緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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光の怒り、狂気の叫び。

―――アハハハハハッ!!如何したこんな物か、あの時の貴様はもっと鮮烈だったがねぇ!!

 

『大体お前のせい、なんだがな!!!』

 

僕にとってのマグナさんは理想とするヒーローで相棒。オールマイトよりも向けている憧れは大きい、何せマグナさんは他の星からこの星にやってきているウルトラマンでその中でもエリート。その凄さは一緒にいればいる程に実感する、だけど―――

 

「デュアアアアア!!!」

「キィィィィ!!!」

 

僕はマグナさんの何を知っているのだろうか、思えば勇士司令部に所属していてそこでの任務なんかの話は聞いたがマグナさん自身の事はあまり聞けていない気がする。辛うじてお見合いの話がそれに当たると思うけどそれだけ、何で今こんな事が気になってしまうのか……それは一心同体となっている僕だからこそ分かる事なんだと思う。今戦っている相手とマグナさんは浅からぬ因縁があるだけじゃない―――こいつは―――

 

 

『―――救おうとしてこの手から零れ落ちて目の前で散った命を見た事だってあるんだ』

 

 

あの時聞いた話の中にあった命、それはマグナさんにとって掛け替えも無い程に大切な人の事だったんだと。

 

 

「ダァダァダァダァダァッディアアアアア!!!」

 

連続されて放たれていくスマッシュの連打、それらを一転。右腕の付け根に集中させていきながらそこへ回し蹴りをブチ当てる。すると激しい火花と共に右腕が内部の回路とケーブルを露出させながら伸びてしまう。大きな損傷を与えられたと思った直後に超至近距離から左腕のランチャーを接射される。

 

「ドウァァァア!!!」

 

超至近距離からの砲撃によって防御も儘ならず諸に喰らいながらも吹き飛んだマグナは大地に叩きつけられる、その衝撃で土煙が上がる中にアークギャラクトロンはボロボロになっている右腕にエネルギーを集めながら魔方陣を展開させた。そしてそこから無数の腕へと分裂したかのような超高速の連打がエネルギー弾となってマグナへと降り注いでいく。山を焼き、大地を爆ぜさせながらもマグナを追い詰めていくその砲撃。だがそれも次第に限界が来たのか右腕が大爆発しながら吹き飛んでしまった。

 

「グッ……ォォォッッ……ァァァァッッッ……!!」

 

砲撃の雨あられを受け続けていたマグナ、その声にも苦しみがかなり滲み出している―――そしてその時だった。ウルトラマンの象徴とも言える胸のランプ、カラータイマーが青から赤へと変貌しながら点滅し始めた。その時に一体化していた出久も息苦しさと動悸が起こり始めていた。今まで数回マグナと変身しているがこんな事は初めてだった。

 

『何だ、急に……』

『くっ不味いな……私のエネルギーが危険域に入ってしまったらしい……』

 

カラータイマーはウルトラマンにとって宇宙警備隊隊員の証というだけではない、それはウルトラマンの残存エネルギーを示すものでもある。それが少なくなれば色は赤へと変貌し危険信号を発し始めて行く。これまで地球での戦いで一度も鳴らす事が無かったマグナがそれを鳴らした、少ない情報でもそれを察した出久はこの敵が強すぎる事を察する。そしてそれを見るとアークギャラクトロンは狂ったように笑い始めた。

 

――良い様だぁなあねぇマグナァァ!?嗚呼っそうだそうだよその姿が見たかったんだよ!!あの星でのように、あの星の終わりの時のように!!

 

『ぐっ……黙れ、もう二度とお前に何かを奪われてたまる、ものか……!!!』

 

―――もう遅いさ、もう我々は奪っている!!

 

『奪って、いる!?』

『貴様、何をした!!?』

 

出久とマグナの反応を見て狂った笑いを叫びへと変えて辺りに不吉な笑いが木霊する、それは成し遂げられた悪意の所業を祝福するような凶報だった。それを裏付けるかのようにガイからのテレパシーが送られてきた。

 

『(マグナさんに出久聞こえるか!?すいませんこっちも洸汰を狙ってたヴィランを退治してたら連絡遅れました!!)』

『ガイさん洸汰君は!?』

『(怪我一つしてないさ、だが不味い事になっちまった……爆豪が攫われちまったらしいんだ!!)』

『なっ!!?』

『そ、そんな!!?』

 

このアークギャラクトロンの出現自体がそれを容易に運ばせる為のお膳立てであった。巨大な怪物で目を引き付けて、別動隊が確保に動いたらしい。だが爆豪の確保自体かなりイレギュラーだったらしい、当初は轟と常闇が狙われたらしいが相澤たブラドキング、そしてプッシーキャッツらに活躍によって防がれたが最後っ屁で爆豪が確保されてしまったとの事。

 

『そ、そんな……カッちゃんが……!?』

『(俺がもっとヴィランを倒していたら……申し訳ありません!!)」

『いや、ガイ君は何も悪くはない……君は全力を尽くしてくれていたんだ……!!』

 

そう言いながらもマグナの声は震えていた、出久は幼馴染が攫われたという事実に驚愕し強いショックを受けていた。そんな所へと響き渡る狂った叫び、それが唯々両者の心へと乾いた木霊となった。

 

―――何が光の巨人だ、何が平和の使者だ。お前は何も出来ず、何も救えない。そうだマグナお前は何も出来ずにまた私に敗北したのさ、爆豪君とやらを助けられなかったのも何もかもね!!

 

『黙れ……マグナさんの事を、何も知らないくせに……悪く言うな……!!」

 

怒りだった、後悔だった、何もかもが悔しかった。同時に目の前の存在が許せなかった。

 

 

―――思い出さないかい……マグナァ……そう、アサリナを助けられずに君の腕の中で消えていった時をさぁっ……!!!

 

『っ―――僕は……』『っ―――私は……』

『『お前を許さない!!!』』

 

「ディアッ!!」

 

衝動に突き動かされるがままマグナは飛び掛かるかの如く蹴り込んだ、既に片腕も無くまともに防御姿勢も取れないアークギャラクトロンは防御する気もないのかそのまま攻撃を受けた。そしてその身体に無数の閃光が走っていきく一気にその力が増大されたかの如く、残っていた右腕を肩から全て引き千切った。

 

「キィィィィッッッ!!!!」

「デュオッォォオオオオオオ!!」

 

調子に乗るなと言わんばかりに向けられたランチャーを逆に掴むとそのままジャイアントスイングの要領で振りまわしながら一気に真下へと叩きつけた。再度立たせながら今度はフェイスクラッシャーの後に強烈なアッパーカットを浴びせ掛けて吹き飛ばす。各部からスパークを引き起こすアークギャラクトロンは立ち上がりながらもチャージを行いながらランチャーを差し向ける、避ければ被害が出るかもしれんぞっと言わんばかりの挑発に敢えて乗る。

 

「デュワッ!!シェァァァァッッッ……ディィアアアアアアア!!!」

 

それを真っ向から立ち向かってやると言わんばかりにマグナリウム光線が発射されると全く同時に砲門に複数の魔法陣が展開されその中心からアークギャラクトロンの最終兵器、ペダニウムアークランチャーが発射された。マグナの赤い光線とは違う赤黒い闇の光が放たれ激しくぶつかり合う。赤黒い光線がマグナリウム光線を押し込み始めるが―――

 

『まだまだ、まだまだまだまだァ!!』

『私達を、舐めるなぁぁぁぁぁぁ!!』

「デュゥゥゥゥッッ……ディァァァァアアア!!!」

 

一気にマグナから溢れるエネルギーが激増してペダニウムアークランチャーを飲み込んでいきながらアークギャラクトロンへと光線がぶつかっていく。自らの最終兵器のエネルギーさえ帰って来た為に装甲は一気に崩れ去りながら各部が大爆発を起こしていく。

 

―――ハハハハハッッだがもう私の勝ちは決まった、今回はこれで満足しよう!!では近いうちにまた会おうじゃないか、今度はもっといい奴で君の相手をしてやるよ!!楽しみにしてウルトラマンマグナァァァァァァァッハハハハハハハハ!!!!

 

 

山々を昼間に変える程の光を発しながらもアークギャラクトロンは一気に光の粒子へと変換されて消えていく。脅威は排除されたが、まだ終わっていない。マグナは変身を解除し、出久と共に急いで皆の元へと合流したが……そこにあるべき筈の影はなかった……。


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