「ぁぁぁぁあぁっっっ!!!?」
『許可が出て即決で使ってたから覚悟してたと思ったんだけど……違った?』
「いえ覚悟してましたけどぁぁぁぁっっっ!!!!??」
控室へと引っ込んだ出久はイズティウム光線の反動による激痛と全身に纏わり付いている疲労感に悲鳴を上げていた。イズティウム光線のコントロールは出来つつあるがそれはあくまで低出力だった場合のみ、例えワン・フォー・オールを用いたオーバーロード・シュートではなく、許容範囲内での全力だったとしても身体に現れる物は相当な物なのである、寧ろ声を出して痛がる事が出来るだけまだ元気があるという物なのだろう。
『やれやれしょうがないな……デュアッ!!ウァァァァッデュアッ……!!』
「あ、有難う御座います……」
一時的に出久の前に姿を現したマグナは両腕から癒しの力を放つオールマイトもお世話になっているマグナヒーリングパルスを照射する。マグナ本人は本職に比べたら圧倒的に劣ると言うがそれでも人間の身体を癒す物としては極上の一言に尽きる、純粋な傷の回復だけではなく疲労などをも取り除いて身体を絶好調の状態へと誘う至福の光。それを体感する出久は思わず表情を崩しながら変な声を出してしまうのであった。
「やっぱり凄いもう元気になっちゃいました!!」
『それは結構』
そんな時だった、控室の扉を開けて入って来たのは所謂トゥルーフォームの状態であるオールマイトの姿であった。
「おおっいたいた、緑谷少年リカバリーガールが絶対に来なさいと言っていたぞ。早く行かないと恐ろしい事になるぞ」
「いやでも僕、マグナさんに治療して貰っちゃいましたし……」
「ありゃそれはまずいな……」
『大丈夫ですよ、肉体の傷はある程度は遺しておきました。取ったのは何方かと言ったら疲労面です、これなら言い訳も付くでしょう』
「おおっ流石マグナさん」
予想以上のバックアップとフォローの体勢にオールマイトも舌をまく、矢張りこんな事も出来るのも年季の違いという奴なのだろうか。そもそもウルトラマンと自分達人間の授業を一緒くたにして考えるもナンセンスな気もしなくはないのだが……兎も角リカバリーガールの元へと赴いてそこで診察を治癒を受ける事になった出久。
「驚いたねぇ、あんな戦いをしたのにそんなに目立った傷もないじゃないかい。思った以上にタフな子だね」
「ア、アハハハハッ……お師匠様が結構厳しい人でしたので」
「それはそこにいる奴じゃないだろう、もう一人のいるんだろう」
思わずその言葉に出久はギョッとした、直ぐ傍には自分を連れてきたオールマイトが居る。だがオールマイトはトゥルーフォームのまま、如何するべきかと思っているとオールマイトは困ったような顔をしながら出久にリカバリーガールには自分の事を話しているという。如何やら個性云々についても知っているらしく、問題はないらしい。
「詳しくはそちらの方の承諾を得られておりませんので言えませんが、其方が私に代わって緑谷少年の面倒を見てくださっているのです」
「納得さね、アンタがこんなにいい弟子を育てられるわけないからねぇ……」
「グフッ!!て、手厳しいお言葉で……」
と軽く胸を抑えてしまうオールマイトだが事実でもあるので強く言い返す事が出来ない、そして今のでウルトラマンの事は流石に話していないと察して出久もそれに合わせる事にした。
「でも多分、直ぐに電話来るじゃないのかいアンタの先生から。手紙書いたんだろ?」
「えっええ確かに書きましたが……ま、まさか今回の一件で私の指導不足を見抜いて直接!!?」
「それは如何かは分からないさね、もしかしたら弟子の良さを褒めながらどんな指導をしたのか聞き出そうとはするじゃないかい?」
「アバババババババッ……もしもそうなったらとしたこぇぇこぇえよぉ……!!」
「オールマイトがガチ震いしてる!!?」
『どんだけ恐ろしいんだその先生とやら……』
目の前でケータイのマナーモードさながらの震え方をするオールマイトに驚愕するに出久は更なる驚き方をする。いったいどれほどまでに恐ろしい方なのだろうかとある意味での興味がわいてくる、その辺りはマグナがフォローしておいた方が良いかなと思いつつも出久はベットで眠っている焦凍へと目を向ける。
「あ、あの轟君の方は如何なんでしょうか……?」
「そっちの子は全身疲労で良く寝てるだけだよ、今まで使ってこなかったせいで溜まり続けていた力をあそこで全放出しちまったんだ疲れるさね。打撲なんかの傷もあるけどそっちは既に完治済み、後はよく寝てれば元気になるよ」
それを聞いて何処か一安心してしまった、自分が齎してしまったような物ゆえか何処か罪悪感を覚えそうになっていた。全力で戦った末の結果なのだからそう思う事自体が失礼だと分かっていてもついつい思ってしまう。だけど―――今日の事で何やら彼とは仲良くなれそうな気が出久にはあった。
「僕、最初は轟くんの事ちょっと怖かったんです。でも今は……なんだか仲良く出来そうな気がします、起きたら友達になってくれるって聞いて見たいです」
「それはいいね、目指せ友達100人出来るかな、だね」
「流石に古くないかいそれ?でも、いいねぇ青春だねぇ」
そんな話をしていると医務室の扉が勢いよく開け放たれた。そこから麗日、飯田、峰田に蛙吹と出久と仲良くしているメンバーがなだれ込むかのようにやって来ていた。突然の来襲にオールマイトは吐血しそうになるほどに驚くが何とかそれを抑える事が出来た。そしてそんな皆は元気そうに椅子に腰かけている出久の姿に思わずほっと胸を撫でおろすのであった。
「怪我とか大丈夫なん!?」
「うん、全然平気だよ。僕は直接的なダメージは受けてなかったから」
「でも本当に良かったわ……あの時の光線って私達を助ける為にやった必殺技よね」
その問いかけに偽る事もなく頷く、やっぱり……と言葉を零す梅雨は何処までも心配だったのだろう。流石にあそこまで死力を尽くした一撃ではなかっただろうがあの時の出久は身動きが出来なくなり倒れこんでしまう程に疲弊していた、またそうなるのではないだろうかと心配していてくれたのだろう。
「流石にあの時ほどじゃないよ、あれをあそこで撃っちゃったらそれこそ大事だよ」
「でもオイラ達からしたら洒落にならねぇって!!?」
「正直、きっと後でお師匠様に怒られるって思ってるよ。あれ基本的に使用禁止の技だから……」
「禁止なのに使ってしまったのかい緑谷君!?」
「うん。あの時の轟君には全力で立ち向かうのは正しい事だと思ったから」
そんな和気あいあいとした話をする緑谷達を二人は見守りつつも寝ている焦凍が居るんだから外でと言われて、既に完治した出久も一緒に行くのであった。そんな皆を見送りながらリカバリーガールがオールマイトへと一言言った。
「いい弟子を持てたね、なんだかんだでアンタの先生もあの子の事を喜ぶ筈だよ」
「はい私もそう思っております」
今回はちょっとあっさりめです。