緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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悪意の竜人、光の巨人。

夕食も終わった後の事。合宿中の特訓は言うなれば鞭、それに合わせて確りと飴は用意されていた。それがレクリエーションとして企画されたクラス対抗の肝試し、イベントらしいイベントに興奮する皆だった。これから驚かし驚かされのイベントが待ち受けているんだと思っていた、そう思っていたのだ……その時にそれは現れた。

 

「な、なんだありゃぁ!!?」

「It’s so big!!?」

「前に木椰に現れたみてぇにすげぇでけぇっ!!?」

 

白亜の装甲の上に青い鎧、金色の甲冑を身に纏った竜人。右半身は闇に侵されたかのような漆黒に染まりながらも血のようなラインが走り抜け、ボディの中央部にはより邪悪な闇が広がり続けている。そして背中からは翼にも見えるような赤みがかった碧の結晶が連なっている。それを見た瞬間にマグナはそれらを構成している全てを見抜きながらも途轍もない事を理解した。

 

「あれはっ……!!くそっ出久俺は洸汰を探しに行く、任せていいか!?」

「分かりました!!」

 

洸汰はまた何時ものように夕食時になると何処かに姿を消してしまった、あんな化け物が出てきている時に一人でいるのにはあまりに危険すぎる。だがガイはその行先に心当たりがある、洸汰を助ける為にこの場を出久に任せたいと述べるとプッシーキャッツの面々と相澤に出久と共に洸汰を助けたら直ぐに合流すると述べると直ぐに森の奥へと駆けだしていく。

 

「出久奴はやばすぎるぞ!!あいつはギャラクトロンの強化型のMK2の力を取り込んでる!!」

「ギャラクトロンって確か平和のために知的生命体を抹殺しようとした!?」

『それだけじゃない、キングジョーブラックにベリアルだと!?最悪すぎる組み合わせだ、そもそもなぜベリアルの力を持っている!!?』

「ベリアルさんのメダルを!?」

 

マグナの言葉に思わずガイも驚愕する、出久は何の話をしているのか分からなかった。まだ話されていない事、M78星雲・光の国が生んだ最恐最悪のウルトラマンとも呼ばれる存在……ウルトラマンベリアル。光の国を壊滅までに追い込んだだけではなく、一度宇宙その物を消し去る所まで……だがその存在は既に無く、永久に消し去れたはず。今宇宙にはウルトラマンベリアルがかつて宇宙中で暴れまわった際に残していった細胞の破片から生まれたデビルスプリンターによる被害が出ているが……それこそベリアル自身が意図した訳ではない。

 

「だけどベリアルさんはジードが……!!」

『ああその筈だ、まさかベリアルの配下の残党!?ええい考えるのは後だ、兎に角あいつを食い止めなければここら一体が消し飛ぶぞ!?出久君、今度は冗談抜きでやばい相手だ、以前のゼッパンドンなんて目じゃない程だ。共に来てくれるか?』

「僕はマグナさんと一緒に何処までも行きます!!皆を守る為に、僕は戦います!!」

「良く言った出久!!俺も洸汰を助けたらすぐに合流する、だが無理はするな!!」

 

走りながらもガイと何度も拳をぶつけ合いながらも最後に握手をした後に出久は止まりながらも振り向き、ガイはそのまま走り続けて行く。森の木々すら目隠しにならない巨大な存在に出久は恐れる事もなくマグナリングを掲げながら戦いへと挑む。

 

マグナァァァァァァァァァァァッッッ!!!!!

 

 

「急げっぐずぐずするな!!」

 

避難誘導を行いながら後方警戒を怠らない相澤、あんな巨大な相手では自分では役に立たない。少しでも遠い場所に生徒達を避難させなければという使命感に駆られながらも皆を誘導している時だった。大地震なんて目じゃない程の壮絶な揺れが大地を揺るがしながらアークギャラクトロンとの間に大爆発が起こったような土煙が舞い上がった。

 

「今度は何だ……!?」

 

また新しい敵が現れたのか、と舌打ちをするのだがそれは直ぐに誤りだったと気づく。土煙のその奥には銀色の巨人が自分達を守るように立っていた。先程の振動はあの巨人が着地した時の物だったと思いながらも生徒達はその存在を口にした。

 

「保須の……巨人」

 

 

「デュオッ!!!」

「キィィィィッッッ―――ァァァァッッッ!!!!」

 

不気味な駆動音を響かせながらも金属が軋んで生まれたような悲鳴染みた咆哮を上げながらゆっくりと進撃を開始する。

 

『出久君、兎に角奴を私達に釘付けにするぞ!!』

『はいっ!!皆に手出しなんてさせません!!』

 

進撃してくるアークギャラクトロン、それに怯む事もなく突進していくマグナ。それに合わせられるかのようにアークギャラクトロンは突然加速するかのように走り出していく殴り掛かってくる。ロボット怪獣を組み合わせたとは思えない程の急激なスピードの変化に驚きながらも咄嗟にパンチを抱え込むかのように受け止める。

 

「ギィィィィッッ―――!!」

「ォォォォォッッッ!!!ダッ!!!ディァァァァアアア!!!」

 

抱え込んで動きが鈍った所へ右腕のランチャーで殴り掛かろうとするが懐へと飛び込むようにしながら膝蹴りをかます。そこから連続でスマッシュを叩きこみ続け、体勢が崩れた所を見計らうと腕を掴んでそのまま全力で投げ飛ばす。がアークギャラクトロンは空中で制動しながら着地するとランチャーと瞳から破壊光線を連発してくる。

 

「デュアッ!!ォォォォォッッッ……ドゥワァァァァァッッ!!?」

 

シールドを展開して防御する、雄英の皆に被害が出かねないので大きめにシールドを展開―――するが直後にランチャーの出力が上昇して中央部をぶち破って胸部へと光線が炸裂し爆発と共に後方へと倒れこむ。更なる光線が撃ち込まれてくる、それに耐えながら立ち上がり光弾を発射するが相手もシールドを展開して防御されてしまう。

 

『こいつっ……想像以上にやばいですよ!?』

『ああっ予想以上だ!!』

 

此方が避難中の皆を守る為にシールドを大きめに展開したのを見て、素早く高出力をシールドの中央部へと照射して突破。これが強豪と称されるロボット怪獣の中でも屈指とも言われる二体を併せた存在の力だと言わんばかりの強さに流石のマグナも驚く。だがそればかりではない、負ける訳には行かないのだからと立ち向かう。それに合わせるように歩み始めるアークギャラクトロン、だが突如として背中の結晶体を輝かせるとそこから赤黒い雷の雨をマグナへと振らせていく。

 

「グゥッ!!ァァァァッッ!!!ォォォォォッッッ……デュオォッ!!!」

 

雷の一本一本がまるで光線のような凄まじい破壊力を秘めている、雷撃を浴び続け苦しむ声を上げるがそれでもマグナは足を止めない。寧ろダメージを負いながらもその雷撃のエネルギーを利用するかのようにそれらを腕へと集めていた。そしてそれらと自らのエネルギーを集めながら巨大な赤黒くも青白い光を放つ特大の八つ裂き光輪を作り出すとそれをアークギャラクトロンへと発射する。それに反応して先程と同じようにシールドを展開する、通常の八つ裂き光輪では突破出来ないだろうがアークギャラクトロン自身のエネルギーも利用したそれはシールドを見事打ち破って肩のシールド発生器官と結晶体を切断する。

 

「ギィィィィッッ……!!!」

「デュアッ……ォォォッッ……!」

 

反撃に成功した、と思ったのもその時だった。マグナは膝をつき、苦しみに悶える声を上げてしまった。

 

『マグナさん、大丈夫ですか……!?』

『何、この程度……Uキラーザウルスに比べたら……!!』

 

―――ざまあないなマグナァ……その苦痛に歪んだ声、ぁぁっ実に愉快、それを聞きたかった……!!

 

声が聞こえた、邪悪で悪意に満ち溢れ全てを見下したような狂気に塗れた声が。それは目の前にアークギャラクトロンから発せられているように感じられる。

 

『マ、マグナさん声が!!』

『ああっ……私にも聞こえる……そしてまさか生きていたとは……』

 

―――あの程度では死なないさぁ……君も詰めが甘いねぇ……それで勇士司令部所属の戦士とは笑わせてくれる!!もう一度、あの時のように悲鳴を聞かせてくれ、哀れにも大切な人を守る所か守られて、目の前で消えた時のあの慟哭を!!

 

『生憎だがもうあんな声を上げるつもりはない!!行くぞ出久君!!』

『はいっ!!!』


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