』


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