緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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超える力、迫りくる獣。

期末試験も迫っている筈の休日、出久は本来自宅で勉強とトレーニングに使う筈だったのだが発目に協力する事になってしまい山奥へとやってきた。岩肌が露出し草木などもなく唯々平らな荒野のような風景が続いている場へと案内されてしまったのだが、此処で出久はある事に気付いたのであった。

 

「そう言えば発目さん、僕のコスチュームとか教室にあるままなんだけど……それなのにアタッチメントのテストをするの?」

「フッフッフッ甘いですね緑谷さん私がその程度の事を考慮していないとでも思っておいでですか甘いです甘すぎな発想ですねまるでおはぎに練乳と生クリームをぶっかけた上でチョコレートソースを掛けたような劇烈な甘さの発想ですねでもいいですよ私甘いもの大好きですからそんな発想する緑谷さん大好きですよ私的に凄い好感度上がりましたよやりました私の攻略にまた一歩近づきましたよやったね緑谷さん私ルートの制覇に近づいたよ!!」

「「『おい馬鹿止めろ!!』」」

「あれま博士だけではなくマグナさんや緑谷さんにもこのネタ通じるんですね意外でした」

 

周囲は全く笑っていない事を愉快に思っているのかケラケラと笑いつつも懐からある物を取り出しながら地面に投げるとボタンを押す、投げられた物は一瞬にして大型のコンテナへと変貌した。これもファントン星人十八番の圧縮技術によって小さくされていたらしい、そしてコンテナが開かれていくとそこにはなんと出久のコスチュームと全く同じウルトラマンスーツがそこに鎮座していた。

 

「ぼ、僕のコスチューム!!?えっ如何して!?」

「私に不備なんてないのですよ此方からお誘いしたんですからその辺りの備えも万端という奴なんですよっといってもこれは私が再現したスーツですので本当のスーツはA組の教室にありますからご安心ください」

「さ、再現って……」

 

一体どうやったのか、もしかして制作を行った会社にハッキングでも行ってデータを盗み出したとかだろうか……と不安に思ったのだが単純に出久のデータは既に手元にあるのでそれらを元にしつつニュースで出ていたイズティウムの活動映像などを参考して再現したとの事。取り敢えず発目製ウルトラマンスーツを纏うのだが……出久の身体などを握ってる発目が作っているので細やかな部分が調整されており、此方の方が圧倒的に動きやすく出力制御もしやすいというおまけもついてきた。

 

「……凄い」

『流石出久君のデータを持ってる事はあるね、細かい部分の調整も完璧だ』

 

試しに軽く動いてみるが全く身体の感覚が違う、自分の想った通りに動ける。コスチュームの方はパワードスーツ的な側面が強く出てしまっているのか飛びすぎたりすることもあったのである程度力を抑える必要もあったがこれはその必要も無い。15m跳躍しようと思ったらその通り跳べる、完璧に自分にフィットしている事に驚く。これが本当の意味で個人に対して調整が成された物なのかと思う。

 

「さあさあ感動するのはまだ早いですよ先ずは此方を試してください体育祭でも使ってた多目的強化骨格を応用して更なるパワーを追求しつつも機動力も確保した高出力近接戦仕様アタッチメントはこれこそエクセレントォな物なのです!!」

 

と先程と同じように小さくされていたキューブコンテナを出しつつも巨大化させ、解放して中に収められているそれを見せ付けた。そこにあったのは―――MAX程の重装甲ではないがそれでもないがそれでも今纏っている物を容易く上から飲み込める程の重量感と威圧感がしている、そして一番目を引くのは酷く大きな両腕。その両腕の圧倒的なパワーで敵を捻じ伏せてやるんだと見るだけで察する事が出来る。

 

「コードネーム:GAIAです博士からお聞きしたんですが如何やらこのウルトラマンさんはマグナさんとは全く別の宇宙のウルトラマンさんらしいですね実に興味深かったので作っちゃいました!!」

『矢張りガイアさんだったか……確かにあの方ならこのマッシブさは納得だね』

「えっマグナさんご存じなんですか!?」

『まあね』

 

ウルトラマンガイア、別次元の宇宙に存在する光の国のウルトラマンとは全く異なる大地の赤い光の巨人。それを元にされているならば納得の外見、あの投げの鬼を再現するならばこの位しなければ確かに駄目だろう。如何やら他にもまだあるらしいがまずはこれからテストを始めて欲しいとの事。

 

「さあ緑谷さんレッツコンバインです!!」

「あっはい、レッレッツコンバイン!」

「あっ別にそれ言わなくてもいいんですよそれとこの辺りは私有地なので個性とか全開でも大丈夫ですよ」

 

と早速出鼻を挫かれてしまった所でGAIAを装着する事になった、装甲が展開してそのままスーツに覆い被さるような形で纏うようになっているらしい。早速纏ってみると感覚的に力が大きく上がっている事を感じる事も出来ており試しにスマッシュの素振りを行ってみると地面を抉るような風圧が巻き起こり岩肌に小さなクレーターを作ってしまった。

 

「す、凄い……全然個性使ってないのに……」

「おおっ成功成功大成功ですね今の軽い素振りだけで最早GAIAの出力が証明されたような物ですよこれには私製作のパワーセルが関節各部に内蔵されておりましてそれぞれが連動共鳴する事で高出力と長時間稼働を実現したのですよ!!ですがその代償に武装は全く乗せておりません乗せてしまうと其方にエネルギーを回さないといけないので賄いきれないんですよねぇ」

『色々と大変な事情があったという訳か……』

「MAXの方は更に大型のシールドと剣がありますからその保持のためにも更なる出力が必要なので機動面に回せないんですよねぇ本当にこれからの課題ですよアッハッハハハハ!!!」

 

と高らかに笑いを上げている発目、参ったといいつつもその表情にはそうでなければ面白くないしやりがいもないという物に満ち溢れている。この辺りは流石に技術者らしさが滲み出ている、科学者や技術者がリアリストと言われるが逆に既存の物や今の常識を打ち破るために研究をしているロマンチストなんだとヒカリが語っていた事をマグナは思い出しながら確かにと納得する。まあ彼女の場合は常識方面が欠如して自重も足りないので大変なのだが……。

 

「私の方で申請しておきますから宜しければ緑谷さんこのまま追加装備としてGAIA使う気ないですかね使って頂けたならデータも美味しいので」

「嗚呼っやっぱりそういう目論見があったんだ……でも僕は出来ればマグナさんが良いかなぁ……」

 

とそんな要望を口にしてマグナが思わず照れてしまった時だった、突如として周囲に殺気のような物が充満していった。出久とマグナは戦闘態勢を取りながら辺りを警戒し始め、それを見たグルテンと発目も流石に異常事態を認識したのか周囲を見回していく。

 

「な、なんだこの身体の奥底まで冷えるような感覚……!?」

『これは、覚えがあるぞ……これはまさか……!?』

「うぉぉぉマグナさんなんか凄いの見つけましたよ三次元レーダーが空間の歪みを探知しましたぁ!!」

「あそこだ、あそこが歪みです!!」

 

とテンションが上がりまくっている発目を他所に指を指すグルテン、その先には青空があったのだがその一角に青い稲妻のような物が走って行くと青空に亀裂が入っていく。それはガラスに入ったように徐々に大きく深くなっていった、異常すぎる光景だがそれをマグナは知っていた。この感覚からしてまさかと思ったが本当にそれだとは思いたくなかった。罅が一段酷くなっていくと遂に空が粉々に砕け散ってしまった。

 

「空が、割れたっ……!?」

「おおおおおっっ何なんですかあの現象すっごい調べたいですぅぅう!!!!」

「って言ってる場合じゃないよ発目ちゃんあれは流石にまずい!!」

 

砕け散った空の奥はおどろおどろしい赤が広がっていた、血の色をした煙で充満したような異常な世界が広がりその奥からゆっくりと姿を現したそれは自分達を見下ろしながら巨大で凶悪な雄叫びを上げていた。

 

何処か柔らかそうな青い身体をしているがまるで相反するかのような鉱物や結晶を思わせる鋭角的なオレンジのアーマーのような物を纏っているそれは天を串刺しにせんばかりの鋭い一本角を携えている。生物としても各部の形が異常でありまるで兵器のような印象を抱かせる。空間を更に突き破りながらその姿をハッキリと見せ付けながら地上へと降りてきた。割れた空間は元通りへと修復されながらも目の前に出現した巨大な存在は雄たけびを上げながらゆっくりと此方へと進撃して来ていた。

 

『ギィィィィィイッッッッ!!!グバァァァァァァ!!!』

 

「うっひゃあああああ超カッコいいぃぃぃぃぃぃっっっ!!しかも空間を突き破って登場とかどういう技術や能力があるんですか超知りたいぃぃぃぃ!!マグナさんマグナさん私あれのサンプル超欲しいです!!!」

「言ってる場合じゃないって発目ちゃん!?マグナさんあれって超獣ですよね!?」

「ちょ、超獣!!?」

『そうだ……怪獣を超えるとされる存在、超獣……しかもあれは一角超獣 バキシム!!』




超獣の代名詞とも言える存在、バキシムのエントリーだ!!何を隠そう私は超獣の中だとバキシムが一番好きだ!!

カッコよさと恐ろしさ、そして大きな身体の圧倒的な存在感が堪らない!!

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