「グラントリノ、一週間本当にありがとうございました!!」
「礼を言われる程はしてねぇよ」
最終日も無事に終わりを迎え保須から戻って来た出久はグラントリノに対して最後の挨拶を行っていた。これで職場体験は終わりになってまた雄英高校での毎日が再び始まってくる、その毎日ではこの職場体験で目に焼き付けた空間戦闘の研究や飛行訓練に当てて更なる高みへと目指そうと思っている。まだまだ自分は成長できる可能性を秘めているのだと実感出来ただけでもこの職場体験はあり得ないほど有意義だったといえる。そんな自分に不敵な笑みで逆に礼を言われた。
「礼はこっちだ、もう隠居の身で静かに鯛焼きを喰う事だけが楽しみだったがお前が来てくれたおかげで今日まで刺激的な毎日だったぜ」
オールマイトが寄越した弟子、その実力は確かな物だった。雄英体育祭準優勝は伊達ではなかった、これからが楽しみだと言わんばかりにしつつも昔の感覚が戻った影響か少々疼いてしまっている。出久が帰った後にパトロールにでも繰り出すか……と思っていると今まで聞きたかったのだが聞けなかったという質問が飛んできた。
「僕はヒーローマニアって周囲から言われてますけど、そんな僕でもグラントリノの事は全然知りませんでした。オールマイトの先生なのに如何して無名なんでしょうか」
「そりゃ俺は名を売る事なんて興味がねぇし活動にも興味なかったからな。資格を取ったのもそもそもが個性の自由使用が認められるからだ、その為だけに取ったみてぇなもんだ」
「そ、そうなんですか!?」
『自由使用、ね……成程、聞いた通りという事だ』
何かを知ったかのような口ぶりをするマグナだが、出久はそれに気を回す事も出来なかった。もう直ぐ新幹線の時間が迫っているのだ、そろそろ駅に向かわないといけない。
「まあこの先はオールマイトに聞くといい、小僧―――精進せいよ」
「はいっ!!」
「そして―――誰だ君は?」
駆け出そうとした出久へと投げかけられた最後の問い、それを受け取った出久は片足で回転しながら振り向いて答えた。
「僕は―――ウルトラヒーロー・イズティウムです!!」
そう言って立ち去っていくイズティウムの後姿を見送ったグラントリノは無性に身体が疼いてきてしまった、如何にも昔に身体だけではなく精神性も戻ってきているらしい。早速パトロールにでも繰り出そうと思いながら空を見上げる、澄み切った青い空、平和の象徴が次代の自分を託した弟子はこの空でどんな風に輝くのだろう、どんな風に駆け回って、成長して、大きな星になるのだろう……本当に楽しみになって来てしまった。
「もう少し長生きするのも悪くねぇかもな……あの巨人の事もあるしな」
「本当に済まないな緑谷少年、今日はまだ休みなのに……職場体験での疲れもまだ残っているのではないかい?」
「いえグラントリノには良くして貰いましたし、マグナさんに回復光線を一応撃って貰ったので全然平気です!」
「そうか……」
帰ってきた出久は一旦家へと帰ってそこで母に色んな事を話したりしながら職場体験後の数日の休みを使おうとしていた、そんな時にオールマイトからの呼び出しの電話がやって来たので修行の場所として使っていた海浜公園へと訪れていた。マグナはきっと自分達の事だろうと言っていたのであのヴィランや変身の事なのだろうと出久も予想はしていた。
「あっそうだ、グラントリノさんには上手く言っておきました。なんだか凄い喜んでましたよ」
『その辺りは私も一応フォローしておきましたから大丈夫ですよ、まあグラントリノさんからしたら随分と貴方が成長していると思いますから別の意味でハードルは上がってると思いますが……』
「あっ有難う緑谷少年そしてマグナさん!!ああっこれで漸くストレスから解放される……い、いえその辺りは私が頑張ればいいだけですので……」
口からとんでもない溜息の塊を吐き出して胸を撫で下ろすオールマイト、一体どんな修行をグラントリノにさせられたのだろうか。曰く唯々ひたすらに実戦訓練でゲロを吐かせてやったと言っていたが……それだけで此処まで恐れるのだろうか……。暈かしているだけで本当はレオの修行並みだったのではないだろうか……。
「そ、それでマグナさんお聞きしたい事があります……保須に現れたあのヴィランについてです」
『ええ、あれは私の宇宙にも存在する凶悪な宇宙人です。奇怪宇宙人 ツルク星人』
「矢張り……あれがマグナさんが戦ってこられた存在の一つという訳ですね」
『私自身は戦闘経験はありませんが知識としては、それにあれは強さ的には弱い部類ですので』
「あれで、ですか……」
それを聞いてオールマイトは腕を組みながら思わず言葉に詰まってしまった、ツルク星人による保須の被害はマグナによって最小限に抑えられているがその破壊力に政府は強い危機感を感じているとの事。エンデヴァーですら力の無さを実感し現在は力を高める訓練をし続けているとの事。
『他にも宇宙人がこの地球に潜伏しているかもしれませんね、このメダルの事もありますからね』
「これってUSJにいたあの怪獣の……」
『ああ、恐らく光の国の技術を応用した物だろう……』
出久の掌に出現したエレキングが刻まれているメダル、此処には怪獣の力そのものが秘められている。これを生み出した存在へも迫っていく必要がある事だろう、現状としては手掛りも何もないのでグルテン博士の解析待ちとしか言いようがないだろう。
「それについてなのですが、実は政府は様々な者へと声を掛けてまたあのようなヴィランの出現に対して備えを行おうという動きがあるのです」
「つまり、怪獣や宇宙人に対する組織って感じですか?」
「端的に言えばそうかもしれないね、ヒーローは何方かと言えば警察に近い事しか出来ない。しかしあれらに対してはそれでは不十分だという意見がエンデヴァーから寄せられており、それに多くのヒーローが賛同しているんだ」
それを聞いて思わずマグナの脳裏に様々なチームが駆け巡った、それこそ嘗てウルトラ兄弟たちが守った地球でも数々のチームが存在している。それがこの地球でも誕生するかもしれないという事に興奮するなという方が無理があるかもしれない、出来る事ならば参加したい、そしてそのメカを操縦したいという思いがマグナの中でマグマの如く噴き出したりしている。
「既に発目少女をその組織にスカウトして様々な発明をさせるべきなのではという意見もある程でね」
「は、発目さん凄い!!?いやでもそれ大丈夫なのかな現状でもあれなのに……」
「最近は何か大人しいって話だよ……なんかパワーローダーがストッパーになってるとかなってないとか……」
「だといいんですけど……」
今まで主にターゲット&実験体として犠牲になり続けてきた出久としては不安でしょうがなくてしょうがない、そんな組織にスカウトされるのは良いだろう。彼女の技術力はファントン星人との合作でもあるしこれから訪れるかもしれない宇宙怪獣にも通用する可能性は大いに高い……が、彼女唯一のネックとなっている開発資金云々が全部解決してしまうので、今まで以上にハッチャけるのではないか……と不安になってしょうがない……。
「マグナさん、仮にそんな組織が出来たとして発目さん大丈夫でしょうか……?」
『……あ~まあうん……私達が頑張ってストッパーになるしかないかも』
「やっぱり……というか、そうなったら僕も自動的にその組織に組み込まれたりするんでしょうか……」
「あ~……うん、普通にありそうだね」
オールマイトの自信無さげな言葉に思わず出久は頭を抱えるのであった。
「そ、それはそうとあれがマグナさんの真の姿なのですな!!いやぁ素直にカッコよかったです、私も恥ずかしながらドキドキワクワクしながらあの中継を見ていましたよ!!」
『そう言って頂けると少し恥ずかしいですね、それに私なんてまだまだですよ』
今作品に他のウルトラ戦士を参加させるか否か、というアンケートを取る事にしました。
と言っても第一話にゼロとかゼット出てますが……今マグナがいるヒロアカ世界の地球に登場させるか否かという事になります。
皆さんのご意見お待ちしてます。
他のウルトラ戦士を登場させるべきか
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させるべき
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必要ない