緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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光が見せた夢

『成程……如何やら地球人と言うのは随分な力を手に入れたらしいな、いや確かに道理だろう。突然手に入れた力、それによる混乱は必定と言える。いや……我々光の国が異常とも言えるだろうな。済まないな出久君、君の説明で良く分かった』

「いっいえ、此方こそなんか、分かりにくい説明ですいませんでした!!」

 

緑谷 出久は瀕死の重傷から救ってくれた存在、光の国からやって来たというウルトラマンマグナに対して先ず今の地球の事の説明を行った。マグナは互いに一つずつ質問をする事を提案するのだが、出久としては命の恩人を優先したかったのもあるが宇宙から来た生命体、しかも別次元の宇宙からやって来たというウルトラマンの話を聞いてはきっと気になってまともな話を出来ないと思ってそちらを優先した。

 

『しかしヒーローと言うのは所謂称号だと捉えていたのだが……この世界だと随分と違うのだな、寧ろ職業、少々複雑だな。それでは名声や富を目的としたヒーローも多くいるという事だろう……流石に我々のようにはならんという事か……』

「あ、あのマグナさん……?」

『ああ済まない、少々考え事をしてしまっていた。いや個性やヒーローと言った物は良く分かった、それでは次は君の質問の番だ。幾らでも気が済むまま聞いてくれて構わないよ』

 

柔らかな優し気な声、それだけでマグナが酷く人格者である事が理解出来る。最早聖人なのではないだろうかと錯覚すら覚える、兎も角出久は色々と聞きたい事を全てぶつけてみる事にした。

 

「それじゃあまず……まずマグナさんってどれ位の年齢なんですか?僕は大人って事位しか思ってないんですが……」

『私の歳か、大体9000歳位かな』

「9000歳!!!?」

 

大声を張り上げながら出久は腰を抜かしてしまった。9000年前と言えば地球で言えば縄文時代あたりだろうか……そんな遥か昔から生きているとんでもない人が自分の命を救ってくれたのか!?と驚く中でマグナは落ち着くように促しながら次の事を話していく。

 

『我々ウルトラ一族は万年単位で生きていく種族だからね、地球人として換算をするとそうだな……26~27歳位になるのかな』

「そ、そうなんですか……それでえっとさっき軽く聞きましたけどマグナさんは宇宙警備隊っていう組織のメンバーで別の次元の宇宙からこっちにやって来たって事なんですよね、でもどうして……?」

『うむ。元居た次元でも地球は存在しているのだが、既に地球人は宇宙へと飛び出しており様々な星へ活動範囲を拡大させているんだ』

「うわぁっ凄いSFみたいなことが現実になってるんですね!!」

 

だが此方側では起こっていない、別の次元故に流れなども違う事も考えられるのでその辺りは問題ないのだが……この地球には個性という超常的な特殊能力を地球人は宿している。そんな地球の調査を行う為に派遣されたのが元々文明監視員として活躍をしていたエリートのマグナという事になる、そして地球へとやって来た際にまず日本へと訪れた際に出会ったのが出久という事になる。

 

『私たちウルトラマンは相手と一体化する事で傷を癒す力を持つ、今回はそれを君の身体を癒す為に使用という訳さ』

「そ、そんな……じゃあ僕はマグナさんのお仕事の邪魔をしたって事になるんじゃ……」

 

話を聞いているだけでもマグナがかなり重要な仕事をしている事は分かる、ウルトラマンの事はまだあまり理解出来ないが相当な力を持ちながら善の心を持っている星に住む人々全てがヒーローのようなものだと出久は解釈をしている。そんな存在の邪魔をしたと彼は自己嫌悪しかけるのだが……それをマグナは笑って気にしないで欲しいと言った。

 

『何心配する事はないさ、それに私の仕事はこの状態でも十二分に出来るさ。済まないが時々で構わないから身体を貸して貰えると有難い』

「あの、どうして僕だったんでしょうか……?」

『んっ?』

「マグナさんの話を聞いているとその、大怪我をしていなくても誰かと一体化する事自体は出来るように思えるんですが……」

『可能ではあるね』

 

それなら如何してプロヒーローに一体化しなかったのかと出久は聞きたい、無個性で何も出来ず周囲からは無個性なのにヒーローになりたがると馬鹿にされているヒーローオタクでしかない自分なんかと同化する事はなかったんじゃないかと。だがそれを言えば自分を助けてくれた人に対する侮辱に当たってしまう、故に言葉を作れなかった。そんな気持ちを察したのか目線を合わせながら肩に手を置いた。暖かな感触に顔を上げるとそこには真っ直ぐ此方を見据えてくるマグナが居た。

 

『出久君、君はヒーローになりたいと言っていたね。だけど自分は無個性だから無理だとも言っていた、だが私はそうは思わない。何故ならば―――君はあそこで誰よりもヒーローであったからだ』

「僕が……ヒーロー……?」

『ああっ私からしたら君は立派なヒーローだ』

 

その言葉は今まで出久が掛けられた事も無いような物だった、慰めは諦めを促す言葉ばかりを浴びてきた彼にとって憧れを肯定しただけではなく紛れもないヒーローだと断言したその言葉がどれほどに嬉しく有難いものだったのかは測り知れない事だろう。思わず瞳から一筋の涙が流れ落ちていくがマグナはそのまま言葉を続けていく。

 

『君はあの時、女の子を守りたいと思う心に突き動かされて少女を救った。躊躇も迷う事も無く、そんな事を出来るのは君がヒーローだからだ。それに―――君は夢を簡単に諦めてしまうのかい、君の想う夢なんてその程度なのかい』

「―――っ……!!」

『君の人生の主人公は君だ、全ての決断は君が行うんだ。そこに他人の意志など介在する隙間などない、君の人生は他人にどうこう言われて直ぐに道を曲げてしまう程に安いものなのか』

「そんな事、ありません……僕は、僕は―――ヒーローになりたい、だって―――!!」

 

―――もう大丈夫、何故って?私が来た!!

 

ヒーローを志すオリジン、史上最高のヒーロー・オールマイト。その動画を見て自分はヒーローに憧れた、例え無個性だと言われてもその夢が色褪せる事なんてなかった、その思いは今も変わらずに在り続けている。そして今決意を固めた、もう迷う事なんてしない、誰になんて言われようが自分はヒーローになってやるんだ!!と決意に溢れる瞳でマグナを見つめ返すと彼は満足気に頷いた。

 

『良い目をするじゃないか、なら協力するよ。君が一人前のヒーローとなる時まで私は君とあろう、そして―――私は君を導く光となろう』

「マグナさん……僕頑張ります!!」

 

緑谷 出久、中学1年生の出来事だった。光の国からやって来た超人、ウルトラマンマグナと一つとなった彼の本当の意味でのヒーローを目指す日々が始まろうとしていた。




マグナの年齢は力の賢者ことウルトラマンタイタスと同じ位。ネオスとは100歳差。
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