緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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共鳴する光

「はぁっ……本当に大変でしたねマグナさん」

『まあ大変だったのは何方かと言ったら発目さんのほうだったけどね、あの子ってば何処まで私の想像を超えていけば気が済むんだろうね』

 

突如として来襲してきたバキシマムとの戦闘を終えたマグナと出久、唯一の救いなのは実験を行っていたのは山奥且つグルテンが入手した私有地だったという事だっただろう。人的被害などは皆無だったのが本当に良かったと胸を張って言える事だろう。発目は手に入れる事が出来たバキシマムの細胞の研究に入ろうとしていたが流石にそれはグルテンが管理する事になって、渋々納得していた。

 

「でも今回って唯々暴れる為に出現したって訳じゃないですよね……?」

『だろうね、バキシムがあの段階で強化されてバキシマムになった事を踏まえて考えるとあれを操っていた存在がいて私達に対抗するために行った物だろう』

 

超獣は侵略者の侵攻兵器、それらを使用する宇宙人は数多く存在する。あのタイミングでの強化を踏まえると自然発生した超獣の線はない。明確な敵意の上での事があったという事になるだろう。

 

「えっとその、マグナさんは相手が誰なのか目星とか付きますか?」

『う~ん残念だけど無いね、こういう言い方はあれだけど光の国を恨んだりする悪人は相当数いるからね。私が居ない間に光の国で何かが起こっていたとも考えられるから明確な事は言えないんだ』

 

と言っても大体の場合は光の国の戦士達が侵略を防いだり、光の国由来の技術を公開しろと迫られたりとしたものが発端である事が多い。それらを積み重ねていった結果として光の国を良く思わない存在は多いが同時に友好的な関係を築いている星々が無数にある事も事実。

 

『そもそも私がこの地球に派遣される前にも面倒な事が起こっていたからね……』

「えっ!?」

『いや此方の話だ、だがそれも関係していないとも言えない。儘ならんな……』

 

出久は思わず言葉を詰まらせながらもそこに言及する事はしなかった、そちら側の宇宙の事ならば自分が聞いても致し方ないし意味もないと思ったからだろう。何かを考えこんでしまったマグナ、その言葉の切れ端から何か因縁があるかもしれない存在に付いての言葉が僅かばかり聞こえてきた。

 

『―――だとしたら今度こそ倒すだけだな、過去の礼をする為にも……』

「あ、あのマグナさん……?」

『んっ……ああ済まない、心配をかけてしまったかな』

 

何か誤魔化すような素振りだったが出久は余り気には止めずに自分が気になった事を聞いてみる事にした。

 

「あのバキシマムと戦ってる時に声が聞こえてきた気がしたんです、こう背中をバシッと力強く叩くみたいな感じと一緒に……」

『声?』

「敵じゃないと思うんです、マグナさんの事を信頼してるみたいな感じでした」

 

 

―――何心配する事はねぇよ、お前さんの相棒様は俺達が思ってる以上の人さ。心配しねぇでお前さんはその背中を確り見とけ。

 

 

聞いていて安心感を与えるような物だったので悪意に満ちた物なのではない事は分かりきっている、だが一体誰の声なのかが全く分からない。もしかしたらマグナ関係の物だったのではと尋ねてみる。すると何かを知っているかのように思案するような声が聞こえてくる。

 

『成程君も聞いたという訳だね』

「知ってるんですか!?」

『まあね、私達に深く関わる事だよ。私の憶測も混ざるだろうが構わないかい?』

 

即断で頷くと語りだした。まず第一にマグナと出久の関係性、今二人は一心同体の関係にあり出久がワン・フォー・オールを継承した際にそれはマグナにも大きな影響を与えており彼にもワン・フォー・オールが継承された事にもなっていた。そして先程のバキシマム戦ではその力を解放した場合何処までやれるかを試すつもりだったのだが、発目に出番を取られてしまった。

 

「は、発目さん……」

『その事はいいさ、結果的にとはいえ無事に終わった事だからね』

「でもマグナさんもワン・フォー・オールを継承してた事になるなんて……何で言ってくれなかったんですか!?」

『君と一心同体だからワン・フォー・オールを継承しているとも言えるかもしれないって、言ったけどやっぱり気付いてなかったんだ……まああの時は確証が無かったんだけどね』

「あれってそういう意味だったんですか!?」

 

ウルトラマンと地球人、それが一心同体になっている存在への個性の継承。そしてそのウルトラマンが持つ光の因子や力などが複雑に交差した事でイレギュラーが生まれた結果、出久とマグナの双方に個性が継承されていた。ウルトラマンの力を受けたワン・フォー・オール、その力はまだまだ未知数だがマグナは幾つかの確信を得ている。

 

『その過程で私は個性の中の光を見た、歴代ワン・フォー・オール継承者の意志(モノ)だろう。君が感じたのもその類の物かもしれないな』

「そう言えば、俺達が思っている以上にマグナさんは凄いって……」

『ではほぼ確定と言っても良いかもしれないね、今は期末の準備で忙しいだろうから今度オールマイトにも報告に行くとしよう』

「分かりました!!」

 

と出久は自分の中の個性に歴代の光が宿っていると思うと急に緊張して来てしまった、今も見ているかもしれないと思うと不甲斐ない姿を見せる事なんて出来ない。立派なヒーローになる為にも今は期末試験への備えを万全にして置かなければと机に向かい直して勉強を始めるのであった。それと同時に発目が試して貰ったウルトラマンスーツとアタッチメントを正式に出久のコスチュームにして貰えるように申請しておきましたから今度実験手伝って欲しいというメールが飛んできて、嬉しさ半分辛さ半分で肩を落とすのであった。


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