緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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紅蓮の一角、偉大な光。

『一角紅蓮超獣 バキシマム……何か凄い強そうなんですけど!?』

『私も交戦経験はないけど実際強いと思うよ、あれからは他の超獣の気配を感じる……恐らくそれらを吸収してパワーアップしたんだろう』

 

光が晴れた先に出現したバキシム、いやバキシマムは雄たけびを上げながら高らかに跳躍しながら鼻からバルカンを、腕からは火球を放ちながら強襲してきた。先程とは予想もつかない程の機動力を見せながら弾幕を張って迫ってくるバキシマム、それらをバク転して距離を取りながらも回避しお返しと言わんばかりに光弾で牽制しながら体勢を取り直す。

 

『あ、あの巨体でなんて身軽なんだ!?』

 

驚く隙も与えんと言わんばかりに一気に接近してくるとその巨大且つ鋭利なクローで殴り掛かってくる、それを受け止めるが先程とは段違いのパワーに僅かに脚が後退る。そこへ追撃の一撃が脇腹を捉えた、激しい打撃音が響き僅かに呻き声を上げるが一切屈する事もなくバキシマムを押し出すように蹴ると追撃の手刀を幾度も無く打ち付ける。

 

「アアァァッ!!トゥアッ!!」

「ギュワァァァァッッ!!」

 

先程までは身体が浮かされ倒れかねない一撃を受ける、それらを受けても受け止めながら反撃の一撃を加えんと腕を振るってくる。伊達にパワーアップしていないんだと言わんばかりに迫ってくるバキシマム、それを迎え撃とうとするがいきなり後方へと飛び退くと頭部の紅蓮の角が超高速回転しながら射出された。それは紅蓮の炎を纏いながらも光輪のようになりながらも迫ってくる。それを寸前で回避するが―――それが一気にコースを変えてマグナの身体を抉らんばかりに激突する。

 

「デュォ、ァァァッ!!?デュアアアア!!」

 

切断せんばかりの勢いで迫ってくる角、それは身体を蹂躙せんばかりに攻撃するとバキシマムの頭部へと収まった。思わず連続のダメージに膝をついてしまったマグナにバキシマムは歓喜と言わんばかりの声を上げながら特大の火球を作り出そうとしていた。

 

『あの角、あんな自由に動かせる上に何て威力……!!』

『流石に知識だけでは難しい事もあるか、あれが一角紅蓮ミサイルか……儘ならんな』

 

バキシマムとの戦闘経験はないが知識としてしか持ち合わせていなかった、流石にそれだけで完璧な対応は難しかった。あそこまでの速度で角が迫ってくるのは予想外だった、速度だけならウルトラ兄弟の八つ裂き光輪に匹敵する。威力も侮れない、そして恐らく今からやろうしているのはバキシマムの必殺技である

紅蓮コンビネーションの準備動作だろう。

 

『マグナさん、如何しましょう……!?』

『大丈夫だよ出久君、この程度私の人生の中ではピンチにも入らないよ』

 

身体を引き起こしながら構えを取るマグナに出久は素直に驚いていた、3年以上も共に居るがその力は未知数でしかなかった。時々彼の活躍を話しで聞く程度でしかなかった上にその話のスケールは自分の想像の枠を超えており如何にも明確なイメージが出来なかった。それも当然、ウルトラマンとヒーローでは力の差がそれこそ次元違いなのだから。

 

『伊達に勇士司令部に所属していないという事を―――そろそろ相棒に証明するとしようかな!!』

 

刹那、マグナの全身が光輝いた。その輝きは何処か暖かく出久は驚いたがそれよりもその時に背中を力強く叩かれたような感触と共に声が聞こえてきたのだった。酷くノイズが掛かり割れているようだったがハッキリと聞こえてきたそれは荒々しくも力強く、聞いた人に安心感を与えるような物だった。

 

―――何心配する事はねぇよ、お前さんの相棒様は俺達が思ってる以上の人さ。心配しねぇでお前さんはその背中を確り見とけ。

 

『えっ……!?』

 

思わず振り向くがそこには誰もいない、だがその声は間違いなく自分の記憶に刻まれていた。一体何だったんだと思っていた直後、マグナの傍を一筋の光が通り過ぎて行くとバキシマムが作り出そうとしていた超巨大火球を貫き火球は大爆発を起こしてしまった。

 

「ギュワァァァァアアアア!!!?グバギャアアアアアア!!?」

 

火球が炸裂してしまった事でその発生装置を兼ねていた両腕のクローが爆発に飲まれながら誘爆してしまい、バキシマムの両腕は半壊してしまっていた。流石の超獣とは言え突然のことによるエラーが起ったのか、それとも自身の最大火力が自分を襲った事で不具合が出来たのか痛みで狼狽えているかのようだった。

 

『い、今のって……!?』

『超獣の強化改修個体にも通用するのってやっぱり不味いよなぁ……』

 

と言葉を零すマグナが後ろを見るように言ったのでそちらを見てみると―――そこにはなんと地面にアンカーを打ち込んで身体を完全に固定させた巨大な砲塔を構えてバキシマムへと狙いを付けていたであろう発目の姿がそこにあった、先程の光も恐らくあの砲から放たれた物だろう。かなりの出力だったのか砲身は異常な熱を放っており、それの排熱処理が行われていた。

 

「いっよっしゃああああ如何だ見たか巨大怪獣さんこの発目式光子砲とサイバーエレキングアーマーを組み合わせて放たれた最高出力のサイバー光子電撃波の味はぁぁっっ!!贅沢にパワーセルを25個も使っちまう上にシステムがショートしちゃうしパーツも使い物にならなくなるからオーバーホールもやらなきゃいけないからやりたくなかったけどこの成果は私にとって尊いものになるのださあやっちゃってくださいマグナさんそして助けた報酬としてサンプルをプリーズミー!!!そして緑谷さんも頑張ってくださいよォ!!」

「これ、多分また後でお説教だよね……」

 

とこの後に待ち受けるであろうことに汗を溜息をつくグルテン、だがこれは発目が独自且つその場のアドリブで完成させてしまった急ごしらえのブッパ砲。それ故の代償も多々あるらしいがそれでも発目は構わなかった。その程度の代償で得られるリターンは凄まじいのだから。

 

『やれやれ出番とられちゃったかな、まあいいかな。行くぞ!!』

「ウォォッ!!」

 

駆け出して行くマグナ、迫ってくるそれにバキシマムが対応する前に屈みながら深々と拳をその身体へと放った。その一撃にバキシマムは一瞬思考が停止した、それは生物としての名残なのだろうか、それとも強化された自分が何故という高度な知能を持つが故の物だろうかは分からないが拳は突き刺さりながらもそのまま巨体を浮かび上がらせると更なる一撃を加えると首元へと回し蹴りを炸裂させる。

 

「ギュアアアアァァァ!!!!」

 

地面へと叩きつけられつつ蹴りつけられた部分が爆発するバキシマム、異常なダメージが次々と重なってくるのを処理しきれないのか倒れこみ続けるがそれをマグナが立たせるとそのまま、一息に7万9千トンも巨体を持ち上げるとそのまま大地へと叩きつける。最早投げ付けるではなく地球を武器にして殴り付けるかのような勢いに離れていた筈の発目とグルテンが衝撃で軽く浮きあげる程だった。

 

「デュワッ!!シェァァァァッッッ……ディィアアアアアアア!!!」

「ギィィィィッッ、ァァァァッッッ―――!!!」

 

叩きつけられ動けない隙を見逃がさず、透かさずマグナは最強の一撃であるマグナリウム光線を発射。マグマより赤く、紅蓮よりも鮮やかで太陽よりも熱い光の奔流が照射されていく。バキシマムへと到達した光線は一瞬だけ、その身体を焼いたかと思いきやバキシマムは絶叫を上げながらも全身に光が浸透すると各部が大爆発しながら粉々になりながら消滅してしまった。辺り一面にはバキシマムであった物が四散しているが、それらも光の粒子になるように消えていくのだが、その内の幾つかを発目は光になる前に確保して奇声を上げている。

 

『助けてもらったのは事実だからね、まあ後で話はしなきゃいけないけど……』

『マ、マグナさんって本当に、凄いです……』

『フフフッ見直したかい?』

 

そんなやり取りをしつつもマグナは変身を解除しつつ、出久へと戻って行くのだが直後に超ハイテンションになった発目が来襲してこれから実験をするから是非手伝って欲しいと言われてタジタジとなってしまうのであった。そんな発目に素直に呆れつつも今回の事に免じて説教は後日にしてあげる事を決めつつ―――バキシムを強化したであろう存在への危機感を強めた。

 

『まさかバキシムを強化するなんて……一体何者なんだ』

 

 

―――流石に見縊りすぎたか……バキシマム程度じゃダメか……なら次はもっともっと強力な奴をくれてやる。お前に死をプレゼントしてやるよマグナ……この星にお前はいらないんだよ。


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