「み、緑谷と爆豪が落ちたぁ!?」
「マジかよ幾ら相手がオールマイトだからってあの二人が!!?」
出久と爆豪の試験に落ちた事は教室にて待機していたクラスメイト達に飯田達によって伝えられ大きな衝撃が走っていた。二人の試験官を務めていたのはあのオールマイト、試験の中でも屈指の難易度だと皆が思っていたがそれでもあの二人ならばきっと乗りこえる事だろうと思っていたのだが……まさかの敗北を喫していたという事実は驚きしか生まなかった。
「マジかよ……やべぇよオイラぜってぇ受かると思って、ミッドナイト先生相手にやってやったぜドヤ顔するつもりだったのに……」
「それは凄いとは思うけど流石にもう少し考えた方が良いんじゃないかしら峰田ちゃん」
当然クラスの中には不合格になった者もいる、なのであの二人が特別という訳でもないが体育祭の優勝準優勝コンビが落ちるという事は十分過ぎる衝撃となっていた。
「でもさ、アタシらと違って流石にしょうがないんじゃない……だって相手がオールマイトな訳だしさ……」
「だよな……俺らと違ってな……」
と一角で落ち込んでしまっている試験落選組、彼らも彼らで試験に落ちてしまっているがそれでも相手となった先生方は確りとハンデを受けて相手をしてくれていたので比較も出来ない。ほぼハンデなしのオールマイト相手に戦った出久と爆豪には何も言えない……そんな中でやって来た相澤、これから期末試験の総評を発表して誰が赤点なのかが明かされる事になり、補修地獄になるのか、林間合宿行けないのかが決定する……そんな地獄の断頭台に立たされているかのような気分になっているへと相澤から発表がされる。
「期末テストだが、残念ながら赤点が出てしまった。よって林間合宿は―――全員行きます」
『どんでん返しが起きたぁ!?』
文字通りクラスが揺れた大ボリュームの声が響き渡った。完全に雄英に残っての補修地獄だとばかり思っていたので想像だもしなかった事だろう、だがなんでそうなったのかと問われると相澤は少し悪い顔をしつつ言うのであった。
「今回の試練、我々
相澤らしいやり口にクラスから喝采の声で溢れる、のだが直後に赤点は赤点だから覚悟はしておけとくぎを刺されるのであった。そしてそこで麗日たちが手を上げて聞きたい事を聞いた。
「あ、あのデク君と爆豪君も赤点なんですか!?」
「そうです先生!!確かにオールマイト先生に負けてしまいましたが二人は精一杯に頑張りました、それこそ考慮されるべきものだと愚考いたします!!」
「それにオールマイト先生途中から重りが外れてたんだからそれで赤点って言うのは理不尽だと思うわ」
「その件か……安心しろ、あいつらは赤点じゃない」
その言葉に三人は驚きつつも相澤は頬を掻きながら答える。
「当然だろう、オールマイトは途中から重りが外れて完全にハンディがなくなった上に本人はそれに気づかずに試験を逸脱する本気に近いレベルで戦った。それなのにあの二人は最後の最後まで戦い続けていた、その内容も評価に値する。あの内容じゃ誰もクリア出来んにも拘らずだ」
そんな事を話しつつも未だに医務室で眠り続けている出久と爆豪に本気で良くもあそこまで戦えるものだと関心する、圧倒的な実力差がある相手に逃げを選択するのは愚行。背中を見せれば背後から襲われ一発KOもあり得る、故に戦い続ける事こそが最適解。そこで隙を作り逃げるのもいい、だが相手がオールマイトなので戦い続ける事が必然的に選択される……そしてあの大立回りは称賛に値する。特にオールマイトがフェイスクラッシャーされる光景は凄かったと皆が口を揃えた。
「兎も角、お前達はお前達で林間合宿の事を考えとけ」
そんな言葉の裏側では一室で行われているであろうお説教が過るのであった。
「こんの……大馬鹿もんがぁ!!!」
「ががぶふぅ!!!」
雄英高校の一室、発目や出久も良く利用している談話室にて床に直接正座させられながら思いっ切り殴られて宙に舞うとそのまま跳び蹴りが炸裂させられたのはトゥルーフォームのオールマイト。そしてそれを行ったのはそんなオールマイトの先生であり出久が職場体験で赴き様々な事を学ばせて貰ったグラントリノの姿がある。
「イズティウムの一件で成長したと思った矢先にこれか大馬鹿もん!!!イズティウムだけじゃなくてもう一人の方も本来なら病院送りものだ、リカバリーガールの処置があるから何とかなっとるがそれでもギリギリすぎる!!」
「申し訳、ありません先生……師として、課題として壁として二人の成長の糧となれればといいと思っていたのですが……」
「だったら加減を知らんか!!!経験を積ませるにしても高すぎる壁が何の役に立つんだ!!?」
出久と爆豪の一件から急遽呼ばれたグラントリノ、根津から事情を聴くと青筋を立てながらオールマイトを嘗ての指導のように殴りながら罵声を浴びせ掛けて行く。聞けば聞くほどに如何してこの男がイズティウムの指導を出来たのかと疑問に思う程。
「お前は師である前に教師だ、それを考えずに何をやっとる!?しかも最後の最後まで重りとインカム破損に気付かなかったぁ!?注意力が散漫すぎる!!」
「うっぅぅぅぅっ……」
もう何も言えず唯々正座したまま喋る事が出来なくなってきているオールマイト。実際マグナに言われるまで気付く事も出来ず、外れた事も調子が出てきた程度の認識でしかなかった上にインカムの事なんて全く気にもしていなかった。リカバリーガールからの言葉がない程度しか……故に何も反論できずに唯々言葉を受け続けるしかない……。
「ったくおい俊典、お前まさかイズティウムに自分の指導不足をフォローしてくれるように頼んだんじゃないだろうなぁ……?」
「ッ!!?な、ななななななな何をおっしゃいますか先生!!?」
「お前がイズティウムが言っていた通りに出来たとか仮定したとしても今回の一件は余りにも杜撰過ぎる、そんなお前が本当にイズティウムをあそこまで鍛え上げられたか甚だ疑わしい」
「(やばいやばいやばいやばいバレるバレるバレるバレるバレるバレる!!!??)」
実際の指導の半分以上、いやそれ以上はマグナがやっていてくれた事がバレそうになりオールマイトは今までにない程に焦り始めた。マグナからのフォローを無駄にしない為に今まで以上に教師としての勉強を重ねているのだが、今回それを自分で台無しにしたような物。本当にこれから如何したらいいのだろうかと頭をフル回転させている時に談話室の扉が開けられた。
「やぁっ待たせちゃったね」
「おう校長」
そこには雄英高校校長の根津、そしてもう一人が入ってきた再び扉が閉じられた。校長先生だけでももう辛いのにこの期に及んで誰が来たのだろうかと顔色がさらに悪くなっていくオールマイトが顔を上げてそこにいる人物を見ると思わず硬直してしまった。グラントリノとは別のベクトルで会いたくなかった人物がそこにいたのである。白を基調とした金ボタンのシングルスーツ、白いワイシャツ、赤地に白抜き水玉模様のネクタイというサラリーマンとして見ても違和感なしの服装をしたその人物にオールマイトは更に言葉が出なくなってしまった。
「―――お久しぶりですオールマイト、まさかこのような状況でお会いする事になるとは思いませんでした」
「そ、そうだね……うんいや全くだ……あはははは、ははは……」
そこにいた人物とは嘗てオールマイトのサイドキックだった男、ヒーロー サー・ナイトアイ。そして眼鏡を一際輝かせると低い声で威圧するように言った。
「オールマイト、私も言いたい事が山ほどありますがまず一言―――貴方は本当に教師としてやっていけているのですか」
この時オールマイトは思った。今の状況はオール・フォー・ワンと戦うよりもつらいと。
『こういう時、地球ではこういうのだったかな―――是非も無いね!!』
「(マグナさん唐突に何を!?)」
『相棒の仕返しですけど何か?』
「(駄目だ味方が完全に居ない!!)」