緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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大変、魔王が来た!?

「県内最多店舗数を誇るナウでヤングな最先端、木椰区ショッピングモール!此処で揃わずして何処で揃うと言わしめる程の店舗数とジャンルの多さ、守備範囲の多さは随一!」

『取り敢えず芦戸さん、君の台詞はパストでオールドな死語だという事を自覚しようか』

 

楽しみにしていた日がやって来た、林間合宿に必要な物を購入する為のクラスメイト揃っての外出―――と言いたい所だが2名ほどの欠席が出来ている。予想通り欠席の爆豪と入院中の母の見舞いに行くという焦凍は欠席している。だがそれでもほぼ全員が揃っている事に皆満足気な表情を作る。そんな中でぶっ放されたマグナの突っ込みに出久は吹き出しそうになるのを我慢する。

 

「緑谷ちゃんは何か買う物はあるの?」

「僕はウェイトリストを買い直したいかな、後はアウトドア系の靴も」

「ウチは虫よけスプレーとか買いたいな~」

「それじゃあ折角だから3人で回りましょ、3人寄ればきっといい物を見つけられるわ」

 

梅雨の申し出を受け入れて麗日を入れた3人行動を行う事になった、端的に見れば仲良し3人組の光景なのだが出久は女子と一緒に買い物どころか遊びに行った事もない為に内心バクバクでそれを面に出さないようにするのが精いっぱいでマグナにアドバイスを求めまくっていた。

 

『いや私に言われてもなぁ……任務で忙しかったから私も女性とは縁がなかったから助言と言われても』

「(そ、そこを何とか!!)」

『う~ん……ウルトラ一族の王族とのお見合いをすっぽかした話位しかないよ?』

「(すっぽかしたぁ!?)」

『いや好きですっぽかしたわけじゃないんだけどね……』

 

転生前の人生も一応参照しても女性とは特に接点を持とうとはしなかった、外見は悪くはない私欲もない普通オブ普通。加えて女性との関りを持つよりも趣味を追求しておいた方が有意義だし楽しいと思うタイプだったので彼女が欲しいと思った事も皆無、マグナとしての人生ではそれなりにウルトラウーマンと絡む事はあったがそれは全て任務においてでプライベートではなかった。唯一の女性経験も突然入ってきたゼノンからの救援要請に応える為に出動してしまった為に許可を取った上ですっぽかしている、という訳でそっち面でマグナは全く役に立たない。

 

『まあこれも試練だと思えばいいじゃない、プロになったら必然的にメディア露出とか女性との関りも増えるんだからその練習と思えばいいさ』

「(そ、そういう物ですかぁ!?)」

『何だったら女性陣に何か買ってあげるでもいいと思うよ、幸いな事にお金ならいっぱいあるんだし』

「(そ、それですよ!!それなら何とかこの場を切り抜けられるかも!)」

 

幸いとも言える事はマグナが持ち込んだ宝石の換金によって資金は潤沢にあったという事だった、それで女性陣が買いたいものをプレゼントする事で上手く場を進行させて仲良くなれるのではないかという事に落ち着く事になった。

 

「こっちの靴なんて如何かしら」

「ああいい感じ~、でもちょっと高ない?」

「でもその分長持ちするし長い目で見たら安いと思うよ、こういう時のコツって少し高めを買うだし」

「う"ぅ~ん悩ましい……」

 

林間合宿に備えて様々な物を見る中で矢張りお財布との相談を一番強いられているのが麗日であった。彼女がヒーローを目指す理由というのはお金、両親を助ける為にもヒーローになりたいという物だった。他の皆と比べて俗物的な物である為か本人は恥ずかしがっているのだが決して恥ずかしがる事ないと出久と梅雨は励ます。

 

「だったら麗日さんに梅雨ちゃん、僕に出させて貰ってもいいかな」

「えっ!?そ、そんなの悪すぎるよ!!?」

「そうよ緑谷ちゃん、私達は自分の分は自分で出すわよ」

「いや出させて貰えると助かるんだ、実は……」

 

遠慮するかもしれないという事でマグナと相談して決めたバックストーリー。自分の叔父さんに雄英に入って立派になったと喜んでくれる人がいるのだがその人からお小遣いというには多すぎる額を貰ったしまった上に使わないと酷く嫌な顔をされるから使っておきたいという物。

 

「だから僕を助けると思ってお願いできないかな、僕も叔父さんにはお世話になってるから中々……」

「そ、そう言われちゃうと断りにくいね……」

「でもいいの緑谷ちゃん、本当なら買いたいものを買ってもいいのよ?」

「今の所そんなにないんだ、だから気にしないで」

 

という事にしてごり押し気味だが二人にプレゼント的な形で送る事が出来た、二人は酷く感謝しながらも必ずこの事に対する埋め合わせをすると約束をしてくれた。

 

「いやでも本当にごめんね出久君……」

「良いって良いって、正直僕もお財布の中に大きなお金が纏まってるって結構怖かったから……」

「凄く分かるわそれ」

『まあ預金残高にはかすり傷が付いた程度なんだけどね』

 

それは言わないお約束である、それに宝石のストックなどを考えたらかすり傷にもならないような気がしてならない。

 

「それにしても緑谷ちゃんにはなんだかお世話になってばっかりね、USJの時も凄いお世話になってその時のお礼をも出来ていないのにまた」

「ウチも入学試験の時に助けてもらった時のお礼しきれへんよ」

「別にいいってば気にしなくても、僕は誰かから見返りが欲しくて誰かを助ける訳じゃないんだから」

 

その時にすべき事をしただけに過ぎない、結果的にそうなっただけで自分の為にやった行動が誰かを救った、正しくそれなのだ。麗日の時は自分の合格の為でもあった、USJの時はあの場から脱出する為でもあった。だからそこまで気にされても困ってしまうというのが素直な本音。出来る事ならばこれからもずっと自分と仲良くして欲しい程度の願いはあるが……きっとそんな事を伝えなくても二人はそれを分かってくれている。

 

「そう、それなら緑谷ちゃん一つ聞いてもいいかしら。私ってば聞きたい事は素直に聞いちゃうから断っておくわね」

「いいよ何?」

「実は―――」

 

 

―――気に入らねぇ、ああ本当に気に食わない……。

 

 

そんな思い燻らせながら一人の少年が同じショッピングモールを歩いていた、その瞳にあるのは疑問と盲目的な悪意が混在しながらも今の世界がどれだけ可笑しいのかという未知で溢れかえっている。マグナが居たならば即座に理解しただろう、その少年はUSJに殴り込みをかけたヴィラン連合の頭目と思われるヴィラン・死柄木弔だという事を……。

 

 

―――ヒーロー殺し、お前は保須以降動くことをやめた。世間一般じゃテメェの活躍をツルク星人に奪われたのにも拘らず、何故何も言わねぇ、何も起こさねぇ。

 

 

保須での一件、最も世間の目を引くように活動したステインはその日以降全く音沙汰がなくなっていた。完全に活動を休止したかのようなそれらに疑問を持ちながらもそれらを仕掛けた側である死柄木弔は笑みを浮かべていた、何故ならばそれらの手柄を奪いつつも自分達の元にそれらのシンパと思われる新メンバーが加入したからだ。ヒーロー殺しの思想に賛同する者、現行の社会が気に食わない者らがヴィラン連合に入る中で募る苛立ち、これらの事が起きているのに何故あれは行動を起こさないのか。

 

 

―――こいつらもだ、まるで対岸の火事……いやそうとも思っていない、だったら解らせてやる、俺達の脅威はお前達の喉元にまでいるって事をな……。

 

「やれ」

 

小さく言葉を零すと彼はショッピングモールから去っていくのであった。その言葉は直ぐに、複雑な意味を持ってその場を戦慄と恐怖で支配する事で実現した。

 

 

その呟きに応えるかのように異空間ではまた、影が暗躍を始めた。それは新たなメダルを出現させるとセットしながら構えた。

 

■●▲◆ ACCESS GRANTED

 

―――宇宙恐竜、双頭怪獣、大魔王獣。

 

〔ZETTON〕〔PANDON〕〔MAGA-OROCHI〕

 

―――さあ、過去のリベンジだ……実験、開始。

 

 

出現したそれは大地を抉りながらも大爆発を起こしながらショッピングモールを見下ろす。黒い身体に胸部の発光体は不気味に点滅しながら機械のような音を立てる、長い突起の伸びる両肩から脚部、側頭部にかけては赤い体表はまるで煮えたぎるマグマの如く。サメにも龍にも見えるそれは長く鋭く太い尾はあらゆる物を粉砕するかのように地面を打ち立てながら叫びをあげ周囲に自らの存在を打ち付ける。最強と名が高き宇宙恐竜(ゼットン)、史上最大の侵略の切り札となった双頭怪獣(パンドン)、星を食らい尽くす大魔王獣(マガオロチ)、それらが融合合体した怪獣―――

 

「あ、あれは―――!!?」

『まさか、そんな何故奴がこんな所に!?あれは合体魔王獣―――』

 

ZEPPANDON(ゼッパンドン)




ゼッパンドンのエントリーだ!尚、ジャグジャグは無関係ですので悪しからず。だってあの人、別の宇宙の地球で隊長やってるし。

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