緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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破滅狂騒曲

「ディアアアア!!!」

「ウォォリアアア!!!」

 

「キィィィィイッッ!!!」

 

二大巨人は現れた巨大な怪獣へと激突する。ベリアル融合獣・サンダーキラーの超強化と言うべき存在、ベリアルの力にアウローラがマグナの抹殺のみを目的として作り上げた対ウルトラマンマグナロボット超人、マグナキラー。それらに滅亡の邪神とも呼ばれる最悪とも呼ばれる怪獣の一柱、ハイパーエレキングの力が合わさり生み出されたライトニングマグナキラー。それらに果敢と飛び掛かるマグナとオーブ。

 

右腕の巨大な鉤爪を振りかざし切り裂かんと迫る、それを回避しながらも胸元へと攻撃をブチ当てる。連続してオーブが飛び掛かるような飛び蹴りを繰り出して僅かに後退りさせる。直後にオーブは超高速で動き回り残像を生み出しながら全周囲を取り囲むとその中央への向けて一斉に紫色の八つ裂き光輪、スペリオン光輪を放った。

 

「キィィィィィ!!!」

 

舐めるなぁ!!と言わんばかりにライトニングマグナキラーは頭部のアンテナから夥しい量の雷を巻き起こしそれらをまるでバリアのように展開すると全ての光輪を撃ち落としてしまった。この程度かと言わんばかりの態度のそれにオーブは全く焦っておらず―――逆に本命がそこへ叩きこまれた。

 

「ディアアアアアアアアアアア!!!!」

 

加速したマグナが一気にそこへと蹴り込んだ、だが再度バリアが展開されるが全く構う事もなく一気に蹴りをぶち込む。一瞬止まりかけたが強引にバリアを突破しながら胸部へとマグナスマッシュを炸裂させる事に成功した。 

 

 

「SMASH!!!」

 

マグナ達に負けてられんとオールマイトも全身全霊で戦い続けていた、眼前の巨悪に立ち向かい続ける平和の象徴。その一撃は何処からともなく出現、いや転送してきた量産型の脳無をあっという間に蹴散らしながらもその喉元へと迫ろうとする。だがそこへオール・フォー・ワンの指が赤黒く変色しながら鋭い槍のようになりながら伸縮しながら一気に迫ってくる。

 

「如何した如何したオールマイト、ウルトラマンの力を借りなければ僕を倒せないのかな?」

「借りているのではない、共に戦っているんだぁ!!」

 

事実、オールマイトの身体はマグナのヒーリングパルスによって支えられていると言っても良いだろう。本来ならば3時間を切る筈の活動制限を大幅に増加させているそれらに今も頼っている、そのお陰もあってこうしてオール・フォー・ワンとも戦う事が出来ている……感謝してもしきれない程にマグナには大恩がある。だから今回マグナに協力してもらうのは申し訳ないと思っていた―――だが違った。

 

『ウルトラマンがヒーローを助けるのではない、私達と人間が力を合わせて戦うんです』

 

そう言われた時思ったのだ、彼らでも倒せない者はいる。そして自分達でも倒せない者はある、そしてだからこそ助け合うのだと。だからこそ自分は―――!!

 

「私は貴様を全力で倒す―――私を信じてくれている方々の為にも、私を支えとしてくれている方々の為にも―――お師匠の為にも!!」

「っ!!」

 

精神は時に肉体を凌駕し始める、そして同時に精神が肉体を引き連れて更なる次元へと連れて行く。特にワン・フォー・オールは精神的な部分が相当に影響が出る、オールマイトの中にあるのは残滓ではあるがマグナの力も影響しているのかその力は相当に強く精神的な強さが顕著になればなる程にそれが大きくなっていくのを感じた。放たれた一撃を寸でで躱しながら右手でオール・フォー・ワンの腕を握り潰さんとする勢いで鷲掴みにすると片腕のみだが怒涛のスマッシュのラッシュを繰り出していく。

 

「ウオオオオオオッッッ!!!!ULTRA STAR SMASH!!!」

「―――ぐっ!!」

 

片腕だけで放たれる怒涛のラッシュ、今まで声すら揺らがなかったオール・フォー・ワンが初めて揺らいだ。拳の一つ一つが星々の煌きような光と力を纏いながら放たれてくる。全盛期、即ち自らを倒した時のオールマイトよりも弱い筈―――なのに何だこの圧倒的なプレッシャーと力は、とオール・フォー・ワンは驚きながら蓄積していくダメージに驚きながらもカウンターを試みる。

 

「衝撃、反転!!」

 

一撃が炸裂するごとに衝撃がオールマイトへと反射される、それは明確に効いている―――筈なのにラッシュは止まらない。

 

「私はもう、後退りなどしない!!前進し続ける、そしてともに守る為に戦うのだマグナさん達と共にぃぃぃ!!!」

「(っこれは―――!?)」

 

衝撃反転は確かにされている、オールマイトにもそれは伝達されている筈―――なのに何故攻撃の手が緩まないのか。それはオールマイトが戦いながら成長していた、全盛期は既に過去の産物となっている筈なのにオールマイトは更なる力を、いや技術を無意識的に身に着けていたのである。体内を巡り続けるワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンの衝撃反転で反転されてくる衝撃を体内を循環している力をぶつけて相殺し続けている。常人離れした神業としか言いようがない。

 

「DETROIT SMAAAAAASH!!!!」

「グゥッ!!!」

 

遂に呻き声すら上げながらオール・フォー・ワンが吹き飛ばされる、瓦礫へと叩きつけられながらも頭部のマスクが瓦解しその顔が露出する。顔の大半が砕かれて瘢痕で覆われ口元以外は人間とは思わない程にグロテスクな素顔が露わになりながらもそれに向けてオールマイトは地面を踏みしめながら叫ぶ。

 

「立て、オール・フォー・ワン!!!もう私は一人ではない、今の私は過去の私よりもずっと強い!!!」

「ハ、ハハハハハハ……」

 

確かにそうだ、今のオールマイトは以前の自分との決戦よりもずっと強くなっている。何が彼をそこまで変えた、そうウルトラマンだ。宇宙の遥か先、M78星雲・光の国からの使者が此処まで平和の象徴を強くしたのだ。それが示した正義と光の意志が……全く以て粋な事をしてくれるじゃないか―――だった先ずはそれを砕こう、それも直ぐに。

 

「ォォォオオオ!!!?」

「―――っ!!?」

 

その時、激震と共に瓦礫が舞う。思わず其方へと目を向けるとそこには―――吹き飛ばされ、叩きつけられたマグナの姿があった。そしてそこへ馬乗りになるかのように幾度も幾度も拳を叩きつける巨大な怪物の姿が……。

 

『ぐぅぅっっ……!!私のキラーというのは伊達ではないという事かっ……!!』

『半端なく、強い……!!』

 

先程まで、利いていたと思っていた攻撃の全ては全く利いていなかった。宇宙怪獣と思わせながらも内面は何方かと言えばロボット怪獣のそれだ、生物の皮を被った機械生命体……と言うべきだろうか。そしてこの圧倒的なまでのパワー……自分への対抗策を持ちながらそれらを十全に活かす圧倒的な出力がライトニングマグナキラーを支えていた。

 

『スペリオン……光線!!!』

 

背後からオーブのスペリオン光線が炸裂する、それで小揺るぎこそするがそれだけ。実害は殆どない。防御の面が圧倒的過ぎる。このままではジリ貧だとオーブは姿を変える。それはギンガとエックスの力を借りた圧倒的なパワーを持つ姿。

 

『電光雷轟、闇を討つ!!』

 

ライトニングアタッカーへと姿を変えつつも背後から掴み掛った、まるでウルトラセブンへと襲い掛かるキングジョーのように攻撃するマグナキラー。それからマグナを救う為に。だがそれでも全く動こうとしない。

 

「キィィィィイッッ!!!」

 

邪魔をするなと言わんばかりに全身からあらんばかりの雷を放出していく、それはマグナを襲いながらもオーブへも降りかかっていく。だがライトニングアタッカーであるオーブへと対したダメージには成り得ない―――だがマグナには違った。

 

「ドゥワァァァァァァァッッッ!!!??」

「キィィィィイッッ!ギィィィィィイイイイイ!!!!」

 

その悲鳴を聞きたかった、そうだもっと聞かせろ!!とアウローラの声が聞こえるようだった、更に長い尾がマグナへと巻き付かれると更なる電流が襲いかかっていった。そして―――マグナのカラータイマーが赤くなり響き渡った。

 

『マグナさん、出久ぅぅぅ!!!』

 

―――そうだ、その声だぁ!!アサリナを失った時もお前はそんな声だった、そうだもっとだぁぁぁ!!!

 

さらに強まる電撃、闇の炎のようなエネルギーまでもがマグナを襲いカラータイマーの響きは更に早く、弱くなり始めて行く。心臓の鼓動にも似たその響き、それは―――ウルトラマンの死を暗示させるかのようだった。

 

『まずい、出久君今直ぐ私から分離しろぉ!!!』

『な、何を言うんですかマグナさん!!?』

『このまま、では……君の身体が持たない!!』

 

絶え間なく襲い続ける電撃と闇のエネルギーと太陽の如き熱エネルギーが直接襲い続けている、何とか耐えられているがそれも何時まで持つのか分からない。ガイも必死に光線技などをぶつけて引き剥がそうとしているが元々がアンチマグナを目的とされている者、自分のマグナニウム光線を耐えうるだけの力を持っているからかアタッカーギンガエックスでも大した効力を発揮出来ていない。

 

『これ以上の戦いは、もう君の身体が、持たないんだ……!!だから、君だけでも―――っ!!!』

『何でそんな事言うんですか!!?一緒に戦おうって、言ってくれたじゃないですか!!?僕が一人前のヒーローになるまで一緒だって言った癖に、嘘は言わないんじゃなかったんですか!!?』

『言い合いなんてしている暇などないんだ!!』

『いやです、僕は最後まで戦います!!!』

 

強制的に出久だけでも逃がそうとするマグナのそれを精神力だけで拒絶する出久、それに驚きながらもマグナは本気で焦った。冗談抜きでこのままでは出久を死なせる事になってしまう。

 

「ォォォォォ―――……ァォォォォォ……!!!」

 

『最後まで、戦います!!!ワン・フォー・オール・フルカウルゥゥゥゥウ!!!!』

『この、大馬鹿野郎がぁぁぁ!!!!』

 

最後の力を振り絞るかのように、ワン・フォー・オールを共に発動させる。全身に漲る力に任せて強引に首へと巻き付く尾へと手を伸ばし、有らん限りの力でそれを―――引き千切る。

 

「ォォォォォォッッ……ダァァァァァ!!!!!!」

「キィィィィイッッ!!!??」

「シャオラァァァ!!!!」

 

『アタッカァァァァギンガエックスゥゥゥゥウウウウウウウウ!!!!!』

 

今だと言わんばかりに最大出力で自らの雷撃と光線を放つ、それによって遂にライトニングマグナキラーを引き剥がす事に成功する。後退していくそれとマグナの間に盾のように入るオーブ、もうこれ以上は好きにさせないと言わんばかりのそれにアウローラが怒りの声を響かせ更なる雷撃を放った。それはオーブを避けるように湾曲し―――マグナのカラータイマーへと直撃した。

 

『マグナさん、出久!!?』

 

「―――ォォッ……」


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