緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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終幕のフェスティバル

『それではこれより、表彰式に移ります!!』

 

色取り取りの花火が空を煌びやかに染め上げながら爆ぜて行く、先程までステージで戦いの為に使われていた爆豪の爆破(それ)とはまた違った側面の爆発は美しさを刹那を持って消えて行く。そんな側面を持った花火がトーナメントの入賞者を祝福している。表彰台のうえには激しいトーナメントを勝ち抜いた故に手に入れた順位の高さに立っているそれぞれが立っている。ミッドナイトも嬉しげに彼らを見つめながらも高らかにマイクを上げながら声を張り上げる。

 

『さぁいよいよメダルの授与よ!!今年のメダル授与を行うのはこの人!!平和の象徴、我らがNO.1ヒーロー!!「私がぁ……メダルを持ってきたぁ!!」オォォオルマイ、ト……』

 

授与するメダルを抱えながら会場へと颯爽と参上するオールマイト、しかしミッドナイトの挨拶とのタイミングが合っておらずミッドナイトの宣言の途中で参上してしまい如何にもしまらない事になっている。それでも会場は大歓声に包まれている辺り、オールマイトの人気が窺えるがオールマイトとミッドナイトは微妙な表情を浮かべている。緑谷達は寧ろオールマイトらしいとさえ思えているのは彼の授業を受けているからだろうか、思わず見合わせる二人が非常にシュールな気もするが咳払いをしつつもメダルの授与へと移る事になった。

 

「二人とも実によく頑張った!!常闇少年、飯田少年!!」

「有難う御座いますオールマイト、出来る限りの力を出し切った故に僕はこの結果に満足しております!!」

「然り。我らは全てを出し切った果てにこの地位へ、ならば此処こそ今の我らに相応しき場所」

「HAHAHA結構結構!!では、今はこのメダルを胸に掲げて胸を張ろうか!!」

 

オールマイト自らがメダルを掛けると一斉にフラッシュが焚かれて二人を明るく照らし出している、飯田はそれに胸を張っているが常闇は少々眩しそうにしている。個性の兼ね合いもあるのか明るすぎるのは少々辛い所があるらしいが、それでも今の此処に満足しきる事はなくこれを糧にして成長する事を誓っている。そんな二人を見つつも次へと目を向ける、そこには包帯を巻かれた少々痛々しい姿の出久がそこにいる。

 

「緑谷少年、準優勝おめでとう!!最後の試合は本当に凄かったよ」

「有難う御座いますオールマイト、でもちょっと情けなかったかなぁって思ったりも……」

「いやいやいや君は最後まで戦おうとしていた、その姿は正しく最後まで戦い抜こうとするヒーローその者さ!」

 

リカバリーガールの処置を受けた身で此処にいる出久、彼女曰く傷はそこまで深くはないが疲労がかなりあるので下手な治癒はさせていないとの事。故に体育祭の後はじっくりと休ませる事が一番だろうとの事。それならばマグナにお願いすれば問題ないかなと思いつつもオールマイトはある事に内心震えていた。

 

―――それは爆豪が出久を医務室へと運んでいる最中の事だった、携帯が突然鳴り響いた事だった。席を立って廊下に出てからそれを取ったのだが……

 

「はいもしもし」

『おう俊典、久しぶりじゃねえか』

 

電話の向こう側の声を聴いた瞬間にオールマイトこと、八木 俊典は声だけではなく全身が極寒の凍土の中立たされたかのごとくに震えまくった。何故ならば電話をくれた相手なのは嘗て自分を育て上げてくれた恩師であるグラントリノ、途轍もないスパルタな実戦形式だった故か身体中にその記憶が刻まれているのか声を聞いただけで当時の記憶がフラッシュバックするのか、震えが止まらなくなってしまっている。

 

「っせっせせせせっせせせっ先生!!!?お、おおおおお久しぶりですぅ!?」

『応。手紙寄越したのは良いが偶には声を聞かせろ、そっちの方が喜ばれる事だってあるんだぜ』

「き、肝に銘じます!!」

『そりゃいい、如何でも良い事だ。それよりもだ―――緑谷 出久、あいつだな手紙に書いてあったワン・フォー・オールの次の継承者って奴は』

 

それを聞いて震えが止まった、その話かと胸を撫で下ろしつつも声色が柔らかく嬉しそうにしている事に気付いた。きっと自分が選んだ相手が素晴らしい素質を持っている事云々なのだろうとホッとしてしまった。

 

「はい、そうです」

『そうか……あいつぁ中々にすげぇ器だな、純粋な肉体のレベルもそうだがもう既に全身で扱えるようにもなってやがる!!俺ぁその小僧も無個性っつうもんだからそれに同情して選びやがったのかと思ったが如何やら違ったみてぇで安心したよ』

「流石に私もそれだけでは……」

『分かってるぜ、だがしかしあいつは本当にすげぇな!!エンデヴァーの息子との激突の最後、光線だったか、あれをぶっ放した時は年甲斐になく燃えちまったぜ。まさかお前にあそこまで教師としての才があったなんて驚いたぜ』

「(や、やばいそういう類のお話だったのかぁ!!?)」

 

再度、オールマイトの震えが起き始めた。恩師であるグラントリノとしてはマグナの存在は一切知らせていない、加えて出久が無個性だったと思っていた云々の為に個性としての扱いに慣れていないのでそれらも並行して鍛え上げたと思われている。それは事実だがそれらをやったのは自分ではなくマグナ、自分は教えてこそいたがメインではなく補助的な役回りだった。オールマイトの教え方は酷く感覚的且つ擬音のオンパレード、それは指導を受けていた頃から透けていたのでグラントリノからすればそんな弟子が立派になったようにしか思えないのである。

 

『俺は嬉しくてな、まさかあの擬音と感覚でしか語れねぇ教え下手なお前があんな立派な弟子を育成できるなんてねぇ……』

「……イ、イヤァそう言って頂けると……しかし、まだまだ未熟でして……少年とはその……そう、一緒に身体を動かしながら私の経験から教えたり、そのデイブに連絡を取ってトレーニング器具を作って貰ったりと……」

『ほう成程なぁ、そりゃ期待出来そうだな。んじゃ俊典、職場体験には俺も名を出させて貰うからその時は融通してくれるように頼むぜ、じゃあなこれから勘を取り戻しに行ってくるぜ』

「あ、あの先生!?先生ってあっ切れてる!?」

 

と言いたい事は言い切ったと言わんばかりに通話が切れてしまった、オールマイトは色んな意味で大変な事になったと震えまくっていた。この後には各プロヒーローから職場体験のオファーなどやってくる、きっと出久にも相当な量が来るはず。だがそれらはグラントリノを優先して貰えるように口利するのは簡単、だがその先、出久が行った時には自分は良い先生だったとフォローして貰えるようにお願いしなければならない。言わなければ……

 

「あわわわわわっ緑谷少年大変な事になったぞ……!?」

 

この場合は何方かと言えばオールマイトが、である。

 

「―――緑谷少年、後で話があるから……」

「えっあっはいってどうしたんですかなんか、顔色が……」

「―――ハッHAHAHAHAHA!!!何ちょっと考え事をしちゃってねぇ!!この後君の活躍を思うと楽しみだなぁっと!!」

 

と無理矢理に内心に募りまくっている物を吹き飛ばすように笑いながら出久の背中を軽く叩きながら大きく笑う、だが背中に回された手だけが異様に震えてる事に疑問を覚えるのであった。

 

「(マグナさんオールマイト何かあったんでしょうか……?)」

『さあ……昔馴染みの人に何か言われたとか、あんな教え下手が立派な弟子を育てられるわけがない!!って』

「(いやそれは流石にないんじゃ……)」

『可能性としては低いと思うけどね私も』

 

尚、奇跡の大当たり(ジャックポット)だった模様。そしていよいよ爆豪へのメダルの授与へと移る。

 

「爆豪少年優勝おめでとう!!本当に凄かったぞぉ!!」

「……あんがとよ」

「最後の戦いなんて私も胸が躍っちゃってねぇ!!」

「そうかよ」

 

と何処かそっぽを向くような爆豪にオールマイトは少々疑問を持つがほんの僅かに顔が赤い事に気付いた、恐らくだが出久との戦いは本人も思いがけないほどに内面を出してしまったりして恥ずかしさを覚えているのかもしれない。特に自分から手を差し出して運んでやるなんて自分がする事じゃないと思っているのかもしれないと思ったオールマイトは荒々しく彼の頭を撫でる。

 

「HAHAHA爆豪少年。君は君でこれからもっともっと伸びている、自分が普段やらないような事が意外と普段やる事への成長を促したりもするんだ、だからこれからも頑張りたまえ!!」

「……おう」

 

とメダルを受け取った爆豪は胸に輝くそれを見て少しだけ口角を緩めて笑った。それを見て大きく頷いたオールマイトは振り向きながら大声を張り上げた。

 

「今回は此処の栄光に輝いた彼等、しかしこの場の皆、誰にもここに立つ可能性はあった!!ご覧頂いた通り、競い、高め合った!!更に先へと昇っていき続けるその姿!!!次代のヒーロー達は確実にその芽を伸ばし成長している!!てな感じで最後に一言。それでは皆さん、ご唱和下さい!!せーの!!」

 

「プルスウルt」」」」」

『お疲れ様でした!!』

 

オールマイトも分かってるなぁ!!と皆が思う中で腕を振り上げながら雄英のあの言葉と共に放たれようとした―――一斉に出ようとした時にそれら全てをぶち壊すように言った本人が全く違う事を言った事で一瞬静寂になった後に思わずブーイングが出てしまった。最後の最後で台無しである。

 

「いやそこはプルスウルトラでしょうよ!!?」

「何でそれなの!?」

「あっそうかいやでも、あの、疲れただろうなって思って……そ、それではOne more!!」

『Plus Ultra!!』

 

何だかんだでオールマイトらしさも残しながらも、改めてのそれで大きな物上がりを見せながら雄英体育祭は終了したのであった―――

 

「さあさあさあ緑谷さんそんなお怪我をしている訳ですから私特性の治療カプセルへとお入り下さいさあさあさあ!!大丈夫ですって危険なんてありませんって事前のテストでも90%の安全性を確保してますから絶対に大丈夫ですよ多分それに失敗したってリカバリーガールのフォローアップも期待出来ますから全然降合いを抱く要素は0ですよ」

「いや90%の時点で絶対ではないしそれだったら最初からリカバリーガールの方に行くからね!!?」

「おいデク、マジでお前付き合う奴は見直せ」

「おおっ折角ですからお隣の爆豪さんでしたっけまあいいんですよねそんな事、貴方もお怪我をしている訳ですし如何でしょうか其方は怪我を治せて私は貴重なデータが取れてWinwinな関係という奴ですよ本当に有益な取引と関係という訳ですよ!!さあさあさあ!!!!」

「ざっけんな俺まで巻き込むなぁ!!」

「逃げようカッちゃん!!?」

「アハハハハハハハハッお待ちになって逃がしはしませんから覚悟してくださいねウルトラアーム&ウルトラジェット起動&レッツゴ―!!」

 

彼らの雄英体育祭はまだ終わってないのかもしれない。

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