緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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出久のヒーローネーム

無事に終了した体育祭、それから初めての登校日となった日の事だった。体育祭の熱気によって生まれた雲からの雨が降る中、教室へとやって来た出久。未だ体育祭の興奮の余韻が冷めやらぬと言わんばかりの空気に矢張りかと思いながらも席に着く。

 

「よぉっ緑谷!!お前もやっぱり声かけられたりしたか?俺達すげぇ掛けられちまったぜ」

「うんっ凄い掛けられた、なんか少し疲れたよ」

「そりゃそうだろうな、お前と爆豪の戦いマジで凄かったからなぁ!!」

 

と矢張り雄英体育祭での優勝者、並びに準優勝者は酷く話題にも上がる。朝刊やニュースにも取り上げられるほどでご近所からはお祝いのメッセージやら贈り物が続発、それだけでも大変なのに帰宅した出久を待っていたのは自宅内でティッシュの山に埋もれながら軽い脱水症状になっていた母だった。大慌ててで水分補給やらをさせて事情を聴くと自分の活躍で嬉しくなって泣きっぱなしだったらしい、嬉しいような人騒がせなと言いたくなった。そして今日此処までくるまでに様々な声を掛けられ、サインまで求められてしまって大変だった。

 

「緑谷ちゃん大丈夫?でもそれだけ皆緑谷ちゃんに注目してるって事よ」

「だよなぁ。爆豪も凄かったけど緑谷は緑谷でビーム出せるもんな!」

「ビームじゃなくて光線」

「お、おう悪かった」

 

そこだけは譲れないんだ、と周囲に言われながらも出久は前に座っている爆豪へと視線を向けてみる。普段と変わらずにいる彼だが、体育祭の後の発目との騒動に巻き込んでしまったのは申し訳ないと思っているが―――それ以上に何処か少しだけ昔のように戻れたような気もしている。

 

「カッちゃんあの後大丈夫だった?」

「テメェに言われたくねぇ」

「まあうん……大丈夫、だったようん……」

「……」

 

結局、あの後出久は爆豪を逃がす為に自分から進んで発目の治療カプセルへと入る事にした。問題こそなかったのだが……嬉々として操作する発目もあったからか生きた心地という物を味わえなかった、若干目が死んでいる出久に爆豪は内心で僅かに罪悪感を滲ませていると相澤が入ってくる時間がやってくるのであった。皆は相澤が来る前に席に着く、ある種恒例行事である。

 

「ヒーロー情報学はちょっと特別だ」

『特別?』

 

ヒーロー情報学、ヒーローに関連する法律や事務を学ぶ授業で個性使用やサイドキックとしての活動に関する詳細事項などなど様々とを学んで行く。他のヒーロー学とは異なり苦手とする生徒も多いが、今回は何か異なる模様。

 

「コードネーム、いわゆるヒーローネームの考案だ」

『膨らむヤツきたあああああ!!!』

 

ヒーローネーム、即ちヒーローとしての自分を示す名前の決めるという事。自分の事に関する故にヒーロー足る者として絶対的に必要な物にクラス中からテンションが爆発して行った。オールマイトを始めとしたそれらはヒーローの象徴ともいえる物、テンションがMAXゲージになって行くが相澤が睨みを利かすと一瞬でその勢いが鎮火させられた。

 

「ヒーローネームの考案、それをするのも先日話したプロからのドラフト指名に密接に関係してくる。指名が本格化するのは経験を積んで即戦力と判断される2年や3年から……つまり今回来た指名は将来性を評価した興味に近い物だと思っておけ。卒業までにその興味が削がれたら、一方的にキャンセルなんてことはよくある。勝手だと思うがこれをハードルと思え」

 

幾ら体育祭で素晴らしい力を見せたと言ってもまだまだ経験も足りない物を採用などはしない、これから力を付けていかなければ今の評価など簡単に引っくり返る。そして相澤は手に持ったリモコンを押してある結果を黒板に表示した。

 

「その指名結果がこれだ、例年はもっとバラけるんだが今年は偏ってるなある意味で」

 

黒板に示されている指名数は矢張りと言うべきか体育祭のトーナメントの結果を反映したものだという事が良く分かる。爆豪、出久、轟の三名が飛び抜けてプロヒーローからの目を引いたからか、2000を突破する指名をそれぞれが獲得している。だが意外だったのが出久の票数と爆豪の票数が逆、爆豪の方が少ないという事だった。

 

「うわっすっげぇハッキリ出てるよぉ……」

「っつうかやっぱりこの3強……っていうか緑谷の方が上なんだ……」

「最後のあれはどっちも凄かったけどやっぱりあれじゃね、光線とか光弾系の技があるからじゃね?」

「あ~見栄えいいし汎用性高そうだもんな」

 

出久の方が上というのもやはり焦凍との一戦、最後の一撃であったイズティウム光線が多くの人の視線を引いたのもあるだろうが、身体能力だけならば爆豪をも追い抜くような勢いを見せたからである。その点では爆豪よりも目を引いたというべきだろう、しかしそれに関しては肝心の彼は予想をしていたのか余りに反応せずに静かに鼻を鳴らすだけ。

 

そしてこれらの指名を出したヒーローの元へ出向きヒーローの活動を体験するという。プロの活動を自らの身体を持って体験し、より実りある訓練をするため。そしてその為にヒーローネームの考案をするという、仮にもプロヒーローの元に行く事になる、それはつまり将来的な自分の立場のテストケースにもなる。

 

「つまりはこれらを使って職場体験をさせてもらうって事だ。そこでヒーローネームを決めるって流れだ、適当なもんは―――」

「付けたら地獄を見ちゃうよ!!この時の名が世に認知されてそのままプロ名になってる人は多いからね!!!」

『ミッドナイトォ!!!』

 

教室に参上したのは18禁ヒーロー事ミッドナイト、相澤曰くそっちのセンスはかなりいいらしいのでその査定の為に来て貰ったとの事。

 

『……やっぱり、なんか苦手なタイプだな私……』

「(マグナさん初めてみた時も凄いリアクションでしたもんね)」

『何だろうなぁ……彼女の性格面とかはあんまり分からないのに苦手というのは失礼になるんだけどなんかなぁ……』

 

単純に苦手なタイプだからかもしれないが、マグナにとってミッドナイトはかなり相性が悪い模様。好みの関係かもしれないと出久は思いつつ前から送られてきたボードを後ろに回しながらヒーローネームの検討に入る。将来自分がどうなりたいか、名を付ける事でイメージが固まっていきそこへ目指していく。

 

「(なりたいヒーロー……)」

『矢張りオールマイトかい?』

「(確かにオールマイトは憧れです、でも僕にとっては……)」

 

オールマイトは出久にとって大切なオリジン、原初であり憧れでもある。だがそれになりたいとか言われたら違うと思っている、憧れは憧れだがそれを目指すのかと言われたら別の問題になってくる。自分にとってなりたいヒーローというのは……そう、光だ。オールマイトが平和の象徴となり、人々に安心を、安堵を齎したように自分は光を齎したい。そんなヒーローに……。

 

「やっぱり、僕にとってのヒーローは……貴方です」

「はい緑谷君!!」

 

そんな言葉を漏らしながら発表形式のヒーローネーム、それを示す為に教壇へと足を進めていく。矢張り、準優勝である彼のヒーローネームに様々な瞳が向けられてくる。その中には爆豪のものもあった。

 

「実はあなたがどんなヒーローネームにするか私気になってたのよねぇ、フフフッ楽しみね」

「僕のヒーローネームは……ウルトラヒーロー・イズティウム」

 

そこに出された名前にあった物を聞いて思わずマグナは苦笑してしまった、これは如何にも気恥ずかしい。今までずっと一緒にいたが、改めて思い知らされた。彼にとってのなりたいヒーローというのは自分の事であった、それをハッキリ言われたような気分になってしまい思わず言葉に詰まってしまった。

 

「(これでも自重したんですよ、本当はマグヌスとかマグニフィウムとかにしようと思ってましたから)」

『それは是非とも勘弁してほしいな、恥ずかしさのあまり火が出そうだ』

 

そう言いながらも嬉しそうな声になっている事に出久は指摘する、そんな会話が誰にも聞こえない所で行われながら出久のヒーローネームが決定した―――する最中で新たな闇が蠢いていた……。

 

「また、か……」

「はいこれで何件目でしょうか……重傷で見つかったインゲニウムから連続してもう7人目ですよ」

 

【KILL HERO】




色々と悩みましたが、やっぱり此処は下手にマグナさんの名前をお借りするよりも、マグナによって成長した出久の象徴、そしてそれを齎してくれたウルトラマンへの敬意という形でこんな風にしました。
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