荒ぶる閃光が撃ち抜いたのは―――巨人の身体、いや魂か。輝ける歪んだ光によってカラータイマーに無数の罅が入り、灯っていた光の色が失せた。それらを目の当たりにしたのは同じ巨人、オーブだけではない。テレビ局のヘリからの撮影映像、それらに乗って日本全国へとその事実が拡散している。幾度も立ち上がった保須の巨人、それが今―――倒れようとしていた。
「マグナ、さん―――そんなっ……!!!?」
それはオールマイトも同様だった。彼がやられた……!?その事実に言葉が出なくなった、撃ち抜かれたカラータイマー、灯らなくなった光のまま終わろうとする巨人を見つめたまま呆然としてしまった。それに困惑し動きを止めたのはオーブも同じだった……。
「笑顔は如何したぁっ……!?矢張り楽しいな、一欠けらでも奪えただろうか……!?」
「そん、なっ……」
言葉を失い、立ち尽くす。それは唯単にマグナが倒れたからではない。信じられないような真実が同時に伝えられたからだった、もう既にオールマイトの心の中はぐちゃぐちゃだった。ロクな思考も出来ずに前に進む事も出来ずかと言って後退り事もない。完全な思考停止状態へと陥り、如何したらいいのか全く分からなかった。
「オォォォォシャアアアア!!!」
―――俺の名は、オーブ……ウルトラマンオーブ!!!
その時、ライトニングマグナキラーへとたった一人立ち向かい続けているオーブが誰にも聞こえる声で叫びをあげた。先程までの姿とは違ったその姿が彼の真の姿とも言えるものであり、本当の意味での自分―――自らの名を冠する聖剣を手にしながらアウローラへと立ち向かい続けていた。
―――まだだ、まだ終わってない!!!そう言ったのはアンタだろう、マグナさん!!!生き抜いてまた逢おう、そう約束しただろうがぁ!!!
誰にも聞こえる声で叫び続けるオーブ、いやガイ。ウルトラマンオーブ、それが自らの名である叫びつつもマグナへの思いを吐露した。その巨人が自分達と同じように喋れるという事実にその放送を見つめる皆が驚く中で真っ先に声を上げたのは彼に助けられた者達だった。
「負け、ないでっ……私は貴方にもう一度会いたかった、それなのにそれをこんな所で終わらせないでぇ!!!」
「マグナさんっ―――私は、私は……戦い続ける!!例えどんな事があろうとも、どんな苦難であろうとも、私は人間だから!!人間はウルトラマンである貴方達に助けられっぱなしなんかではない!!貴方がピンチだと言うならば今度は私が、私が貴方を助ける!!!」
Mt.レディが涙を流しながら叫ぶ、オールマイトが有らん限りの声で叫んだ。自らを擲ち危険へと飛び込んで人々を救い続ける神秘の巨人、ウルトラマン。そして倒れた巨人―――マグナ、彼への思いが爆発する。命を救われ、その存在へ恋をしたMt.レディ。何れ作られるという対超巨大ヴィラン組織への参入も本格的に決めた彼女が叫ぶ、オールマイトの雄々しい声が轟いた。そして同時に―――それは大きな波となって日本中へと波及する。
「無駄さオールマイト、巨人は死んだ。君も分かっているだろう……君の師のように、死んだんだよ!!」
「違う……違う!!!」
拳を握る、全身に力が漲り溢れる。これは怒りか、違う。これは誰かを想う光だ、ワン・フォー・オールの本質とも言える力を感じながら構えを取った。
「ウルトラマンは―――負けないんだっ!!!」
その言葉を皮切りに、全国各地で声が溢れた。それは保須から始まり、一気に全国へと伝播していく。圧倒的な敵へと立ち向かうウルトラマンへの声援が嵐となって、光となって溢れて行く。
「立ってぇっ!!」
「アンタが倒れたら今、お仲間、オーブはどうなっちまうんだよぉ!!!」
「頼むもう一度立ち上がってくれぇぇ!!!」
溢れて行く、光が―――。人間はウルトラマンと同じ光になれる……それが証明している。
「オール・フォー・ワン……貴様は日々暮らす方々を平和を貪る愚民と笑うだろう、だが違う―――!!感謝しているんだ、今ある平和に感謝しながらそれが続くようにと願っているんだ……そしてその願いを叶える為に、一人でも多くの笑顔が見たいから我々は戦うんだっ……!!!だから立ってくれっ!!!」
『ウルトラマンッッッッ!!!』
―――、―――。
声が、聞こえる……自分の名前を呼ぶ声が……酷く懐かしくて、ずっと聞いていたい声が……。でももう聞こえる筈もない声が……。
―――マグナ、ほら起きてってば……起きんかぁぁ!!!
「ガガブファ!!?」
頬を殴られる感触と共に目が覚めた。突然の痛みに困惑しながらも身体を起こす、そうだ自分はまだ戦っている筈だと。周囲への確認をするとそこは―――無数の光に満ちている白亜の空間。感じた事もないような空間の存在感に驚きながらも隣に出久が倒れている事に気付く。
「出久君、出久君!!」
「―――フルカウルゥゥゥゥウ!!!」
「うわっビックリしたぁ!!?」
突然立ち上がりながらフルカウルを発動させる相棒に飛び退くようなリアクションをしながら驚愕する。だが出久も直ぐに我に返ったのか周囲を見回しながらマグナへと困惑したように問う。
「マ、マグナさん此処は何処なんですか!!?もしかしてあの世ですか!!?」
「縁起でもない事を言わないで……いやまあウルトラ兄弟の方々とか死に掛けたっというか死んでる事が多いけど……」
「やっぱり地獄ぅ!!?」
―――ううん地獄か、まあ否定しきれない辺りがあれだねぇ。
「「ッ!!」」
突然の声に振り向きながら構えを取る二人、その構えが瓜二つだった事が酷く愉快なのか背後にいた光は声を上げて喜んだ。何て愉快だろうか、確かにこれは相棒に相応しいと認めながら……その姿を露わにした。
「まさか、君はっ―――!!?」
「えっお知り合いですか!?」
―――お知り合いっていうか大親友だったよ、僕たちは。
光は人の形へと変化していった。それはマグナと同じように銀色の身体に赤いラインが走るシルバー族の特徴がハッキリとあった、だが女性的にラインに加えて胸に膨らみがある為に女性だという事が見て取れた。そしてそれを見るとマグナは言葉を失ったように立ち尽くした。
『また、逢えたねマグナ。君が僕の事を忘れてなさそうで安心したよ』
「忘れる、訳ないだろう……馬鹿ッ……」
『ごめん分かってたけど聞いちゃった』
「アサ、リナッ……」
そこに立っていたのはウルトラウーマンアサリナ。マグナの大親友にして彼が守る事が出来ず、逆に守られる形で命を散らしてしまった同じく勇士司令部所属のウルトラ戦士。出久もアウローラが言っていた言葉からこの人がマグナさんの大切な人……と呆然としていると肩を優しく叩かれた。振り向いてみるとそこには酷く優しそうで暖かな笑みを浮かべたコスチュームを纏った女の人が笑いながら此方を見ていた。
「だが何故君が……私は、出久君すら守れずに死んだのか……!?」
『ううん違うよ、そもそも君達は死んでないよ。それに僕はずっと君と居たんだから』
「私と……?」
アサリナは一度出久の方を見てから笑ってから言った。共に挑んだ任務、崩壊する星から人々を救う為に戦っていた時、避難船を守る為にマグナは暗躍し星一つを崩壊させる力を生み出したアウローラの放った一撃を相殺したが、直後にそれを超える攻撃から避難船にした自分達を守る為に身を盾にしようとした―――が、アサリナがそれを務めた。その時、彼女の命は消えた。だがその時に彼女の光は全てマグナと一つとなっていた。
『ずっと一緒に居たんだよ僕は、ねっ菜奈さん』
『フフフッそうだね』
アサリナの言葉に応えた女性は菜奈というらしい、と出久が思う中でそう言えば出久だけが彼女の事を全く知らなかったと思いながらマグナが教えてあげようとするのだがそれを止めながら菜奈自身が出久へと語りだした。
『初めましてだね緑谷 出久。俊典が選んだ君と何時か話したいと思ってんだ』
「俊典ってオールマイトの……」
『志村 菜奈。ワン・フォー・オールの七代目継承者、つまり君の師匠のお師匠様って訳さ』
「えええええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっっっっっっっ!!!!!!?????」
顔がムンクの叫びよりも凄い事になりながらも全身でリアクションする出久に菜奈は思わず吹き出しながら笑った。そして少しばかり崩しながら頭を撫でながら語る。
『何時もアサリナと一緒になって見させて貰ってたよアンタらの道中を。本当によく頑張ってるよ』
『うんうんっねえねえ聞いてよマグナ、菜奈さんってば出久君の活躍とか見ると凄い嬉しそうにしてるんだよ。後オールマイトさんの情けない所とか見てもう大笑いしたりね』
『それを言うならアサリナも同じじゃないかい?マグナさんが活躍するたびに大騒ぎして私の身体を叩いて一緒に応援しようとか大騒ぎしてさ』
『キャアアアアッ菜奈さんそれは内緒って約束じゃないですかぁぁぁぁっっ!!?』
『お返しだよ』と鼻で笑う菜奈と『酷いですよぉ!!』とポコポコと身体を叩くアサリナに思わずマグナと出久は顔を見合わせると大きな声で笑いだしてしまった。何だよこれは、さっきまで大騒ぎしていたのに何だこの空気は、楽しくて嬉しくてしょうがないじゃないかと光で満ち溢れていた。それにつられるように二人も笑いだした。
「でもオールマイトのお師匠様がこんな綺麗な人だなんて……オールマイト一言も言ってくれなかったですよ!?」
『全くあいつってばその位話してやればいいのにさぁ……まあこうして話せるのも予想外でね、アサリナの光を受け継いだマグナさんの力もあってこうして話せるんだよ。まあこうしている大分イレギュラーさ』
「アサリナ云々は知らなかったけど私は知ってたよ菜奈さんの事は、ちょくちょく顔合わせてたし」
「何で教えてくれないんですかぁ!?」
『マグナってば意地悪じゃない?』
「君ほどじゃない、一緒に文明監視員になろうって言ったのに突然進路変更した君に言われたくない」
『ヴッそれを言われると……』
そんな談笑を暫くし続け、笑い続けているとアサリナが切り出した。
『まあそんな話をする為に此処にいる訳じゃないんだけどね、マグナに出久君。君達はまだ戦うつもりはある?』
「当然、アウローラをまだ倒していない」
「僕もマグナさんと同じ気持ちです」
出久の変わらぬ態度にマグナは呆れを一周回った尊敬さえ感じていた。あれだけ危ない状況にあって、心臓部とも言えるカラータイマーを撃ち抜かれているのにまだ戦うという選択肢を取れる相棒に感謝すべきなのか、それとも大馬鹿野郎と怒るべきなのか酷く迷うどころである。そんなクソ度胸な出久にアサリナと菜奈は大いにそれでこそヒーロー、ウルトラマンの相棒だと褒めるのであった。
『だったら戦えるさ、マグナさん―――ワン・フォー・オールを出久と一緒に継承してくれないかい』
「継承……?」
『ワン・フォー・オールを本当の意味でウルトラマンの力と一緒にさせる、継承いや新しいワン・フォー・オールを作り上げて欲しい』
「新しい―――」「―――ワン・フォー・オールを」
その言葉に二人はどれだけ困惑した事だろうか、だが同時に感じ取った。それこそが自分達のすべき事なのだろう、それがどんな意味となるのかも理解しながら……強く頷くと菜奈の背後に新たに6人が姿を現した。その内の一人、スキンヘッドの男は出久によぉっ!!と声を掛ける。それに出久は覚えがあった、バキシマムの時にマグナは大丈夫だと勇気づけてくれた声だ。菜奈が腕が差し出した、そこへワン・フォー・オール歴代継承者たちが同じように手を差し向ける新たな光が生まれた―――そこへアサリナが融合するかのように飛び込んでいく。
―――マグナ、これが僕たちの総意だよ。頑張って、僕はずっと君を応援してるから……。
その言葉に思わず出久はマグナを見た、分かっている筈だがマグナにとってそれがどれだけ辛い事なのか……だが受け入れた。前に進む為に、今を救う為に。光は更に強さを増しながら出久とマグナへと纏われていき、徐々に身体へと浸透していく。それらが全て身体へと取り込まれた時―――二人は顔を見合わせながら並び立ちながら前を見た。その背後には同じように菜奈たちが続くように立ち並び―――そして叫びを上げる。
「願うは平和!!!」
「悠久の想い!!!」
「シュアアアアア!!!」
オーブカリバーを振り抜きながらたった一人でライトニングマグナキラーへと立ち向かい続けるオーブ、それを嘲笑うが如く立ち続けるアウローラ。それに対して聖剣に宿る力を解放しようとした時だった。先程までマグナが倒れていた場所から溢れんばかりの輝きが空へと伸びていった。
『な、なんだ!?』
「あの光は―――!!」
光は柱となりながらも満ち溢れている光を集わせながら、それらを一つへと変えていく。無数の閃光が走る中、誰もが目を奪われ言葉を失う中、光は天から降り注ぎ大地へと降り注いだ。その光の奥に潜む光は嘗てない程に物を秘めていると言わんばかり、まるで光の国のような輝きを放ちながら現れようとしていた。
―――まさかっ、あり得ないっ……!!!
狂い果てた怒りが烈火となって雷を呼ぶ、それが光へと向かうが光はそれらを全て消し去りながらその奥に潜ませた真の姿を現した。
「あれは―――マグナさっいやあれはっ……!!」
「まさか……っ」
全身を包む閃光の輝きをその身に宿し、胸に輝く鎧にはそれらが形となる。集う八つの輝き、それらの中央に鎮座する宝玉は失われた輝きを一層強くしながら輝かせる。その身体に走り続ける光、雄々しくありながらも華奢で美しくあり得ないそれを体現する神々しさにある者は見惚れ、ある者は祈りを捧げる。その姿にオールマイトは―――自らの師、オール・フォー・ワンは自らが殺したオールマイトの先代、志村 菜奈の姿を想起した。
『一人は皆の為に、そしてその力の願いは平和へと繋がっていく』
『ウルトラ・フォー・オール……行くぞ出久、戦うぞ!!』
『はいっ!!!』
「―――ォォオオオオッッッ!!!」
やりたい事を詰め込んだ結果、凄い長くなった。でもこれがやりたかったの。