「ほれ昼飯持って来てやったぞ」
「あ、有難う……御座います……」
昼食時、漸くテクターギアから解放された出久だが酷くぐったりとしていた。単純に重いというのもあるがそれ以上に身体能力の抑制と負荷が想像にキツく体感的に80キロオーバーの拘束具を身に纏っているような気分だった。フルカウルを発動させて漸くまともに動く事が出来るレベル、しかも個性もウルトラマンとしての力も抑えられてしまっているのできつ過ぎるの一言。まだ合宿の初日なのにこの先やっていけるのか酷く不安になりながらも昼食のお弁当を口に運ぶ。昼食までは何とか持って貰えるが、夕食は自分達で作らないといけない……そう思うと今から身体が重い。
「ぁぁぁっ白米が甘い……」
「こんな大自然で飯が食えるのも贅沢だな、良く食っとけよ。午後からもっとキツくするからな」
「は、はい……」
その宣告にもやってやるという気持ちは湧くのだがそれ以上に全身に纏わり付く疲労感が半端ない、新型テクターギアを纏ったままでのフルタイム組手は相当に利く。その相手のガイは鮮烈且つ過激、流麗にして堅牢。様々な言葉を体現するような戦い方で自分を責め続けてくる。だが午後からはそれももっと辛くなると思うと本当にこの力を使いこなす為には苦労が居るんだと実感する。
『大丈夫だよ出久君、始まる前にヒーリングパルス掛けてあげるから』
「えっ……で、でもいいんですか……?」
『疲労が残ったままだと十分な力が発揮出来ないだろう?だから回復してあげるから午後も全力でね』
「流石マグナさん、優しいですけど厳しさの塊ですね」
そういう事かなぁ……と肩を落とす隣でガイがニコやかに笑っている。この様子からすると例え言われなくてもガイの方から頼んで回復させられて、常にフルスロットルで戦わされる事になるんだろうなぁと悟りながら鶏肉の梅肉和えを口にする。
『ガイ君、午後は他のファイトスタイルも加えて貰えるかな。スペシウムゼペリオンも中々に戦い甲斐あるけどもっと経験を積ませてあげたい』
「分かりました。それじゃあバーンマイトとハリケーンスラッシュも加えます」
『あれは加えないんだね』
「流石に出久が持たないでしょ」
笑いながらマグナと会話するガイ、その内容からまだまだガイにも先があるんだと思い知らされてしまう。そしてガイの事もあまり知らないのでその事にもついて尋ねてみる事にする。
「スペシウムゼペリオンって何なんですか?」
「そう言えば俺に付いてはあまり話してなかったか、ゼッパンドンと戦った時の姿あるだろ。あれがスペシウムゼペリオンって言うんだが、ウルトラマンさんとティガさんの力をお借りしてるんだ」
「えっお借りしてる?」
『ガイ君は様々なウルトラマンの力を借りて姿を変えて戦う事が出来るウルトラマンだからね』
「えええっそうなんですか!!?」
中々良い反応するな、と説明のやりがいがありそうだと笑いながらも自分の事に付いて話すガイ。それに付いて酷く興味深そうに聞きながらも自分のファイトスタイルにも参考出来ないかと思案する出久。そうしながらも様々なウルトラマンの名前を改めて聞く事になり、本当にウルトラマンというのは色んな人がいるんだなと一息つく。
「つまり、これからはもっと別の戦い方をするって事だ。パワフルなバーンマイト、スピーディなハリケーンスラッシュって感じにな」
「ほへぇっ~……ヒーローでもコスチュームを変えてスタイルに変化を付けるって人はいますけど姿そのものが変わっちゃうなんて早々いませんよ!!?」
『ガイ君はその辺りが顕著だからね、他だとリク君ぐらいかな。カツミ君とイサミ君は姿はそこまで変わらないし』
「ゼットの奴も入りますね、ヒカリさんの所で開発された新しいアイテムで色々変われるって話ですし」
『へぇっ~……私のメダルとかも何時か使われるのかな』
「俺もマグナさんの力をお借りして変身してみたいとは思いますね、マグナさんとネオスさんとかいいと思いますけど」
そんな風に話をしている姿を見るとウルトラマン同士というだけあって話も弾んでいるし他のウルトラマンの話や光の国の話も頻繁に出てくる。それらを聞きながらも自分の知らない事ばかり、と思うが直ぐに逆に今ならば光の国の事も聞けるんじゃないかなと思う。マグナに聞いた話は何方かと言ったらウルトラ戦士の武勇伝やらどんな人たちなのかという話ばかりだったのでその辺りを聞いてみるのもいいかもしれないと思っていたらガイから話を振ってくれた。
「そうだ出久、お前聞きたい事ないか?何ならマグナさんのお見合い相手に付いてでも話そうか」
「聞きたいです聞きたいです!!」
『こらこら本人を前にして笑い話にしようとするじゃない、というかおじさんのお見合いは面白くないんじゃないかい?』
「マグナさんはおじさんじゃありませんよ!!!」
「そうですよまだまだお若いじゃないですか」
『少なくとも二人よりは年上なんだけどなぁ私、というか興味あるのね出久君』
出来れば触れて欲しくはないと言いたげなマグナだがそこまで聞きたいなら……と渋々流れに身を任せるのであった。出来る事ならば約束事は破りたくはないし破ったらなら直ぐに謝罪なり埋め合わせをしたいタイプゆえにお見合いの事は早急に何とかしたい事。
「それでどんな人なんですか、王族って言うのは聞きましたけど」
「ウルトラマン80さんっていう方がいるんだけどその人とお付き合いされてるユリアン王女様のお姉さんだ」
「80さんっていうと地球で教師をされてたって方ですね」
お見合い相手の名前はカトレア、年齢は8700歳。
「300歳差ですか……!?」
「ウルトラマンにとって300歳なんて大した事じゃないぞ」
『同級生レベルだね、地球の感覚としては』
ウルトラマンの感覚的には同級生、同年代レベルなので気にもならない。そしてカトレアはじゃじゃ馬っぷりが光の国でも轟いてしまう程にお転婆なユリアンと違ってお淑やかで大人しい性格らしいが元気を前面に出せているユリアンを羨ましく思っているのか、時々ワザとお姫様らしさを出そうとして失敗してたりする人らしい。
「まあそんな人だけど評判は良いな、凄い美人って話題になる位だし」
「凄いじゃないですかマグナさんそんな人とお見合いなんて!!」
『素直に恥ずかしいな……というか私だって突然話が持ち上がって驚いたんだから』
任務を終えて報告に行くと突然お見合いの話をされて酷く驚いた覚えがある、しかも相手が王族なのでより驚いた。光の国では身分違いの恋というのは地球程珍しくはない、王族も身分と高い人とだけと言った縛りは基本的にないので好きな人と恋愛できる。それでもやはり身分の違いはあるのでその辺りは慎重になったりする人は多い、その点で80は尊敬を集めたりしている。
「でもそんな人とのお見合いをすっぽかし続けちゃってるんですよね……カトレアさんは怒ったりしてないんですか?」
「怒ってはないらしいな、ヒカリさん曰く寧ろ好感を抱くって言ってたらしい」
「良かったですねマグナさん!」
『まあそこは良かったような安心出来るような……まあそれはさておきもう直ぐ昼食の時間も終わるよ、早く食べちゃいなさい』
「「は~い」」
そんなこんなで楽しい話をしつつの昼食は終わりを告げるのであった、が、そこから始まるのは出久にとって地獄の猛特訓であった。手始めに腹ごなしを兼ねたランニングとしてガイに追いつかれないように1時間走ると言われたのだが……
「俺はこいつで追いかけるからな、こいつより後ろに行かないように気を付けろよ」
「ジ、ジープですか!?逃げるなぁぁ!!!とか言いませんよね!?」
「言わない言わない」
『……ガイ君、ゼロ君とセブンさんにされた修行でそんなことやったの?』
「流石にやってませんよ、似たような事やっただけです」
「『やりはしたの!?』」