「―――まさか、個性の出現によって消滅したとされる宇宙への切符、その果ての果てに邂逅するであろう存在と今こうして会えるとは……人生とは分からない物だ」
『それは我々ウルトラマンとしても同じ意見です、それ程までにこの地球の存在は不思議だ』
場所を変え、普段自分達が使っている特訓場所である海浜公園へとやって来た出久達。ガラクタに囲まれている一部は二人が改造して即席の椅子やテーブルなどが置かれて簡単な休息が取れるようにされている。そこでホログラムのような姿として現れたマグナと直接対面しながらオールマイトは彼の故郷の事、如何して地球に来たのかという話を聞いている。
人類社会で超常を発現させる者たちが突如増えだした混乱期。個性による混乱が無ければ人類は惑星間旅行を楽しんでいたという学者も多くいる中で当時からすればもう宇宙人という言葉はある種のいじめの様な言葉として扱われていた、それも何時の間にか無くなっていたがもう既に宇宙への執着が何処か薄くなっている今、目の前に本物の宇宙人がいるという事でオールマイトは今まで感じた事も無いような不思議な高揚感に溢れかえっていた。
「しかしウルトラの星と言うのは凄いのですな!!種族全体が最早聖人レベルとは……いやはや地球人としては恥ずかしい限りです」
『いえ寧ろ我々の方が異質なのでしょう、地球人の方が当然とも言えますよ』
「そう言って頂けると幸いです……」
とオールマイトは一貫して敬語を貫いていた、マグナ自身は相棒である出久の憧れの人なのだから敬語など必要はないと言ったのだが……年上を敬って接するのは常識である一般的なマナーだと説かれてしまった。彼自身も出久と同じく9000歳のマグナには上に出にくい、光の国ではまだまだ若い部類だと言っても信じられず、宇宙警備隊大隊長である
「でもやっぱり改めてマグナさんの凄さが分かりますよ!!」
『おいおい勘弁してくれよ出久君、私なんぞウルトラ兄弟に比べたら月と鼈さ』
「まだまだ上がいるとは……」
「やっぱりそんなに凄いんですかウルトラ兄弟って方々は……?」
『ウルトラ戦士の中でも伝説中の伝説さ。宇宙を掌握しようとする数々の宇宙人や凶悪な怪獣などを倒してきた栄光のある方々だ……私の永遠の憧れさ』
それを聞いて矢張り自分等の存在はまだまだ宇宙としては小さい方なのだと再認識をするオールマイト、と言っても流石に比較対象がウルトラマンにしてしまうと大抵の存在がそうなってしまう。同じ宇宙人であっても地球人と同じサイズならばこの星でも十二分に戦えるものは割といると言われると矢張り宇宙は広いのかと感心するように頷く。そんな話から遂にオールマイトは本題とも言える話を切り出した。
「それでマグナさん、お話と言うのは緑谷少年についてなのです。ですが貴方の事も考えると貴方にも大きく関わってしまう事ですので聞いていただきたいのです」
『聞きましょう、君も良いかな出久君』
「はっはい!!」
思わず姿勢を正すようにしながら話を聞く体勢を作る姿を見てから咳払いをした後に語りだした。
「緑谷少年は本来は無個性であり、今現在はマグナさんが一体化した事で力が授かったという認識で宜しいのですね?」
『間違っていませんね。恐らくその力は私が離れても持続する事でしょう。彼の遺伝子にと言うべきでしょうか、そこに彼の力として刻まれる事でしょう』
「……緑谷少年―――突然すぎる申し出だが私は既に君にしか言えないと確信を持って言える、私の後継として……私の個性を受け継ぐ気はないかね!?」
「受け継ぐって……えええっ!!?そ、そんな個性ってあるんですかぁ!!?」
『フムッ……後継にして個性を受け継ぐ……』
「順番に話をしましょう」
オールマイトの個性、超人社会において最も謎とされている事の一つとして彼の個性は一体何なのかという物がある。元々ある力を強化するブースト系の個性、それとも純粋な超パワー個性などなど様々な憶測が飛び交っておりそれらがオールマイトに質問などが行くがその都度
受け継がれてきた超パワー、その八代目がオールマイト。それは他者へと継承させる事を可能とする特殊な個性であり、心からの平和を望む者たちによって現代へと継承され続けてきた神秘の個性。それを出久に継承させたいというのがオールマイトの話の本題であった。
『それを出久君へ受け継がせたい、という事ですか』
「はい、そしてマグナさんには不躾なお願いでしょうが……貴方の経験とお力を緑谷少年を育てる為に貸していただきたい……!!」
『成程そうきましたか』
「えっええっ!?」
『何簡単な事だよ出久君、私は出久君と身体を共有させているに等しい状態だ。その状態ならば譲渡される個性の状態などの確認などもしやすく指導も出来ると踏んだのだろう』
「その通りです……お恥ずかしい話ですが私はその、其方の方面の経験はなくて……」
オールマイトがマグナに対してのお願いと言うのは出久を育てていく過程やこれから出久を育てる役目を自分と共に担って欲しいという事だった。一心同体となっている存在ならば個性の出力やらの調節なども出来るのではないだろうかという考え方のお願い、というのもあるがオールマイト自身指導経験が乏しいので人生経験が自分よりも遥かに多いマグナの力を借りたいというのが本音であった。さてどうするかと考えていると出久が答えを出した。
「やります、やらせてください……!僕の目標は貴方みたいな最高のヒーローになる事なんです、だから……僕が貴方の跡を継ぎます。そして―――マグナさんみたいな立派なウルトラヒーローになります!!」
オールマイトにも負けず劣らずの強い意志、崇高で輝くそれを掲げながら出久は断言した。それを聞いたオールマイトは心から熱くなり、嬉しくなってしまった。此処まで強く断言、しかも即答してくれるなんて……と彼こそが自分が求めた本当の後継だと胸を張って言えると思っているとマグナが肩をすくめるようにしながら大声で笑った。
『良い事を言うじゃないか出久君。それならば私も力を貸そうじゃないか、まあそもそも私は君が一人前のヒーローになるまで共に居ると約束をしたから君がやるというなら私の答えは決まっているような物だったね。さてこれからはもっと忙しくなるね』
「―――二人とも、本当にありがとう!!」
出久は継承に承諾した、それは新しいバトンの受け渡しに等しかった。平和の象徴として日本に平穏と安らぎを届け続けてきたヒーローの世代交代にも等しい宣言だった。だとしても出久は恐れない、自分には強い味方がいる、どんなときにも一緒に居て自分を励まし、一緒に戦ってくれる大きくて暖かくて強い人が。その人と一緒ならばどんな苦難だろうと恐ろしくも辛くもない。
「では緑谷少年、これから忙しくなるぞ!!私の個性の継承は並大抵の事ではないぞ色んな意味で!!」
「大丈夫です!!マグナさんと出会ってから鍛えられましたから並大抵の事じゃ挫けません!」
「それは頼もしいね!!まあマグナさんとの邂逅以上に驚く事なんて確かに早々なさそうだもんね」